後山〜船木山〜駒の尾山  
駒の尾山から船木山、後山へたおやかな稜線が延びる

駒の尾山付近から見る船木山、後山
◆【山行日時】 2002年11月24日  くもり時々晴れ
◆【コース・タイム】
後山キャンプ場・駐車場=20分=渡渉地点(下)=37分=稜線(船木山)=13分=後山山頂

=15分=船木山=20分=鍋ヶ谷山=15分=避難小屋=2分=駒の尾山山頂

=20分=鍋ヶ谷山=18分=下山路分岐=22分=渡渉地点(上)=18分=駐車場
◆【正味歩行時間】 3時間20分

パタゴニア


◆【詳細】
兵庫・岡山両県境に位置する後山は岡山県下では最高峰、兵庫県下でも第三位の高峰だ。また、辺り一帯は氷ノ山・後山・那岐山国定公園の一角をなし、西へ船木山、駒の尾山へと続く県境尾根にはブナやモミが点在するササ原を縫って中国自然歩道が整備され、かつては修験道であったこの山域も、現在では広く多くの人に親しまれている。

後山山頂へは兵庫・岡山両県から、稜線伝いやダイレクトに向かうコースがいくつか整備されているが、今回は山名の由来となったと考えられる集落、岡山県東粟倉村後山から船木山を経て山頂へ向かい、かつて残雪期に兵庫県側・板馬見渓谷から後山に登った際、歩くことの出来なかった鍋ヶ谷山〜駒の尾山を歩くべく、東粟倉へと車を走らせた。
登山口の後山キャンプ場へは兵庫県千種町より志引峠を越えるか、岡山県西粟倉村を経由するかのいずれかのルートで車を乗り入れることになるが、自身の道勝手から前者を選択、千種川の清流を右に左に見ながら遡る。

瑠璃時を左手、”道の駅ちくさ”を右手に見、右カーブすると左手に笛石山の尾根を従えた後山が目に入るようになる。

やがて、正面、千種川の奥に三室山を見るようになると千種町市街地手前の信号を左折。

県境の志引峠を越え、しばらく下ると右手に駒の尾〜舟木山稜線が目に入るようになる。下り切ったところが三方を山々に囲まれ、静かなたたずまいのなかに民家の点在する後山地区だ。
志引峠付近から駒の尾〜船木山の稜線を見る
駒の尾〜船木山
キャンプ場はもう少し標高の高い所にあるので、集落を抜け一段上部を走る広域農道に出て、標識に導かれるように細くなった道をさらにしばらく上る。

左へ駒の尾への道を分け、左手に後山・船木山登山口の道標が現れると、すぐに立派な駐車場に着く。
丸太造りの登山道を少し登る
登山口の道標
駐車場から、わずかにあと戻りした所に登山口はある。

短く植林帯の中を抜けると落葉を踏んでの登高だ。左手には沢の音、背後には別名、美作富士の名に違わぬ綺麗な三角錐を見せる日名倉山や、その右遥か彼方、小豆島をも望みながら気持ちよく登って行く。
振り向けば樹間からは次第に日名倉山が端正な姿を見せてくれるようになる 沢沿いの道を行く
背後に日名倉山 沢沿いの道
やがて沢を二度渡ると、登山路は沢を離れジグザグに急登するようになる。右下には樹間に後山地区が見え隠れするが、それも束の間、次第に植林を見ながらの登高に変わる。

沢の源頭部らしき、ほんの小さな流れを見て、さらにもう少し植林帯をジグザグに急登すると、ようやく明るい尾根に出る。
あいにく展望は利かないが傾斜も緩くなり気持ちが晴れる。
尾根に出れば、あたりはずいぶん明るくなるが・・
尾根に出ると明るくなる
しかし、気持ちのいい歩行はそう長く続かず、右へ行場(?)への標識跡を見ると尾根までしばらく直登の道が続く。この付近が本コース上、最もきついところだ。
階段状の登山路をしばらく急登 上方に稜線の標識が見えてくる
階段状の登山路を直登 稜線は間近
下草の植生が変化してくると、やがて登山路脇から木々が消え、ササが覆うようになると傾斜も緩くなり間もなく稜線に出る。

船木山は、右(東)へ後山への稜線上をほんの少し。
船木山山頂は稜線上の通過点に過ぎない 稜線に出ると日名倉山がずいぶん低く見える
船木山 日名倉山
船木山は稜線上の通過点に過ぎず小さな標識があるだけだ。船木山をあとに後山に向かい歩き出すと、すぐにちくさ高原への道を分け、ブナの古木も見られる稜線歩き。

一旦下り、ササ原を縫って少し登り返すと岡山県最高峰、後山山頂だ。
間もなく後山だ 後山山頂
後山山頂部と冬支度の山頂の祠
登山口に来るまでは、あんなによく見えていた稜線も、いつの間にかガスがかかり展望は利かなくなってしまった。

兵庫県側は、まるでナシ。先ほど通ってきた船木山や、これから歩こうとする駒の尾山へと続く尾根も今は見えない。

しばらく休憩の後、駒の尾へ向け出発するが、稜線からガスの晴れない分、気分も少し重い。
ガスの船木山方面
ガスの船木山
船木山を通過、後山キャンプ場への分岐を過ぎると、ブナやモミの点在するササ原を気持ちよく歩けるようになる。

小さく下ると、これから鍋ヶ谷山までは大したアップダウンもなく大変歩きやすい道が続く。
ブナ林も広がる稜線を快適に歩く
ブナの落葉の道
以前ここを歩いた残雪期には、中途半端に横たわったササが足手まといとなりずいぶん歩きづらかった。

ルートさえはっきりしなかったことを思うと今回は雪はないので雲泥の差ほど歩きよいが、そこがなかなかうまく行かないところ。如何せん、周りのササの背丈が約2メートルほどもあり展望が利かない。

これから向かう駒の尾方面ですら登山路越しに時折見える程度だから、右や左の展望は全くない。

それでも、かつて引き返した鍋ヶ谷山まで来ると、駒の尾が正面に端正な姿を見せてくれるようになる。
鍋ヶ谷山からは駒の尾山が望める 駒の尾山の左に那岐山
鍋ヶ谷山から見る駒の尾山 駒の尾山と那岐山
少し下り、小さくアップダウンしながら進むようになり、小さなピークの度うしろを振り返ると船木山や後山が遠くに見えるようになる。
ササの中の縦走路を行く 鍋ヶ谷山、後山、船木山(左から)
鍋ヶ谷山付近の縦走路 後山と舟木山(左手前が鍋ヶ谷山)
鍋ヶ谷山から駒の尾山までは案外近く、知らず知らずのうちに避難小屋前の分岐に着く。

山頂は目と鼻の先。
避難小屋前の分岐 駒の尾山東すぐの避難小屋
小屋前の分岐
左、ダルガ峰、右、後山方面分岐
避難小屋
広々とし石のオブジェで整備された駒の尾山山頂からは、これまでの鬱憤を晴らすかのように一気に展望が開ける。

国定公園名に名を連ねる氷ノ山はガスで見えないものの、西にはもう一つの那岐山がその分までひときわりりしく見える。

那岐山から南東にかけては、いかにも『おかやま』らしいなだらかな丘陵帯が広がる。
東山とガスの氷ノ山
北望
東山、氷ノ山
那岐連山 駒の尾山山頂 船木山、後山
西望
那岐山
山頂 東望
船木山、後山
南東に日名倉山
南望
日名倉山
しばらくのんびり展望を楽しんだら山頂を後にする。

山頂南の尾根には麓の駒の旺山荘へ下るルートもあるが、下山後に入山した後山キャンプ場まで戻る手段に問題ありと見て、先ほど歩いて来た道を引き返す。
駒の尾山より後山方面を望む
後山を正面に見る
背の高いササ原の中を鍋ヶ谷山、船木山へと戻る。

当たり前だが、展望のないのがちょっと寂しい。ブナ林が現れ、少し登ると下山路分岐。

稜線を外れ階段状の道を下って行く。しばらく急坂を下り左へ分岐を見ると傾斜は緩くなる。尾根を外れると植林帯をジグザグに下るようになり、やがて、沢に出合う。

これからは気持ちのよい自然林帯を沢沿いに下り、正面の日名倉山が徐々に低くなり植林帯を通過すると、すぐに林道に出る。
キャンプ場駐車場はすぐそこだ。
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
後山〜駒の尾山間の縦走路、岡山県下では最も高い所を歩くことのできる縦走路だが・・・、周りには背丈の高いチシマザサが繁り稜線上ではあまり展望を得ることができない。

むしろ、積雪期の方が稜線上からも展望は開けるはずだ。
駒の尾山避難小屋の外観や構造、内の広さ、間取りは入り口のドアの構造、材質を除けば那岐山のそれとほとんど同じ。

利用者が少ないせいか、こちらの方が老朽化は進んでいない。”かまど”もある。

10人位なら楽に宿泊可。水場なし。
◆【残雪期の記録はこちら

◆【残雪期の画像一覧はこちら

◆【日名倉山の記録(雛倉神社より)はこちら

◆【東粟倉村のホーム・ページはこちら



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