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常念平で見た日の出の光景は素晴らしかった。
見通しも抜群で、常念岳と重なり合うように浅間山が位置し、さらにその彼方にも雲海の広がるところや山の連なりを見ることができた。
左手彼方は上越国境の山々だろうか。
今日は今山行の主目的地、天狗原・天狗池を訪れる日。
朝から快晴だ。 |
朝日 |
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陽が昇るにつれキレットに光が差し、黄葉の始まった草もみじを照らし出す。 |
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光さすキレット |
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北穂の岩壁はどこまでも黒く、上空に広がる碧い空やうろこ雲の白さとは対照的。 |
うろこ雲 |
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特等席と思える最上の場所にテントを移動。
今日の寝床をキープしておき、南岳テン場をあとに、いざ天狗原へ。
南岳の南斜面にライブ・カメラ発見。
カメラ越しにしか見たことのなかった光景がそのままあった。 |
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南岳小屋、ライヴ・カメラ |
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南岳から見る槍はどこから見るそれよりも絵になる。
穿った見方をすれば、あまりに整いすぎて非の打ちどころがないところが悪いところともいえる。 |
南岳より槍ヶ岳 |
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南岳の北斜面で昨日、新穂高から槍平までほぼ行動を共にしていた和歌山からのお二人にバッタリ出くわした。
聴いていたとおり、これからキレットを越え穂高岳山荘で一泊ののち白出沢を新穂高へ下るらしい。 |
槍平で別れて以来、二日ぶりに再会した和歌山からのお二人 |
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主稜線の分岐を外れ、横尾尾根を下るようになると、これまた素晴らしい展望を欲しいままにできる。
正面の遠景は三角錐の常念や左右に大天井や蝶槍〜蝶が岳稜線。
左右には東鎌尾根を従え天を突く槍の穂先と黒々とした北穂やゴジラの背のような北尾根と前穂。
眼下には氷河公園の雪渓と草もみじの横尾右俣上部の南岳カール。 |
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横尾尾根より槍沢上部と槍ヶ岳、東鎌尾根と後立山連峰 |
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横尾尾根から見下ろすと大きな雪渓は見えるものの、天狗のコルを過ぎても天狗池らしき池は見えない。
「どこまで下るねん・・・。」
まだもうしばらく下ると、ようやく池が目の前に現れた。
見上げれば青空に映える槍ヶ岳が素晴らしく、
鏡と化した水面には黄葉の始まった槍沢の風景や槍の穂先が映し出されていた。 (表題画像) |
横尾谷・右俣と横尾尾根、屏風の頭 奥の稜線は蝶槍〜蝶が岳 |
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見上げた横尾尾根方面は間もなく盛りとも思えるほどの見事な色づき具合だった。 |
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天狗池より黄葉の横尾尾根を見上げる |
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雪渓歩きも交え、氷河公園と称されるモレーンを尾根のコルまで登り切るとご褒美が待っていた。
突如として目の前に現れる北穂の展望だ。
東稜を従えた北穂は異様な形でそびえ、前穂は大きなギザギザとともに横尾谷にスカイラインを落とす。
下る際にはここまでも展望があったため、そう感じることはなかったが、槍沢方面から上がってきた人たちはここではじめて雄大な光景を目の当たりすることになり、この大観に多くの人が思わず歓声を挙げていた。 |
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天狗のコルに立つと北穂高岳が目に飛び込む |
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しかし、天狗のコルからの横尾尾根の登りはなかなか手強い。
こんな時はそれに代わるだけの見返りがあるのが常で、ここも同じ。
少し首を右に振れば槍や表銀座の山々や遥かに鹿島槍。
左に振れば北穂や前穂と、振り向けば常念や蝶。
見下ろせば白い河原の梓川源流域。
これだけの大展望があれば文句はなし。 |
横尾尾根上部より表銀座、後立山方面 |
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稜線分岐まで戻ると正面に笠ガ岳稜線と奥に黒部五郎や薬師岳。
主稜線に出たあとは前後左右、展望を存分に楽しみながらのんびり歩いてテン場に戻った。
ちょうどお昼だった。 |
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南岳よりみる飛騨沢、中崎尾根、笠ガ岳方面
左に見える尾根が南岳西尾根 右奥は黒部五郎岳 |
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せっかくの好天も南岳・テン場着後しばらくすると辺りはガスに覆われ、その後、そのガスが晴れることはなかった。
後述のとおり昼からの計画はキャンセルし(あ)はテント内で、自身は小屋付近でのんびりする。
朝、テント移動させていたおかげで今日の寝床は過去最高。
石垣の風防付きで、地面はほぼまっ平ら。状況も眠り心地も昨日とは雲泥の差だった。
◆【第三日(9月22日)】 ガス時々小雨
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昨晩は夜通し風がきつく
「尾根上の木道を難なく下れるだろうか?」
などと心配したが、夜明け前にはその風も少しは収まっていた。
風は収まったがガスは相変わらずで展望はない。 |
ガスに煙るテント場 |
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霧雨の合間を縫ってテントを撤収。下山する。
実は昨日、天狗原に出かけた頃までは今日の予定は決してこうではなく、もっともっと欲張りなものだった。
その内容は、天狗原からここに戻った後、キレットを超えて北穂泊。
さらに翌日には涸沢岳を越え白出乗越まで稜線を歩き、白出沢を新穂高へと下る。
しかし、天狗原ツアーに思いのほか時間を費やしてしまったことと、この日の午後から天気が崩れるとのことで、あえなく欲張りな計画は実行されることなくキャンセルとなった。
そんなことで、今日は二日前に苦労して登って来た南岳新道を槍平へ向け下る。
沖田さん曰く、
「こんな急登のルートは、登りで利用する人が多いと足元が落ち着くんだけど・・・。」
今回、登り、下りの両方でこのルートを利用したことになったが、この言葉に反し下りでの利用価値があるように感じられた。
こう感じたのは、登りでは新穂高から一日で稜線まで上がり、少しハードだったことが影響しているかもしれないが、下りでは登りで感じたほどの危険を感じる個所もなく、短時間で沢筋まで下れてしまったのだ。
好天に恵まれれば展望も抜群なので、下りのベストルートといえるかもしれない。 |
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槍平へ向け激下り |
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下り切った槍平小屋は今朝から小雨だったからか、朝まだ早い時間にもかかわらず槍を飛騨沢方面から下りてきた大勢の人で賑わっていた。
今日の欲張り計画をキャンセルし再度、この小屋を訪れたことで、このとき、とある人と再会することができた。
『槍平での一期一会』
ここからは、槍平までの下山路にあるアルミ製ハシゴ上部で出会っていた大阪・箕面からの単独行のおじさんと行動をほぼ共にしながら新穂高へと下って行った。 |
滝谷避難小屋 |
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このおじさんとは新穂高・バスターミナルのアルペン浴場で最後のあいさつを交わし、それぞれ家路に着いた。 |
穂高平の放牧場 |
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