◆【山行日時】 2001年10月7日〜8日
◆【コース・タイム】
□10月7日 晴れ時々くもり
西熊渓谷・光石駐車場=10分=堂床野営場=5分=さおりが原分岐=40分=さおりが原
=23分=フスベ谷・カヤハゲ分岐=55分=カヤハゲ=40分=三嶺山頂=7分=三嶺山頂ヒュッテ(泊)
(=8分=名頃コース・水場=12分=三嶺山頂ヒュッテ)
□10月8日 高曇り
山頂ヒュッテ=10分=三嶺山頂=55分=西熊山山頂=15分=お亀岩=2分=お亀ヒュッテ
=40分=カンカケ谷・渡渉点=20分=八丁ヒュッテ=28分=光石駐車場
◆【正味歩行時間】
□10月7日 3時間20分
□10月8日 2時間50分

◆【詳細】
高知側、西熊渓谷・堂床から、沖縄出身のかつてのアイドル、南沙織にちなんで命名されたと言う『さおりが原』、カヤハゲ経由、三嶺。西熊山、お亀岩へ縦走しカンカケ谷から堂床、光石へ周回。
我々の年代の者にとって南沙織(確か、写真家・篠山紀信夫人)とは、今の人にとっての同じく沖縄出身の安室奈美江(既にちょっと古い?)的存在で、その名に由来する『さおりが原』とは一体どんなに素晴らしいところなのかこの目で確認したいと思い、上りにこのコースを選択し三嶺へ。
□10月7日
順調に山陽道、瀬戸中央道、高知道を走り、南国I・Cで下車。R195を西熊渓谷へと車を走らせる。
光石駐車場は昨日からの車も含め、ほとんど満車状態。
腹ごしらえをして、
「さあ、出発だ!」
堂床野営場を過ぎ、立派な吊橋を渡るとさおりが原分岐。右手の尾根に道がつけられている。
しばらくはジグザグに登って行く。やがて登山路が平坦になると急傾斜の道も一段落するが、それも束の間、再度上り坂に。
ダケモミ林が現れ、少し下ると周りが急に明るくなった場所に出る。溢れる木洩れ日に思わず空を見上げる。
広葉樹の間から見える太陽がキラキラ輝いて眩しい。小川のせせらぎもあり小鳥のさえずりもあちらこちらから。
そう、ここが『さおりが原』だ。
それにしても命名者とされる高知大、W・V部の当時の面々は、今となっても風化した感のないこの名前を付けたのはすごい。
確かにここは南沙織を知らない人でも、この風景を目の当たりにすると南沙織がどのような存在であったかを想像できてしまいそうな清々しくさわやかなところで、ベスト・マッチのネーミングだ。
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さおりが原の広葉樹 |
本当はもっとゆっくりしたいところだったが連休でもあり山頂ヒュッテの混み具合が気になるので、とりあえず先を急ぐ。休憩所前の分岐をカヤハゲ方面へ。
ブナ(?)の大木が何本かあり、沢を渡ると(最終水場)ジグザグの急登だ。
韮生越え分岐まで来るとトラバースして、間もなくフスベ谷への分岐に着く。直進すればフスベ谷経由して三嶺への道だが、ここは右折してカヤハゲへの道を行こう。
しばらく進むと尾根上に出て左手、フスベ谷越しに西熊〜三嶺のササの稜線が見えるようになり、ワクワクする。
気持ちははやるがゆっくり行く。(この付近の登山路からはまだ三嶺山頂部は見えないがもう少し先、左手にある露岩の上に登れば辛うじてそれが見える)
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登山路脇、露岩上から三嶺 |
ジグザグの急傾斜とそうでもない傾斜の登山路を何度も繰り返しながら徐々に高度を稼ぐ。
左手前方に三嶺山頂が見え出すとササ原も現れようやく傾斜も次第に緩くなってくる。潅木帯を抜け南側に回り込む頃には、さらに展望が開け西の西熊山や天狗塚、南の白髪山もはっきりと見えるようになり大展望が広がる。
ササ原の中に赤く色づいたコメツツジが現れ出すとすぐにカヤハゲだ。
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カヤハゲから見る三嶺の雄姿 |
カヤハゲからは三嶺の大きな山容が目の前に大きく横たわり、どの方向から見てもなかなか絵になる山であることを実感できる。
あまりの大きさに
「まだ、こんなに登らなければいけないか・・」
と思うが、歩き出すと大きな岩までは歩きやすく、周りの潅木はかなり色づいていて目を楽しませてくれ、その合間からは山頂も時折顔を覗かせてくれる道なので案外苦にはならない。
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カヤハゲを振り返る |
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山頂直下の大岩 |
岩の直下からは急登となり岩を巻いて登って行くが、鎖もあるので難なく通過できる。鎖場も通過し最後の急登をこなすと三嶺山頂だ。
これまで見えていなかった北面、祖谷側の展望も開け360度の大パノラマが広がり、しばらく展望を楽しんだら、ササ原の向こうに建つ山頂ヒュッテへ向かう。
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三嶺の池と山頂ヒュッテ |
案の定、ヒュッテはこれまでで一番の混み具合だったが、何とか一階に寝床を確保し、
「ほッ」
一方、外の様子はというと・・・、
山頂は見えてはいるが、夕焼けらしきものは一切見ることは出来ず、そのため今日再び山頂へ向かうことはなかった。
「ガクッ」
到着後もかなりの人がやって来て、結果的に本日の宿泊者は30名弱。
近くの人たちと談笑の後、8時過ぎには就寝。
「ん、ガ〜」(いびき)
□10月8日
未明に小屋の外へ出てみると、昨晩には大きく空を覆っていた雲はなく、オリオンの上に月がこうこうと輝いていた。
剣山方面にガスがかかっているだけで、月明かりに照らされ周りの山々はよく見えている。
天候は昨日の天気予報に反し何とか持ち直したようで、荘厳な朝焼けも見ることが出来、十分満足出来た。
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黎明の空 |
小屋でゆっくりした後、山頂へ。昨日はかなり見通しが悪かったが今日の方が良く大展望だ。
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剣山、次郎笈方面 |
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石立山 |
東から南にかけて剣山、次郎笈の間に一ノ森やそこから三嶺への縦走路もよく見え、少し外れた位置に形のいい石立山。さらに白髪山、カヤハゲと辿ればここへ通じる。
昨日登って来た、さおりが原からカヤハゲへの尾根もはっきりそれと分かる。
「あそこをこう登ってきた訳だ。ふむ、ふむ、納得。」
もちろん、西にはフスベ谷の向こう綱附森や西熊山への縦走路と遠くに天狗塚、牛の背。
北、祖谷谷越しには奥祖谷の山々が黒々と横たわる。
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天狗塚へと続く稜線 |
天狗塚の三角錐はいつの間にか隠れてしまうが三嶺は終始見えるので西熊山へはのんびり行こう。
うしろの様子を気にしながら歩くもんだから足元を取られてフラフラしっ放し。
ササ原に点在するコメツツジは赤く染まり、また所々にはススキも見られ稜線はすっかり秋色へと姿を変えた。
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西熊山東面のササ原 |
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大タオ上部より三嶺 |
西熊山でここまで温存していたビールを「クイ〜ッ」と飲み、本日最後の展望をゆっくり楽しむ。
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西熊山山頂 |
お亀岩へ下り、お亀ヒュッテで小休止の後、カンカケ谷を下って行く。
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お亀ヒュッテと西熊山 |
すぐに水場があり、以降は自然林帯の中を歩くようになり、グングン下る。
二度ほど左からの小さな沢を渡り、しばらくすると沢を歩くようになる。樹林帯を抜けるとやがてカンカケ谷本流の渡渉点。
細心の注意でヒョイヒョイ(自分ではこんなつもりだが・・)と、岩伝いに沢を渡り、八丁へ。この辺りに広がる自然林は見事のひと言で、沢には立派な淵も形成されていてとても素晴らしい。
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カンカケ谷 |
カンカケ谷の沢音が聞こえなくなると、入れ替わりに今度はフスベ谷の沢音が聞こえてくる。わさび田が右手に現れると八丁はもうすぐ。
蓮花野展望台で最後に三嶺山頂方面を望んだら八丁ヒュッテだ。
木造りの登山道を更に下り、フスベ谷を立派な吊橋で渡る。さおりが原への分岐、堂床野営場を過ぎ、締めくくりに少し登り返すと光石駐車場。
昨日はあんなに沢山の車だったのに今は閑散として、三台が残っているだけだった。
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
詳細のとおり『さおりが原』はとても気持ちのいいところだった。
さおりが原へは今回、上る際立ち寄ったが、下りでフスベ谷から回り道したり、カヤハゲ経由で下って来てもいいかもしれない。(ただ、より良い雰囲気を味わうには出来るだけ陽の高いうちに到着したい)
さおりが原上部〜山頂ヒュッテ下、名頃コースを下ったガレ場脇の沢(ヒュッテから往復、約30分)まで水場なし。
三嶺〜西熊山からの眺望は文句なし。名頃コースから三嶺に登頂した人も、もう少し頑張って是非足を伸ばしてみよう。(三嶺〜西熊山間の所要時間、片道約1時間)
カンカケ谷渡渉点、スリップ注意。また、増水時には素足で渡渉するくらいの覚悟が必要。
光石駐車場、約20台駐車可。上部にも駐車できる。トイレあり。
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笹渓谷温泉 |
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帰路、もう一つ大きなご馳走。
物部村・五王堂から矢筈峠方面へ笹渓谷を少し遡ったところにある笹渓谷温泉。
入山時から確認していて時間にも少し余裕があったので立ち寄ってみると、流石は四国の山ヤに人気の温泉。
大きなスギの湯舟からは居ながらにして笹渓谷も見渡せ情緒たっぷり。
(入浴時間、土、日、月、祝日、10時〜17時、軽食あり)
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◆【フスベ谷から三嶺、カンカケ谷へのデータはこちら】
◆【四国の山の記録はこちら】
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