新穂高〜白出乗越〜奥穂高岳〜涸沢岳
        〜北穂高岳〜涸沢〜上高地 3

北穂高岳・南稜に咲くシナノキンバイと白出乗越、奥穂高岳方面を見やる(あ)、(ひ)
◆【山行日時】 2009年8月14日〜16日
□8月14日  新穂高〜白出沢〜白出乗越〜涸沢岳(穂高岳山荘泊)
        

□8月15日  白出乗越〜奥穂高岳〜白出乗越〜涸沢岳〜北穂高岳(北穂小屋泊)
        

□8月16日  北穂高岳〜北穂南稜〜涸沢〜横尾〜上高地
        


◆【第三日(8月16日)】
夜中に二度ほど短くにわか雨が降ったが、朝になって小屋の外に出てみると、すっかり晴れ渡り見事な光景が広がっていた。

これはもう、例によって撮るしかない。

ということは・・・、今日は小屋からすぐ目と鼻の先にはいたものの、やはりそこで長居してしまい、皆と同じ朝食時間に間に合わすことができなかった。

(ひ)、(あ)には先に食事しておくように伝えていたから昨日のようなカミナリは落とされずに済んだものの、小屋の人には自分の分の朝食だけを別に調理してもらう格好となってしまい、昨日以上に多大な迷惑をかけてしまった。
北穂小屋テラスより朝の槍ヶ岳
北穂小屋テラスより朝の槍ヶ岳
ふとん干し 日が少し高くなるとキレットの景観が絶景だ。

正面に天を突く姿を披露する槍の穂先は言うまでもなく見事のひと言だが、

草付きの東斜面カールの緑が朝日を受けて明るさを増し、クネクネと曲がりくねった稜線を境にして暗い滝谷側とくっきりと明暗を分ける眼下のキレットが素晴らしい。

ふとん干し
北穂の小屋はとっても高い所に建っている。

そのせいか小屋から山頂までほんのわずかな階段を登っただけなのに息が切れてしまう。

(ひ)、(あ)も同じで朝、山頂をあとにする際も、二人はご覧のような格好で右往左往していた時があった。
息苦しげに北穂高岳山頂を徘徊する(ひ)、(あ)
息苦しげに北穂高岳山頂を徘徊する(ひ)、(あ)
ウサギギクと前穂高岳 今日は最終日。

南稜を涸沢へ下り、横尾を経て上高地まで。

標高差があり、やや長丁場だが、危険な個所は南稜基部の鎖場くらいで、特に問題なく歩けるはずなので気楽に構えて行く。

山頂をあとにすると残念ながら槍は見収め。

南峰基部で分岐しテント場脇を通過、グングン下る。

見上げると小屋が見る見る小さくなって行く。
ウサギギクと前穂高岳
涸沢を朝、発ったと思われる多くの人たちとすれ違う。

これはこれで、ずいぶんきつそうな登りだ。

槍は見えなくなってしまったが、これからは涸沢を取り巻く穂高の山々や北尾根の彼方の富士を遥かに見ながら下って行く。

次第に高山植物が現れ、目を楽しませてくれる。

南稜を下りきると梯子と鎖場。

涸沢までの最大の難所も、これまでに経験したルートとなら比較にならず、(ひ)も難なく下りきる。

この下方にあるお花畑をぜひ撮ろうと楽しみに、また期待していたが、沢が流されて荒れてしまっようだ。

お花畑の中に付けられていたはずのルートも今は以前の記憶とは違うところに付けられていて、取水口となっている北穂沢脇の登山道も様子が変わってしまっているようだった。

「ま〜、花もそんなに沢山は咲いてなかったけど・・・。」

そんなこともあり、頭に描いていたような『お花畑と前穂北尾根』的写真は撮れなかった。

ハクサンフウロ
ハクサンフウロと奥穂高岳
シモツケソウと奥穂高岳
シモツケソウと奥穂高岳
涸沢テラス 下りついた涸沢は穂高の中のオアシス。

テラスから見上げれば別天地だ。

初めてここを訪れた際、
「日本にもこんなところがあったのか?」
こう感じたとおり、天候に恵まれればこれ以上ない絶好のロケーションを享受できる。

今もその想いは変わらない。

上高地から徒歩、約5時間。

ここで昨日、稜線上ですれ違っていた中日新聞の若い記者と再会。

涸沢テラス
昨日は山岳救助隊に密着。

今日は穂高岳山荘の山岳診療所の交代隊を涸沢で取材とのことで、隣のテーブルに陣取っていた岐阜大の先生や学生たちに話を聴いたり、盛んに写真を撮ったりしていた。

一段落したころを見計らって
「写真を撮ってもらえませんか。」
とお願いすると、

もちろん気さくに応じてくれ、穂高をバックに数枚撮ってもらうことができた。

プロの記者に写真を撮ってもらったのは初めてのことで、ポージングのリクエストがいかにも本職らしかった。
涸沢をあとにし吊尾根を見上げる
涸沢をあとにし吊尾根を見上げる
涸沢ヒュッテ下方には珍しく長い雪渓が残っていた。

きれいな階段状にステップが切ってあることに感謝しながら歩く。

それでも足元は不安定だが、思ってもみなかった雪上歩きに、(あ)(ひ)は大喜び。

雪渓を過ぎると緩やかな下りが続く。

ここを登ってきたら
「これはこれで、しんどそうやな〜。」

もちろん白出沢のルートがきつかったことに異論はないにしても、わずかづつしか高度を稼げないこのルートをこう感じてしまうのは、白出沢のルートがいかに急登だったかの証し。

「どのルートで登っても、いずれ楽はさせてくれない。」
ってことだ。

常念を正面に見ながら下る
常念を正面に見ながら下る




横尾本谷、南岳方面を見上げる(ひ)
横尾本谷、南岳方面を見上げる(ひ)
本谷橋の水流は肌を刺すほど冷たく、顔を洗うと生き返るようだった。

ここから横尾までは意外と長く単調だが、上高地まではさらに遠い。
16時過ぎ、ようやく上高地着。

時間がやや遅かったおかげで河童橋付近に多くの人はいなかった。

バスターミナルもそう混雑してなく、難なくタクシーに乗り込んだ。

入山前日に宿泊し、山行中、車を置かせてもらっていた中尾温泉・山本館に戻り、温泉につかって汗を流した後、家路に着いた。

今回の山行は(あ)が小2の時、槍の穂先で聴いた
「今度は奥穂に行きたいな〜。」
の想いをを9年の時を超え、家族みんなで実現できた山行だった。
河童橋からの穂高連峰
河童橋からの穂高連峰

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奥穂高岳より槍ヶ岳


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