◆【山行日時・天候】 2004年8月14日〜5日
□8月14日 くもり時々晴れ
□8月15日 ガスのち雨

◆【詳細】
かつて家族や(あ)と出掛けた際、目的のひとつとしてたのに未だ実現できていなかった三嶺から満天の星空を見ることを今回の山行の目的のひとつとし8月14日、8時30分自宅を出発した。
徳島で昼食を食べる予定にしていた一宇村にある釜揚げうどん店『田舎で暮らそうよ』(電話 0883 67-5432)に電話を入れ、営業の確認をする。 お盆の時期なので休業ではいけないと思い電話してみたが、よく考えてみれば山村にあって多方面からの観光客で賑わうこの時期、休んでいる場合ではない。もちろん営業中とのこと。
美馬I・Cで下車。貞光より山中へと入る。
一宇を過ぎ、本来向かうはずだった小島峠への分岐も直進。
剣橋で右折すると間もなく昼食地、『田舎で暮らそうよ』に到着した。
か細い道が続くR438にあって、ところどころ出現する立派な二車線の道となる個所にある山小屋風のお店は、地元出身のとても気さくなご主人(37歳、B型)と、京都出身のかわいい奥様(?歳、O型)とで切り盛りされていた。
店内は決して広くはないが、壁には冬になれば実際にご家族が使われそうなスキー板や、実兄が撮られた剣山系の綺麗な山の写真が何点も飾られている。
入ってすぐの土間には天然木を使ったベンチ風のテーブル席が三つと、その奥には直径1メートルほどもある釜が備えられ、
左手奥に厨房と右手に板の間が二間。一つには囲炉裏も有り雰囲気充分。古い日本家屋の台所付近を今に再現したような、とっても落ち着けるお店だった。
味はもちろん◎。以前からこの店の存在は知っていただけに、
「こんなんならもっと早く足を向ければよかった。」
うどんと手作りお稲荷さんで腹ごしらえが出来たら、再出発。
一旦、見の越まで上がったら今度は名頃へ下る。名頃からは三嶺林道に入り、東屋のある林道終点の登山口に着いたのは13時半頃だった。
14時、暑い中、山頂へ向け出発。
歩き出すと、いきなりの急登とこの蒸し暑さに汗が吹き出る。風がないので体感的な暑さにさらに拍車がかかるようだ。しばらくするとトラバースしてウラジロモミを見ながら歩く。少しづつ高度を稼いでいるが一向に風が吹かず、兎に角暑い。
進路上方が明るくなると、ようやくピークに達し、少し下ると平尾谷・登山 口からの道と合流する(ダケモミの丘)。
ササ床に自然林の広がるこのコースではお気に入りの場所を過ぎると、次第に展望の利く個所も現れるようになるが、あいにくの天候で稜線付近の展望は思うように得られない。木々の合間から右手に見晴らしが利くようになると、やがて左手の展望が開ける。
展望が開ければ、あんなに暑く感じていたのが嘘のように思えるから不思議なもの。
登山路にはシコクフウロやツリガネニンジンのかわいい花も咲き微笑ましい。
水場でたっぷりと水を汲み、喘ぎながら最後の急登を登りきると、16時、ササ原の広がる頂稜に出た。
重い荷物は小屋に置き、山頂へ急ぐ。
天気は下り坂。稜線に出るとフスベヨリ谷方面からどんどんガスが湧いては消える様子がよくわかる。今はまだ見え隠れしている山頂だが、早くしないとガスられてしまっては大変だ。
急いだ甲斐あってか、山頂に着くとフスベヨリ谷は一面ガスに覆われていたにもかかわらず西熊山方面の展望はよかった。
「こんなに素晴らしかったのか。」
あたかも、初めてこの風景に出会ったかのような感覚だった。
それもそのはず、この景色に出会えるのは'02・秋の山行以来、約二年ぶりだった。
ここからの展望は、頂稜に出たときの感激よりも遥かに大きなものだった。
結果的には、日の入りまでまだ二時間以上も時間があったので西熊山まで往復できないわけでもなかったが、久しぶりに見るここからの風景に見入ってしまったせいか、刻一刻、時は経ち、そこまで行くタイミングを逸してしまった。
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三嶺ヒュッテ |
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雲上に頭を覗かせる白髪山 |
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西熊山へ続く稜線 |

しばらく風景を楽しんだら小屋に戻り、これも楽しみのひとつだった、にゅうめん(暖かいそうめん)やそうめんなどで夕食とする。
お腹が大きくなったら、もう一度(あ)と二人山頂へ。
真っ赤な夕日は見えなかったものの、幸い、時間の経過にもかかわらず先ほどと状況は変わらず展望はそこそこあったので、辺りが暗くなるまでのんびりした。
とっぷりと日が暮れたのち、小屋の外へ出てみると、予想に反し満天の星空が広がっていた。
かつて、ここから見える星空を(あ)、(ひ)に見せてやろうとやって来た際には何も見えず、その時の思いは叶っていなかっただけに、見えるとは思っても見なかったこんな天候の日にこれだけの星が見えたことは”瓢箪から駒”のようにも思えた。
とは言いながら、ここから星を見るのは今回の山行の大きな目的のひとつだったので、”星座早見”はきっちりと用意してある。
悲しいかな、これがないと北斗七星、カシオペア座、北極星くらいしか分別がつかない。見ているだけでも価値はあるのだが、ただ訳もなく眺めているのは勿体ないほどの無数の星を目の当たりすれば、きっと携行する気持ちが分かるに違いない。
天空に散りばめた天の川はもちろん、いくつかの流星のオマケまであり、家族にとってそれぞれが満足の行く観星会となった。

早朝、まだ早い時刻に目を覚まし外を覗いてみると、昨日の予報通りガスが立ちこめの日の出は到底望めそうになかった。
案の定、その時刻が近づいても辺りは明るくなる気配はなく、今朝の日の出は見ることが出来ないまま朝になってしまった。
雨は落ちていなかったが山頂はおろかすぐそこにある池も見えないような状況に、これはもう小屋内でゆっくりするしか術はなかった。
それでも、時間はまだ早かったが、昨夜の宿泊者の我々の他の7人が三々五々、小屋をあとにするのを見届けた後、重い腰を上げ下山することにした。

全く展望の利かないなか、足元に注意しながらゆっくり下る。
ダケモミの丘で平尾谷への道と別れ下り出すと、ポツリポツリ雨が降り出した。登山口近くまで来ると本降りになり、びしょ濡れとなって東屋に逃げ込んだ。しばらく足留めを余儀なくされるほどの激しい降りとなってしまった。
小降りとなった頃を見計らって荷物を整理し三嶺林道を下る。名頃まで来た頃には、あれだけ降っていた雨はもう止んでいた。
夫婦池の『ラ・フォーレ つるぎ山』で汗を流し、昨日に続き『田舎で暮らそうよ』で昼食を摂った後、家路に着いた。
雨上がりの空は空気がすっかり綺麗に洗われ、山の稜線が一際くっきり見えるようになっていた。
徳島道からは紀伊半島。大鳴門橋や淡路からは播磨灘を隔て普段見ている近くの山までも望むことが出来、ここに来てご馳走をもらった気になった。
とは言え、本音は
「一日違っていればなぁ・・・。」
播磨灘に浮かぶ小豆島がいつもの形に見え出すと、間もなく無事自宅に到着した。
◆【その他の三嶺の記録はこちら】
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