東大山・振子沢滑降
振子沢源頭より烏ヶ山、蒜山方面

振子沢源頭より烏ヶ山、蒜山方面を望む
◆【ツアー日時】 2005年4月16日  快晴

◆【コース・タイム】

環状道路・登山口=60分=鳥越峠上部のコル=10分=本谷、振子沢出合=40分=象ヶ鼻下部

=55分=振子沢源頭

=25分=本谷、振子沢出合=40分=鳥越峠上部のコル=20分=登山口

◆【滑降時間+正味歩行時間】 6時間10分


パタゴニア



◆【詳細】

テレマーク・スキーを始めて以来、「いつかはここを!」のひとつ、東大山・振子沢を滑った。
奥大山スキー場より南壁を望む
メンバーは当HPではお馴染みの高砂市・Aさん、今年2月大江山ツアーでご一緒した加古川市・Dさんと彼の所属する山岳会のメンバーで既婚かつ日々勉学に励みながら山にも繰り出す明石市・Iさんと自身の4人。

山行前日の4月16日夜、Aさんのお迎えの車に荷物を詰め込んだら、一路寝床の蒜山高原へ。

25時前、Dさんお勧めの蒜山I・Cそば、”道の駅・風の家”に到着したら短いながら、日の出前まで寝る。

日の出とともに起床。駐車場で朝食を済ませたら登山口の鍵掛峠東、健康の森入り口へ向かう。コル手前より毛無山稜線(右手のコブは1,147)

奥大山スキー場から見上げると朝日に照らされた南壁が素晴らしい。

登山口で仕度ができたらシール歩行開始。ブナ林を縫って緩やかに歩く。小さな谷を二度ほど越すと次第に傾斜は急になり左手のコブ(1,147)を巻くように越すと文殊堂からのコースと合う。

右手に見える烏ヶ山からの稜線は次第に低くなり、振り返れば毛無山稜線と目線がほぼ同じだから、高度を稼いだこと実感できる。

無雪期は右手に見えるコルを目指し登れば鳥越峠へと導かれるが、積雪期の今は稜線上の一段標高の高いのコルを目標に登高。稜線直下の急斜面はジグザグに斜登高し傾斜が緩むと、やがてコルに到着。

ここでシールを外し地獄谷方面へ滑降。直下の大きな沢を右下方へ下った方が快適に滑れるが、その後、駒鳥小屋付近より振子沢へ向け登高しなければならないので、あえてトラバース気味に滑り尾根をひとつ越えたホンの小さな谷筋を下る。

小さな立ち木がうるさいのは我慢しなければならないがこのルートを採れば、いきなり本谷、振子沢出合いに降り立つことができる。このルートは駒鳥小屋はパスすることになるが、いくらかでも時間短縮できるのでショートカットの価値は充分。さすがは経験者と同行すると心強い。
振子沢の登高
本谷、振子沢出合で槍ヶ峰の鋭鋒を見上げたら、ここからは再度シール歩行。
本谷を左に見て正面に見えるか細い振子沢へと向かう。

振子沢は想像以上に細い谷だったが、兵庫の谷に比べればその広さたるや問題にならない。明るく快適だ。かなりの数の落石やデブリも時折見られたが、雪崩の心配はなさそうなので安心して歩ける。独特のスタイルで登高する石川さん(左)と堂本さん







小さくくねくね曲がりながら段丘状の沢を登高する。

烏ヶ山







背後の烏ヶ山の形が次第に低くなり前方上部に大きなクラックが見え出すと象ヶ鼻を見上げれるようになる。

象ヶ鼻を見上げながら小休止






ここまで来ると見上げた雪面には見事なシュプールも何本か見られるようになり、気持ちははやるがあせらず行こう。

小休止したら最後の頑張り。




象ヶ鼻東面のシュプール
ほとんど傾斜に変わりはないもののゴールである源頭部が見えているだけに、なかなか近づかないのがもどかしい。

高度を上げるとともに雪面にグレーっぽい砂礫が混じり歩き辛くなるが、ジグザグにトレースすればようやく源頭が近くなる。


イヌワシ?





イヌワシ(?)の歓迎も受けながら最後の急斜面は右にトラバース。一度、稜線に逃げ板を脱ぎ、登山路を歩き回り込む。

稜線直下の最後の登高(背景は左より勝田ヶ山、甲ヶ山、矢筈ヶ山と手前、象ヶ鼻、振子山)














稜線より見る天狗ヶ峰方面
稜線に出ると、ようやく目にすることができる稜線の向こう側、北壁側だが期待していたほどの大展望では得られなかった。

やはり北壁の展望台にふさわしいのは三鈷峰山頂だろうか。



振子沢源頭のテーブル(遠景は地獄谷、一向ヶ平方面)





登山路を短く歩くと皆の待つ振子沢源頭に到着だ。



源頭から俯瞰する大山東面の光景は、ちょっとがっかりさせられた北壁側のそれを上回り、素晴らしいのひとこと。

今、登り詰めた振子沢が真下に延び、その延長上は地獄谷、一向ヶ平へと続く。

右の尾根の向こうにはずいぶん低くなった烏ヶ山が尖峰を空に伸ばし彼方には蒜山方面の山々がのんびり横たわる。(表題画像)

なかでももっとも印象的なのは双耳峰ならぬ三つ子峰に見えなくもない勝田ヶ山〜甲ヶ山〜矢筈ヶ山。残雪の白と山肌の黒とのコントラストが美しい。臨戦態勢!(左から堂本さん、岡本さん、石川さん、足立さんと遠景は烏ヶ山)

三鈷峰も稜線左手に見えてはいるものの、ずいぶん低くまた思いの外小さいので、ここでは脇役だった。

到着時刻は朝の歩き出しが早かったことと歩くペースがずいぶん速かったので、まだ11時前だった。

終始、最後尾での歩行だったが歩くのが遅かったことがここに来て逆に幸いし、自身が到着するまでに見事なテーブルが出来上がっていた。

「皆さま、ご苦労さま。」
恩恵にあずかり絶景を欲しいままにランチ・タイム。


華麗に滑って行く堂本さんゆっくりしたら、待ちに待った滑降開始。登山口からほぼ同行だった姫路出身で神戸からのOさんも交え順次、滑り降りる。

稜線直下は砂礫混じりで決して快適とはいえないものの、しばらくすればそれなりに滑れるようになる。途中からは象ヶ鼻下へトラバースし、もうしばらく快適に滑る。

滑降した振子沢を見上げる







所どころ小さな石があるので注意は必要だが、特に問題ない。

登る際、小休止したポイントまで下れば快適な滑降は終わり。一転、大きな石や小さな石、木切れが散在するので注意が必要だ。

それでも本谷出合までは躊躇せず滑れるからありがたい。


ここからは駒鳥小屋まで滑り込まず、往路に下って来た小さな谷をツボ足で忠実に登り返す。

直登し、トラバース気味に左手の尾根を乗り越したら往路をはずれコルに向けしばらく急登。辛い登高だが、そこからのツリー・ランを励みに頑張る。

コルからは正真正銘、下りのみ。右手、右手にルートを採りながら樹林帯を滑り、緩やかに滑るようになるとやがて駐車地点の環状道路に出た。



兼ねてより滑りたかった振子沢を滑れ、同行者はもちろん好天に恵まれたこともあり思い出に残る山行のひとつになった。


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