この23日〜25日は折角の年内最後の連休もどきだったので、そのいずれかの日に出来れば大山に行きたかったのだが、あいにくの荒天に、結局、前の二日間は何処にも行けず24日の夜を迎えてしまった。
辛うじて明日は、折からの豪雪にあって何とか冬型の気圧配置が少し緩むとの天気予報を得て、
「何処かへ行こう。」
と思いながら最終日の25日の朝を迎えたものの、あまり気乗りがしないままこの日も時間だけが過ぎてしまっていた。
「天気は良さそうなのに、これではもう大山には行けない。」
大山は到底無理なのだが、いくらなんでもこの好天に家でじっとはして居られず、そこに比べるとかなり近く短時間での山行が可能な那岐山に向かうことにした―。
兵庫県側では先日降った雪も大して残っていなかったが、岡山県側に入ると一面、真っ白の景色が広がっていた。
奈義町に入り、高円でR53を左折し山側へ入る頃には朝、立ち込めていたと思われる朝霧もようやく晴れ、冠雪したまばゆい那岐連山がようやく目の前に姿を現せる。
これまで何の支障もなかったものの、すっかり晴れあがった空とは対照的に足元が不安になってきた。
『山の駅』辺りからは道路上にかなり残雪があり、やがて圧雪状態に。
無理をおして登山口の駐車場まで車を進めたものの、除雪はおろか轍すらなかったのであえなく引き返し、先に山に入ったと思われる人達の車に習い道端に駐車。
「こんな日に(山に)行っとう人、おるん(いるの)?」
と、家内に言われながら家をあとにしたが、こちらとすればあくまで
「案の定」。
何人もいた。
降積雪に対する万全の準備を整えたら歩き始める。
駐車場を過ぎ、しばらく林道を歩くと辺りの景観が記憶にあるものとは一変していることに気付いた。
植林帯だったこの付近の木々が根こそぎなぎ倒され丸坊主となり、何も無くなってしまっているではないか。
去年や今年襲来した台風のつめ跡のようだ。
那岐連山を吹き下りる強風のことを『広戸風』とも云うらしいが、この様は正にその風の仕業に違いない。
それにしてもひどい光景だ。 |
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蛇淵の滝入り口を過ぎ、もう少し歩くと登山口に着く。
すでに、すっかり雪上歩行の様相だが先行者のトレースがしっかりあるので、むしろ無雪期よりも歩きやすい。
すぐにBコース分岐を見るが、この方面には踏みあとなし。
Cコースを進むと、先ほどよりもさらに様変わりした光景を目の当たりした。
ここも以前は植林帯の薄暗い中の登山路だったが今は遮るもののない中を歩くようななってしまっている。
倒木の無残な姿は今はそのほとんどが雪の下で見る影はないが、雪のない時期に見るのは忍びないことは雪の形がいびつに盛り上がっていることで容易に想像できる。
そんな中にあって唯一ともいえる良いことは、これまではまったく見ることの出来なかった山頂部がここからでも仰ぎ見れること。
思わぬ発見もあったりするが、それにしても『広戸風』の置き土産はあまりにひどいとしかいえない。
その中をしばらく歩くと林道上部に出る。
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B・Cコース分岐点 |
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かつての植林帯は何処へ行ってしまったのか・・・ |
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ここで一人の男性に追いついた。
この人が入山準備中に車の脇を通り過ぎて行った人だったことは、この少し前から解っていたのだが、話してみると、
「び、びっくり。」
な、何と先月、那岐山〜滝山〜広戸仙と縦走した際、お世話になった勝央町のTさんだった。
先週にも荒天を突いてここに来られていたようだが、それにしても、ここでまたお会いするとは・・・。
ここからが、いわば本当の山中ともいえるところだが、以後も植林の倒木は相変わらず。
正面上部に山頂部や、左手(コースがジグザグなのでこうなります)にAコース上の1,010メートルピークの形のいい山容を見ながら歩くうち、植林帯では次第に傾斜はきつくなる。
この付近まで来て、ようやく倒木はなくなり元来の山容を見せてくれるようになった。
やがて、潅木林を縫って歩くと大神岩に着く。
すっかり雪の下になってしまっているが、その上らしきところに上がると眼下には日本原高原が綺麗に化粧した姿を見せてくれた。 |
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1,010mピーク |
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大神岩上より見る日本原高原 |
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短く景色を楽しんだら、山頂稜線へ向け再度歩き出す。
広葉樹帯の登山路は、緩やかな登りであることもあり苦にならない。
八合目標識を見ると傾斜は次第に急になり、樹林帯を抜けると歩いてきた尾根筋や先ほどまでいた大神岩付近、その彼方には日本原に点在する民家や田畑が、やはり白化粧の姿で目の前に広がった。 |
八合目 |
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『山頂まで500メートル』標識を見れば展望はさらに広がり、左手には滝山〜爪ヶ城へと続くたおやかな稜線が横たわり、右手には山頂部が間近に見えるようになる。
強風吹きすさぶ中、短く歩くと稜線に出る。 |
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山形仙〜広戸仙〜滝山 |
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山頂(左のピーク)方面 |
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さらに風はきつく吹きつけるものの周りに広がる光景は素晴らしいので、これも許すとしよう。
足早に山頂方面へ向かい避難小屋へ。
中には板の間がほぼ一杯の約10人の人。
避難小屋の恩恵を存分に受けながらゆっくり食事を摂ったら山頂へ向かう。
振り向けば、すでに傾きかけた太陽に旧、三角点がまばゆい。
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那岐の家と滝山方面 |
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山頂に着けば360度の眺望は素晴らしい。
南方、足元に広がる日本原高原の遥か彼方にうっすら小豆島の影が見えることでも分かるとおり、展望は総じてよく利いた。
ただ、東方、氷ノ山、三室山等の兵庫県との県境の山々や西方、大山等、この地域においての標高の高い山々は寒気に伴う雲がかかり、山頂部を確認することは出来なかった。 |
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那岐山山頂直下より避難小屋(左)と旧、三角点 |
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山頂部の雪紋 |
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山頂の様子と旧、三角点方面 |
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さすがに、この積雪では東へと延びる稜線(A、Bコース方面)を歩く勇敢(?)な者は居らず、トレースはなかった。
強風下、しばらく展望を楽しんだら、こちらも皆に習い往路をたどり山頂をあとにする。
避難小屋前を通り旧、三角点のもう少し先まで進んでみる。西へ延びる稜線上にもトレースはなく、ここにもチャレンジャーは居ないようだ。
山頂で見たものと同様の雪紋がここでも見られ、西に延びる滝山への稜線は山頂からの景観よりもむしろ素晴らしかった。 |
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那岐の家付近より西望 |
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那岐の家付近のシュカブラ |
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旧、三角点まで戻ったら、眼下に見える市街地向け一気に下る。
トレースは幾分、幅広になったようで、登る際に比べるとずいぶん歩きやすい。
大神岩で再度、展望を楽しんだら急坂を下る。
高くなりつつある山頂部も眺めながらしばらく下ると、無残な姿をさらけ出す林道出合い。
先行者をパスし林道・登山口に着く頃には足元の雪も融け、ほとんど路面を歩くような箇所もあった。
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下山路より山頂部を見上げる |
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ところどころアスファルトの見えるようになった林道をもうしばらく歩くと登山口・駐車場。
駐車地点は車道をほんのわずか。駐車地点でアイゼンを脱ぎ山行を終えた。
帰路、夕映えの那岐連山が見れるかと思い塩手池に足を延ばして見た(標題画像)。
時間的に、ちょうど日暮れ前のいい時間だったので少し寄り道してみたが、あいにく西陽は雲にさえぎられていて、思い描いたような光景は見れなかった。 |
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