那岐山〜滝山〜広戸仙

山形仙〜広戸仙(爪ヶ城)〜滝山〜那岐山の山容を映す塩手池
◆【山行日時】 2005年11月26日  晴れ

◆【コースタイム】

智頭町・登山口駐車場=10分=登山口=25分=林道出合=30分=Bコース出合=10分=那岐山山頂

=22分=東屋=30分=滝山山頂=30分=最低コル=33分=広戸仙(爪ヶ城)山頂=45分=金山林道=30分=声ヶ乢

◆【正味歩行時間】  4時間25分


パタゴニア



◆【詳細】

今年の初夏、6月初め、4年ぶりに見事な花をつけるというサラサドウダンを見るため鳥取県智頭町から西仙コースで那岐山に登ってみると、中腹にあるはずの馬の背小屋が消失してしまっていた。
階段状の登山路 その小屋が再建されたとの記事をつい先日、WEB上で見つけたので、智頭町・登山口から東仙コースで那岐山に登り滝山まで歩いたあと、往路を『那岐の家』まで引き返し、そこから西仙コースを下り帰路に真新しい小屋を確認すべく出掛けたのだが・・・。



登山口からは案内図に従い左手に延びるコンクリートの道をしばらく歩く。(画像クリックで拡大)
国定公園 那岐山登山道案内図

右手に見えていた沢を渡ると登山口の案内標識があるので、ここからは登山道となる。

登山道といっても、しばらくは階段状の急な上り。
いきなりの急階段
グングン高度を稼いだらホンの少し下り、小さくなった先ほどの沢を渡ると再度、急な上り。

源頭部を巻くようになると傾斜はいくらか緩くなり、その後はこれまでと比べるとずいぶん大きな尾根を歩くようになる。

右手、下方に時折、登山口方面の広域林道も見ながらしばらく歩くと、やがて黒尾峠からの林道の広場に出る。

立ち枯れの木々がずいぶん近くに見えるようになるが、頂稜部はここからではまだ目にすることはできない。
林道出合
林道出合
階段状の急坂 再度、山中に入ると辺りの木々の植生が、これまでとはずいぶん違うことに気付かされる。

これまでの常緑樹帯に代わり、ササ床にすっかり落葉した潅木の落葉樹帯なのでとても明るく気持ちよい。

間もなく現れる恐怖の階段上りでも、このルートで下った際には、あまりの急な下り坂に
「出来れば、ここを登ることは避けたい・・・。」
と思いながら歩いたものだが、いざ歩いてみると、下る際に感じたほどの苦痛を感じなかったのも、気持ちを楽にさせてくれる一因だった。

登山口付近の急な上りでも感じていたのだが、意外と上りよりも下りの方が急な坂であると感じてしまうのは目線の位置が違うからだけかもしれない。
登山口付近に続き、再度、階段状の急な上り
この付近、右手には自然林帯、左手には植林帯の広がる尾根筋の登山路だが、左手の植林帯では昨年来のいくつかの台風の影響でかなりの数の倒木が見られる。

何箇所か、登山路を塞ぐように倒れたものもあるが幹や根っこの部分を乗り越したり、巻いてやり過ごせば問題ない。

階段のゲキ上りをこなす頃には樹間から山頂部も望めるようになり、頂稜部が近いことを感じ取りながら歩けるようになる。
樹間から頂稜部が見えるようになる
樹間から頂稜部が見えるようになる
岡山県・奈義町からのAコースとの合流点 登山路の傾斜が緩み、潅木帯を歩くようになると菩提寺からのルートであるAコースと合流。

Bコースとの合流点も目と鼻の先。
岡山県・奈義町からのAコースとの合流点
稜線を緩やかに上りながらしばらく歩くと那岐山山頂や避難小屋も見えてくる。

ここまで来ると展望が開けるが、あいにくモヤが晴れず眺望は思うに任せない。

それでも、山頂に着けば西に広がる滝山方面の景観が素晴らしい。

短く休んだら、目的地である滝山方面へ足を向ける。

稜線に出るまでや潅木帯を歩いている時は、吹く風にもさほど寒さを感じることはなかったが、さすがに稜線に出ると風が直接からだに吹きつけるので体感的にはかなり寒い。

『BREAK POINT・那岐の家』先ではその風を避けるように単独の人がササの登山路で昼食中。

とりあえず、稜線途中の東屋まで歩くこととし、しばし稜線漫歩を楽しむ。

東屋手前で声ヶ乢〜那岐山縦走中の人とすれ違い、東屋では一人の人が昼食中。

予定ではもう少し先の独自のビューポイントで昼とするつもりだったが、つい話し込んでしまいここでこちらも昼食とすることにした。
那岐山山頂と旧三角点、避難小屋(右から)
那岐山山頂と旧三角点、避難小屋(右から)
『那岐の家』西より縦走路を見る
那岐の家付近より滝山への縦走路と左奥に広戸仙(爪ヶ城)
正面に滝山を見る この人、ほぼ地元ともいえる岡山県勝央町からの単独の人でここ数年来、足しげくこの山域に通われているらしい。

食事を終え東屋をあとに歩き出し振り返ると、先ほどまで小さくしか見えなかったはずの滝山がやけに大きい。

左手眼下に見える数多くの池はモヤの中に白く輝く。
滝山(左奥)を正面に見ながら歩く
ビューポイントまで来て振り返れば、やはり那岐山が素晴らしい景観を提供してくれている。

ここまで来れば滝山は間近となり階段の急な登山路を歩くようになると滝神社分岐。

もう少し歩けば展望デッキのある滝山山頂だ。
ビューポイントより那岐山を振り返り見る
ビューポイントから見る那岐山
滝山山頂展望デッキ上より見る那岐山 滝山に着くと先ほど東屋で出会っていた勝央町からの人がデッキ上におられた。

やがてその人から
「もしよければ、これから広戸仙〜声ヶ乢までご一緒しませんか?」
と、思いも掛けない提案を受けた。

考えて見ると今回の最大の目的は馬の背に完成した避難小屋を確認することだったはずなので、それを実現するにはここで折り返さなければならない。

ところが、このひと言でこの先のルートをどうすべきか大きく気持ちが揺らいでしまったのだ。
滝山展望デッキより東望
東屋でも話した際、こちらが鳥取側から入山したことは伝えていたはずなので(この人は岡山側・蛇淵の滝からBコースで入山)、それを理解した上でこの提案をされているのだから下山後の車の回収を承知されているはず。

こちらとしても那岐山〜滝山間は何度か歩いているものの、そのまだ西の広戸仙までとなると車の回収の問題が大きく立ちふさがり、これまで足を延ばせずにいたのだが、こんな機会は滅多にないと感じ、この際、避難小屋の確認は次の機会として、お言葉に甘え同行させてもらうことにした。

今回の山行ルートは思いもよらず、ここで大きく変動することになった。
滝山西より広戸仙
滝山付近より広戸仙(爪ヶ城)を望む
滝神社分岐付近から望む那岐山 となると、下山後の時間的な制約があり先を急がなければならず、早々にここをあとにする。

しばらく歩くと(15分ほど)、かつて下ろうとして発見出来ずにいた滝神社への分岐を確認。

ここからは基本的に最低コルまで標高差150メートルほどを一気に下る。

次第に聳えるようになる広戸仙と同様に、振り返れば背後には滝山が大きい。

最低コルで右手からのルートを合わせると、ここからは
”ふるさとコース”の一部を歩くようになる。
滝山西方、滝神社分岐点付近から那岐山を望む
名前は”ふるさとコース”でのんびりしたルートようにも思えるが名前とは裏腹にずいぶん厳しい上りが続く。

石柱のある小ピークまで来れば、広戸仙山頂がようやく間近になる。

もう少し頑張ると、ようやく広戸仙(爪ヶ城)山頂だ。
(画像クリックで拡大)
広戸仙(爪ヶ城山)登山コース案内板
広戸仙の上りより滝山を振り返る
広戸仙の上りより大きくなった滝山を振り返る
広戸仙山頂 広戸仙山頂のアセビ(?)と滝山(左)、那岐山・旧三角点
広戸仙(爪ヶ城)山頂 広戸仙山頂のアセビ(?)と滝山(左)、那岐山・旧三角点
山頂直下の第3展望所より日本原高原を俯瞰 山頂から振り返り見れば、滝山ですらずいぶん遠く感じられるようになり、那岐山にあっては遥か彼方といっても過言でないほどの存在になってしまい、歩いてきた道のりの長さを実感できた。

小さな岩の上に上がりしばらく滝山、那岐山方面の展望を楽しんだら、山頂直下の第3展望所からは眼下に広がる日本原高原やそこに点在する多くの池の景観を楽しむ。
山頂直下の第三展望台より日本原高原を俯瞰
展望所からは甲山へと続く尾根の急坂を下って行く。

ササ床を形成しているこの付近のササは、色つやが特に見事だった。

立ち枯れの潅木帯を下って行くうち、次第に高くなる滝山や彼方に見える那岐山に一抹の寂しさを覚えた。

やがて顕著な尾根を下るようになる頃には滝山はさらにその高度を増し、那岐山もずいぶん小さくなってしまう。
第3展望所より下山ルートの尾根と甲山を見る
第3展望所より下山ルートの尾根と甲山を見る
左手に滝山や遠くに那岐山を見ながら下る 広戸仙稜線と下って来た尾根
左手に滝山や遠くに那岐山を見ながら下る 広戸仙稜線と下って来た尾根を見上げる
兜神社跡を見ると尾根をはずれ、植林帯の急坂を下るようになる。

薄暗い植林帯をもうしばらく下ると下山口の金山林道に出た。

声ヶ乢までは2,500メートル(標識による)の林道歩き。

早足で30分ほど歩いたら、先行して自身の車を回収に向かわれたTさん(滝山〜広戸仙間でお名前をお聞きしました)と出合い、Uターンして短く走ったら声ヶ乢に着いた。
金山林道・下山口
金山林道に下山
声ヶ乢・登山口 声ヶ乢の登山案内板を見ながら今日のルートについてTさんよりしばらく話を聴かせてもらい、山麓にある塩手池で池面に映る山形仙〜那岐山(表題画像)を見たあと自身の入山口であった鳥取智頭町の登山口まで送ってもらった。

遠路、送ってもらったお礼を丁重に告げ、大急ぎで家路に着いた。(本当にありがとうございました)


今回の山行は新調の避難小屋を見るという本来の目的は達成できなかったものの、Tさんに出会ったことでそれを差し引いてもまだ余りあるどころか、この上ないお釣をもらった感のものとなった。
(それにしてもこのTさん、足が速かった)
声ヶ乢・登山口

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