大山・行者谷、元谷テレマーク・ツアー

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元谷上部より屏風岩

元谷上部より北壁、大屏風岩を見上げる

◆【ツアー日時】 2003年3月22日  くもりのち快晴

◆【コース・タイム】

夏道・登山口=35分=常行谷=40分=行者道=35分=六合目上・滑降開始地点

〜<滑降>〜元谷=??分=元谷上部・滑降開始地点〜<滑降>〜元谷

〜<滑降>〜南光河原・金門〜<滑降>〜大山寺橋

◆【正味歩行時間(滑走を除く)】 1時間50分+元谷・登高時間、??分

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◆【詳細】

今日は『ペンション ぴあんぴあの』のツアーに参加し、大山・テレマークデビューの日。

期待と不安を抱き米子道を一路、北進する。蒜山I・C手前のトンネルを抜けると右手に蒜山三座、さらにその先のトンネルを抜けると大山南壁が真っ白の姿を現し、否が応にも気持ちは高揚する。

溝口I・C付近までくると大山は、これまで荒々しい姿を見せていた南壁とは打って変わり、大きく裾野を広げた、いかにも伯耆富士と呼ばれるにふさわしい姿を見せるようになる。

待ち合わせ場所の桝水原は、見えている裾野を駆け上れば間もなくだ。

しばらくの後、難なくペンシヨン・オーナーや今日の参加者と合流。その足で下山キャンプ場・駐車場へ移動。

参加者はぴあんぴあの・永登さん、中国地方唯一のTAJインストラクター植木さん、鳥取のカイロプラクティシャン・谷口さん、米子のモーグラー・足立さん、福山のにしやんこと西谷さん、広島の知的な岡部さん、rider・前川さん、そして私の計8名。

準備が整ったら短く挨拶を交わし、六合目へ向け出ぱ〜つ。

今日の予定はまづ六合目までツボ足で登り、そこから元谷側へ行者谷を滑る。その後、元谷を大屏風岩方面へ向け登り返し、再度、元谷を滑るというもの。

永登さんによると、当初は頂上台地より桝水側へ滑るか、あるいは八合沢を元谷へ向け滑ることも頭にあったらしいが、「死者を出すことと引き換えにはできない」との理由によりこのコースにされたそうだ。

こちら、敬遠した斜面よりも少しは傾斜の緩い行者谷でもビビリまくりだったことを思えば、もくろみ通りのコースを滑っていたら、今ここでこんなことをしていないかも・・・。

妥当なコース設定に感謝。

一合目付近 常行谷をシール登高
一合目付近 常行谷をシール登高

二合目上部より夏山登山道を外れ、左下に見える常行谷をシール登高する。谷を詰め尾根に出ると、立ち枯れのブナ越しに宝珠尾根が見える。
しばらく尾根上をシール登高すると、いつしか元谷から夏道へ通じる行者道に出合う。ここからは再度、ツボ足で急登すると、やがて夏道に出合う。

六合目まで登れば滑走地点に到着だ。

滑降の準備中
6合目の少し上部で滑降の準備

九割方埋もれた避難小屋のもう少し上方を滑降開始地点とし準備する。ここまで来れば辺りに遮るものはなく素晴らしい展望が開けるが、今日はそれをのんびり見る余裕がない。

いくら風はそう強くくないとは言え、シールやスキーを流さないよう気配りしなければならないことはもちろん敵のうちだが、何といってもそれとは比較にならないくらいの大敵はここから見える斜面。
スキーを履きながら、
「ホンマにこんなとこ滑るン!?」
「何ぼなんでも無理やデ〜」。
これから滑る斜面を目の前に、ビビリまくる。

上手い人はさっさと滑降に行ってしまうので、残された感のこちらといえば、ビビッた気持ちにさらに拍車がかかる。

行者谷へ向かう
行者谷へ

「さぁ、行こう。」
一人つぶやき、気合を入れる。
それにしてもこの恐怖感はすごい。滑落したらひとたまりもなさそうだ。

ところで、ここでもこの恐怖感なのに、さらに上部の八合沢や別山沢を滑る人たちはどんな神経の持ち主だろう。
自身には到底その気持ちを図り知ることはできない。
(ちなみに同行の植木氏は別山沢も滑ったことがあるとか。さすがインストラクター!)

それでも、気を落ち着け滑落に十分注意しながら斜滑降すれば、なんとか行者谷上部へ到着できた。何でも、”やればできる”の典型のようなものだ。
(この間、こちらの動向に対し植木氏が終始、視野に入る位置にいてくれ適切なアドバイスをしてくれたので何より心強かった)

とりあえずここまで来ればひと安心だが、それでも恐怖感がなくなったわけではない。点々と雪面から顔を出す枝も目障りだし雪質も気になるところ。

下方に目をやれば、先ほどまで一緒にいた人がずいぶん小さくなり
「早く下らねば」
と、こちらの気持ちも焦り気味。

別山 三鈷峰
別山 行者谷下部より三鈷峰

なかなか上手く滑ることができず、焦る気持ちとは対照的に、回りの景色はどんどん素晴らしくなるのがせめてもの救い。

これでもテレマーカー?
元谷へ向け滑る

しばらく滑ると少しは傾斜も緩くなり、こちらでも辛うじて手に負えそうな斜面になる。
元谷小屋上部の緩斜面を滑れば、元谷のブレイク・ポイントに到着だ。

ショベルで即席のテーブルを作れば極上の昼食にありつける。
六合目まではそう優れなかった天候も、ここにくるまでに快晴に近いものとなり、北壁を間近に望む最高のランチタイムとなった。

元谷でランチ・タイム
ランチ・タイム

腹ごしらえができたら、もうひと踏ん張り。元谷を屏風岩へ向け登る。
北壁を見ながらの登高は、ここが高が1700メートルそこそこの山の中腹だとは微塵も感じさせないほどの迫力を見せる。

三鈷峰の稜線と撮影する永登氏 元谷上部より北壁を仰ぐ
三鈷稜線と撮影中の永登氏 北壁
大屏風岩 「どこを滑るか・・」 思案中の植木氏
屏風岩、烏帽子岩 思案中の植木氏

元谷へ一気に滑り降りた後、植木氏よりワンポイント・レッスン。 元谷を滑る植木氏

しばらく今日、最後のレッスンを受けたら元谷をあとにする。

元谷でレッスンを受ける
レッスン中

大堰堤脇を慎重に河原へ下り、南光河原を金門までさらに滑る。
例年ならこの時期、ここを滑ることはできないようだが、今年は豊富な積雪量のお陰で滑り降りることができた。

金門より北壁を望む
金門より元谷、北壁を望む

大山寺境内を通過後、元谷をさらに短く滑れば大山寺橋のたもとに着く。
ずいぶん高くなった三鈷峰や北壁を見上げ、今日の山行を振り返りながら駐車場へ戻った。


◆【編集後記】

今回の山行はペンション ぴあんぴあの B・Cツアーに参加したもの。

ペンションオーナー永登さん、中国地方唯一のTAJインストラクター植木庄司氏をはじめとしたバラエティーに富んだ参加者とともに、単独では踏み込みにくいこの時期の大山に足跡を残せ、当ツアー参加に大きな意義があった。

滑降開始ポイントの六合目に到着した時は、正直焦った。
「こんなところを滑れるはずがない」と思ったからだ。
しかし、よからぬ先入観は禁物だ。
人間、やろうと思えば案外、できるはずのなさそうなことでもできるものだ。ずり落ちながらも無事、元谷まで行者谷を下ったではないか。
「やればできるじゃないか、やらねば何事もできないんだ。」

確かに、永登さんや植木氏といったしっかりした技術を持った同伴者がいるという精神的な後ろ楯があったこそなし得たことだが、時には思い切りも必要だ。

しかし、自身のレベルではここからの滑降が限界。
八合沢や別山沢を滑ったりする人がいることは、とても正気の沙汰とは思えない。今の自身のレベルでは自殺行為。

それぞれのレベルに応じた斜面を滑ろう。

命を犠牲にまでして、いい格好をすることはない。


◆【ワン・ポイント・アドバイス】

行者谷、上部はなかなかタフなバーンだが、上手くトラバースすればその後は滑れなくはない。

元谷上部、屏風岩下部には絶好のバーンが広がるので好みに応じ縦横に滑れる。

元谷大堰堤の下部の南光河原、例年なら積雪不足のため滑走不可だが、今年は豊富な積雪に恵まれ金門まで滑り降りることができた。

その後も大山寺を経て大山寺橋まで滑走。

積雪不足の時期には治山林道を下ることになる。


◆【翌日、鳥越峠方面へのツアーはこちら


◆【画像一覧はこちら



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