◆【山行日時】 2007年3月17日 くもりのち時々晴れ
◆【詳細】
この日の入山前の最大の懸案は、わかさ氷ノ山スキー場・最上部の第3リフトが稼動するかどうかだった。
パトロールで登山届けを提出する際、恐々このことについて尋ねると、「今日は動いてます。」と、嬉しい返事が返ってきた。これで30分以上は時間短縮できるわけだが、それ以上に嬉しかったのは、あの急斜面を登高しなくても済むことだった。
今日の同行者は昨年もちょうど同じ時期に氷ノ山を一緒に訪れた、大山のIさん。
その際、大山にはないのんびりとした稜線歩きに氷ノ山の魅力を見出されたIさん。数日前にメールが入り、即決で今日のツアーとなった。
リフトを乗り継ぎ、トップで準備したら新雪の尾根をツボ足で歩き出す。(8時35分)
足あとはなく、吹き溜まりではひざほどまでのラッセルだが、さほどの苦もなく順調に高度を稼ぐ。急坂が終わり植林を抜けたあたりからはシール歩行。いつもなら雪庇が出来る箇所だが、今年はそれもほとんど見られず難なく通過。
左手には氷ノ山山頂や三ノ丸の櫓、東屋も見える。天候は芳しくないとの予報だったが、少しは回復傾向のようだ。
ブナの森まで上がれば見事な樹氷が出迎えてくれた。(9時25分)
青空に映える樹氷はいつ見ても素晴らしく、気持ちも和らぐ。
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ブナの森より東山、鳴滝山 |
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三室山(中央やや右)方面 |
ここからは沖ノ山、東山、鳴滝山を遠景に雪原を行く。
先月に比べると積雪は少し増したようにも見えるものの、それでも例年とならずいぶん少なく、ササや潅木の頭がやや目障り。
右に三室山、後山や奥播州の山々、左に氷ノ山山頂への稜線や青が丸、仏ノ尾、扇ノ山への但馬の山々を見ながらのんびり歩くと、やがて氷ノ山、東屋、三ノ丸の櫓、避難小屋が横一列に並んで見える。
三ノ丸では避難小屋には立ち寄らず、櫓のところで小休止。(10時10分)
好天時は小屋のお世話にならず、ここで休めるのがご褒美。大山方面はガスで見えないものの、ほぼ真っ白に雪化粧した山頂南斜面はじめ、他もぐるりとよく見え絶景が広がる。
すぐ北の天然スギがモンスターと化しているのを見ると、二の丸のモンスターがどんな姿を見せてくれるか今から楽しみだ。
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仏ノ尾(左端)、赤倉山(中央左)、氷ノ山 |
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氷ノ山山頂、鳥取側東屋、三ノ丸櫓、三ノ丸避難小屋(左より) |
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三ノ丸北方のミニ・モンスター |
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三ノ丸避難小屋(右端に落折山とその奥に黒尾山) |
ワサビ谷の頭・北斜面は、ほぼ潅木は埋まりきり、目に見えて積雪量が増していた。
小さなアップダウンはトラバース気味に歩き、ショートカット。
二の丸付近の天然スギは思ったとおり大きなモンスターと化していた。
ここまでは期待通りだったが、いざ青空に映える山頂をバックにモンスターを撮ろうとすると、デジカメは広角が苦手なのがいけない。何度かこの景色に遭遇する度、アングルを決めようとしても入りきらず、結局お決まりのアングルでしか撮れない。
少し無理を推してでも、ここでは広角レンズ持参が必須。
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稜線より見る扇ノ山 |
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天然スギと氷ノ山山頂 |
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モンスター群を見上げる |
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山頂直下を行くIさん |
ここから山頂は目と鼻の先。
真っ白となった大屋川源頭の沢をぐるりとトラバースし、もうしばらく歩くと山頂に到着だ。(11時30分)
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氷ノ山山頂小屋(左に鉢伏山) |
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氷ノ山山頂より三ノ丸方面南望 |
リフトと同じくらいの懸案だった天候もすっかり天候したので、足早に神大ヒュッテへ向け滑る。
ここも先月となら積雪量は増し、ササはほぼ隠れ気味。
もちろん「パウダー満喫!」とまでは行かないまでも、先の滑走に比べればいくらか格好のついた滑走ができた。
神大ヒュッテ脇で即席の小さな雪のテーブルを造り、ランチタイム。風もなく、まずまずの昼食となる。
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神大ヒュッテより県中央部の山々
(左の白い箇所が大段ヶ平 中央右より、藤無山) |
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雪の少ない神大ヒュッテ付近
(昨年となら2、3メートルも少ないだろうか) |
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腹がよくなったら、山頂小屋内で出会っていた横行谷からの人が付けたと思われるトレースを拝借してハイクアップ。わずかなことながら、ずいぶん助かり30分ほどで山頂着。(13時40分)
小屋で小休止していると、さきほど千年スギ付近まで滑り降りていた二人が上がって来た。
話をすると山頂南を歩いていて振り向いた際、ワサビ谷入口付近を歩く二人の人影や、それ以前、朝、駐車場でいかにも山に入りそうな風体の人を目にしていたが、どうやらそれが彼らだったようだ。
しばらく談笑したのち往路を戻るという彼らを小屋に残し、こちらは氷ノ山越え方面に向け滑る。(14時20分)
北斜面は昨年同期と比べると積雪量の少なさは明らかで、潅木がかなりうるさい。それでも雪質はこれまでよりもずいぶん良く、こちらでも気持ちよく滑れるのが救い。
沢筋へと滑りたいところだが、下るほどに潅木はさらにうるさくなるばかりなので、短く滑ったらコシキ岩下の稜線へ向けトラバース。
稜線に出てひと息ついて見上げれば、凍てついたコシキ岩や八木川源頭の潅木にへばりついた樹氷が素晴らしい。トレースはないのでこの景色は我々が二人占め。
稜線上やその西側にはブナの樹氷も見られるものの、ここでは潅木の”木氷”のほうがいかにも小さな花がたくさん咲き誇ったようで、見映えがして見えた。(表題画像)
氷ノ山越えまでは小さなアップダウンがある。
雪が多ければ場所によってはトラバースできるのだが、いくら先日降ったとはいえ絶対的な積雪量が足らず潅木がうるさすぎ、やや苦労しながら次第に高度を下げる。
小屋手前のコブはカニ足で少し登り返し、最後は兵庫県側の斜面を滑ると氷ノ山越えの小屋前に出た。(15時10分)
時刻は15時を回っていたので少し気になるところだったが、ティータイムとし短くブレイク。
再度、気を引き締めなおし若桜方面へ下る。(15時50分)
初めは密な植林の急斜面だが、新雪なので難なく下る。しばらく下ると植林は次第に疎林となり、一部気持ちよく滑れる箇所もあった。
前方に段のある台地状の箇所を過ぎた付近からは潅木の密林となり、やや苦労しながらの下り。
ススキの斜面に出ると正面に陣鉢山や左手に三ノ丸付近の稜線とスキー場全景、響の森、氷太くんを見れるようになり、気分も晴れる。
雪原に導かれるように再度、密な植林帯に入り、樹に激突しないように注意しながら下るとやがて林道の氷山命水に出て、ツアーはひとまず無事終了した。(16時50分)
『氷山名水』を土産とし車道脇の雪を選ってさらに滑り、最後は車道を少し歩くと駐車場に戻った。(17時25分)
下山が少し遅くなった感もあったが、陽が長くなったことと好天に恵まれたことにより日暮れの切迫感もほとんどなく、充実のツアーとなった。
◆【ワン・ポイント・アドバイス】
荒天下に限らず好天であっても雪山では充分な知識、装備をもって臨まなければなりません
なかでも地形図、コンパスはどのような状況においても最重要な必須アイテムです
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