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キャンプ場の新緑 |
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布滝 |
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布滝、不動滝を左右にわずかに見て、小豆ころがし付近のつづら折れの急坂を歩く。
気温が高いせいか一気に汗が吹き出るものの吹き渡る風は涼やかで、木洩れ陽を見ながらの歩行は気持ちいい。
しばらく急坂も、やがて下り基調になると、スギ林の向こうに地蔵堂。
このお堂はかつて、浜坂出身の不世出の登山家・加藤文太郎もお世話になったというお堂だ。
外観は決してよいとはいえない波板張りだが、なかに鎮座する地蔵はなかなか立派なもの。
小休止し、知りうる範囲で彼に想いを馳せてみる。
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加藤文太郎ゆかりの地蔵堂 |
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伊勢道を髣髴とさせる登山路 |
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木地屋跡を見て伊勢道を想い起こさせるような石畳風の道を経ると、『山頂まで3.0キロ』ポスト。
ここまで来るとこれまでの潅木の新緑に代わり、ブナの新緑が目に映えるようになり、左手上方には氷ノ山山頂の避難小屋も確認できるようになる。
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左手上方に氷ノ山山頂を見る |
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ブナ林の新緑 |
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『とうろう岩』(どれがそれだか・・・?)、『弘法の水』(あいにく、水なし)を見ると『同、2.5キロ』ポスト。
付近の道端には数輪のイワカガミ。
ところで、このポストの上部に1155mの手書きの数字。
「はて、この数字の意味するものは?」
この時点では数字の意味を理解できずにいたが、次の『一口水』標識にもあった同じような1225m走り書きを見て、この数字も含め、先の数字の意味も分かった。
きっとこの数字は標高を示しているに違いないと。
一個人が記したことだから信憑性には欠けるところは大きいと思うが、氷ノ山越えが標高1250メートル前後であることを考えれば、少しは励みに出来るかもしれない。
いずれにしても氷ノ山越えは、そう遠くない。
『一口水』(流水あり)から氷ノ山越えまでは5分強。登山路の先に避難小屋が見えれば、当面の目的地に到着だ。
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氷ノ山越え避難小屋 |
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氷ノ越えの石仏 |
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小休止したら、大方の人とは反対の鉢伏山方面へ向かう。
短く急登するが、このルートは先日行われた登山大会でひとつのルートになっていたせいか、登山路は見事に整備が行き届いた状態。
ブナの大木を見てササ原を歩くようになると右手に氷ノ山が見渡せる箇所に出る。
「この辺がええかな〜。」
と思いつつ歩を進めると、それもそのはず、『展望場』ポストがあった。
ザックを下ろし、しばらく風景に見入る。
しかし、時間がちょうどお昼ごろだったこともあり八木川左俣源頭部に陰影はなく、わずかに残る残雪がコントラストを演出してくれてはいたが、それはあくまでワンポイント的な物にしかみえず、平面的な構図をぬぐう物にはなりえなかった。残念。
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氷ノ山を望む |
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再度、氷ノ山越えへ戻り、皆に習い山頂目指す。
今春にスキーで下った際にはあんなに早く下れたから
「そう遠くはないサ。」
と、高をくくっていたが思った以上に時間が掛かる。
仙谷分岐まで来れば、コシキ岩が眼前に立ちはだかり、山頂はそのすぐ上方。
コシキ岩を直登すればイワカガミに出会え、思わぬ副産物的ご褒美を得た。
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コシキ岩のイワカガミ |
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氷ノ山は間近 |
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山頂では青空の下、それぞれ昼食中。
皆に習って店を広げてもよかったが、陽射しが強かったので鳥取側の展望所で昼とする。
間もなく同県主催のイベントでもあるのか、ただ単に定期点検か、県職員の方がバイオトイレのメンテナンスをされていた。
展望はややモヤがかかり大展望とは行かなかったが、南面には三ノ丸の後方の三室山、後山方面や、藤無山をはじめとする奥播州の山々、北面には陣鉢山や青ガ丸、仏ノ尾、扇ノ山等の山々は望むことが出来た。
久しぶりに見る、山頂から三ノ丸にかけての笹の海原は素晴らしく、あらためて氷ノ山の魅力を再認識するものとなった。
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氷ノ山山頂より三ノ丸方面南望 |
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氷ノ山山頂より扇ノ山、青が丸と赤倉山(手前)北望 |
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昼食をとりながらしばらく休んだら、神大ヒュッテへ向け下る。
雪の時期なら快適に滑走できる箇所だけに、一歩一歩下らなければならないこの時期の歩行にもどかしさを感じるが、新緑を楽しみながら歩行すればそれはそれで意義あるものとなる。
徒歩ででも15分もすればそこに着いてしまうほどの距離だから、スキーで下ればあっという間に着いてしまうのもうなずける。
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大段ヶ平(尾根上の白い箇所)を眼下に見ながら下る |
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氷ノ山山頂付近より鉢伏山、ハチ高原 |
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積雪期には素晴らしいブナの姿を見せてくれるヒュッテ近辺だが、新緑のこの時期はこの時期で、その頃にも勝るとも劣らずいい雰囲気をかもし出している。
ヒュッテ前に佇んでいる数人の人が若い人ばかりだったことも、その雰囲気を余計に”絵”的にしていたのかもしれない。
若さに勝るものはないってことだろうか。
当の神大ヒュッテでは大昔にそこを卒業したと思われるOBの人たちが今日の寝床の準備にいそしんでいて、そのあわただしさが彼らののんびりした姿と対照的で滑稽にも見えた。
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神大ヒュッテ付近の見事なブナ |
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神戸大学ヒュッテ |
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ベニドウダン |
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イワカガミ |
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東尾根を下るようになると小さな沢を渡り、進行方向を北向きに変えると一の谷を巻くように下る。
ドウダンツツジ群生地でベニドウダンのつぼみを見て、気持ちの良い新緑の潅木帯をもうしばらく下ると東尾根休憩舎。
すぐ先で尾根を末端まで歩くルートと別れ左手にルートを取り、階段状のスギ林の急坂をしばらく下ると潅木帯を下るようになる。
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東尾根休憩舎 |
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タニウツギ |
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林道出合い・下山口 |
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満開のタニウツギを見ながら下ると、先ほどから眼下に見えていた国際スキー場脇の林道に出た。
キャンプ場の木陰でコーヒーを飲みながらしばらく余韻に浸り、その後はアスファルトの林道をしばらく下り、登山口だった親水公園に到着した。
赤倉山方面からの眺望は時間的なこともあり思ったような光景を得ることは出来なかったが、谷筋の潅木帯や稜線のブナやミズナラをはじめとする見事な広葉樹林の新緑、久しぶりに見る山頂からの雄大な風景に氷ノ山の懐の深さ、奥深さを感じれる山行となった。
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