このお盆に行くはずだった白山に、紅葉を求め行ってきました。
お盆はカミさんと一緒でしたが、今回は一人。
当初は市ノ瀬からチブリ尾根経由、別山に達したあと南竜ヶ馬場へ向かうつもりでしたが、より短時間で南竜ヶ馬場のテント場に着けるルートとなると必然に上記ルートとなり、ここにテントを張ったうえ、定着スタイルで室堂、御前峰へと向かうことにしました。
◆【第一日(10月7日)】 晴れのち時々雨 夕方から晴れ
朝6時半頃、市ノ瀬で別当出合行きのバスに乗り込むと見覚えある顔の青年。
昨日、永井旅館の風呂で会っていた若者たちだった。
昨日は、朝一のバスで登山口に向かうようなことを話してたので、てっきり出発した後かと思いきや、意外とのんびりしてたようだ。
彼らは京都の大学生で、YMCAのボランティア研修で白山を訪れたらしく、当の彼は本格的な登山は初めてとのことだった。
自分もこの年頃に、こうやって来てたようだが、今となればずいぶん昔の話し。
ハイカラな出で立ちを見ただけでも、ずいぶんと時間が経ったんだなと再認識させられる。
バスに揺られることしばし、着いた別当出合は立派な建物はあるにせよ思っていたのと大違いで、ひっそりしていた。
こんな時、自身の中で登山口と言って真っ先に引き合いに出てくるのは上高地や立山なので、いくら白山といえど登山口はこんなものかもしれないな〜。
市ノ瀬はそれなりの雰囲気はあるが、別当出合となるとあくまで砂防工事のための中継点に過ぎないのか。
これから歩くルートが砂防新道で、途中にある中継点が中飯場。いかにも工事関係の固有名詞っぽいモンな・・・。
登山届を提出したら、まずは画像でよく見る吊り橋を渡り、歩き出す。
バスで到着した皆が一斉にスタートし、この橋を渡るので大きく揺れる。
中飯場まで広葉樹の森が続き、黄葉はまだ始まっていない様子だが気持ちよく歩く。
中飯場のすぐ上の水場を過ぎると次第に登山路の傾斜が増し、荷物の重さが身に染みる。
次第に展望が利くようになり後方にチブリ尾根や、その向こうには別山も見え隠れするが、甚之助小屋までは思った以上に遠かった。
小屋からもうしばらく頑張ると、これから向かう南竜と室堂への分岐で、ここで一気に展望が開けた。
別山方面の展望を楽しんだら大半の人たちから外れ、南竜ヶ馬場へと向かう。
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南竜ヶ馬場への道 |
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南竜ヶ馬場野営場より南竜山荘 |
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トラバース気味に斜面を進むと、山側からの尾根を乗り越す形で向こう側に出ると南竜ヶ馬場が目に飛び込んだ。
朝日に照らされた樹々と、その影が造り出すコントラストが素晴らしく、針葉樹やササ原の濃淡の緑色の中にナナカマドの赤や草モミジの黄色が点在する見事な光景だ。
「これはサッサとテントを張って見えてる別山に行こう。」
この素晴らしい景観に、このときはこんなことを考えていたが、テントを張り、間もなくすると雨が降り出した。
霧雨のような小さな雨だったが、これには一気に気持ちがトーンダウン。
この後も降ってるかと思ったら止んでたり、止んでるかと思ったらまた降ったりと、時雨模様の天気だった。
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万才谷方面の紅葉 |
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キャンプ場近くの紅葉 |
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マイテントと山腹の紅葉 |
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夕食中の若いお隣さん |
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結局、この日は早々にテント場に着いたにもかかわらず付近をあちらこちら散策したにとどまり、結果的に停滞っぽい一日となってしまう、ちょっと勿体ない日だった。
それでも夕刻近く16時頃にはガスが切れ、時おり日の射す時間帯も出てきた。
その後、日没近くには空は見事に晴れ渡り、夕日や満点の星空を見ることができたから良しとしよう。
日没の光景を見たあと、隣にテントを張られた堺からという義父子のお二人とケビン土間で談笑ののちテントに戻った。
20時就寝。
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夕日に照らされる紅葉 |
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黄昏のキャンプ場 |
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◆【第二日(10月8日)】 快晴のち時々くもり
すぐそばの年輩大所帯パーティーは前夕、「明日は2時起き。」と言っていた通り、2時にざわつき出し、2時半に下山していった。
それからもう一寝入りした4時起床。
腹ごしらえをして4時半、テントを出る。
テント場はどこも始動が早く、ここも例外でない。すでにかなりの人が行動開始していた。
暗闇の中、南竜山荘の分岐を右へとり霜の降りた木道を歩き出す。
テントのフライにもびっしりと霜が降りていたことをみても、今朝はかなり冷え込んでいるようだ。
(北アでは昨日の雨が雪だったらしい)
◆【展望歩道から見る黎明の風景はこちら】
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北アルプス・剱岳、立山〜薬師岳〜黒部五郎〜槍・穂高連峰の大パノラマ
(クリックで拡大表示できます) |
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写っていたのは富士山か?!
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黎明の空 |
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日の出 |
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朝日を見た場所がすでにそれなりの標高であることに気付かされたのは、再度歩き出してからのことで、ここは、すでに頂上台地のような場所だった。
それもそのはず。左手に見える別山はいつしか目線と同じだ。
ハイマツを縫って歩くようになり、南を見れば別山がその上にポッカリ浮かび、東には北アルプスや乗鞍、御嶽。目の前の大きなコブが御前峰。
展望歩道の名を欲しいままの空中散歩。(表題画像)
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朝日に燃える |
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御前峰 |
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室堂へ向かう |
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室堂にて |
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ハイマツを乗り越すとそこは異空間の広がる室堂平だった。
ここぞ霊山って感じがプンプン漂って、とっても神聖な場所に感じられた。
主峰、御前峰へはもうひと頑張り。
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御前峰山頂 |
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御前峰山頂より別山と室堂を見下ろす |
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山頂に着くと再度の大展望が待っていた。
ご来光の時間帯は大勢の人だっただろうが、この時間になると人はほとんどおらずちょっと拍子抜け。
お陰で、好みの岩の上に腰掛け、のんびりと眼前の大観に目を向ける。
日の出前に比べると、やや見通しが悪くなったようだが、それでもぐるりとよく見える。
北の大汝峰の彼方に見えるのは金沢の市街地方面だろう。
見下ろす室堂は、そこにいるときに感じたのと同じく、上から見下ろしても一種独特の場所に見えた。
弥陀ヶ原の先には別山が控えるのだが、おっと〜、そこに見えているのは南竜ヶ馬場のケビンやテントではないか。
前もって分かっていれば、ここからでも見える位置にテントを張ったのだが、何分、昨日の悪天で南竜ヶ馬場から山頂が見えることを確認できていず、風よけの意味も込めて、あえてケビンの陰に張ってしまっていた。
今さらどうすることもできず、もう少ししっかりリサーチしてればよかったと、やや反省。
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室堂展望台よりみる弥陀ヶ原と別山 |
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弥陀ヶ原より別山 |
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室堂へ戻ると、あとは南竜ヶ馬場へ戻り、テント回収して下山だが、ここで南竜へのルートをどうすべきか。
昨夕、堺の人と話した際、
「南竜山荘脇へ直接下りる石徹白道は時間的には早いけど、沢筋っぽいのでエコーラインのほうが展望があって良いのでは。」
の情報をいただいていたので、その言葉通りエコーラインで。
こうすると、かつての道を歩かずして下山せざるを得なくなってしまうがテントは回収しないといけないし・・・。
かといって、南竜から石徹白道を別山に向け歩くには、昨日見てしまった赤谷への下りと、そこから油坂の頭へと続くつづら折れをこなさなければならず、さらには下山路となるチブリ尾根の長さも加味すると時間的に下山時刻がかなり遅くなりそうだ。
今回は新しい登山路での白山ということにしよう。
エコーラインは聴いた通り正面に別山を見ながら、また途中からは御嶽や北アルプス南部の稜線を遠くに望みながらの展望絶好のルートだった。
良いルートを教えてもらったけど、そちらはどうだったでしょう。
昨日は折角山頂往復されたのに散々だったでしょうが、今日歩かれているはずの別山へのルートからは絶好の展望だったと思います。
親父さんは40数年ぶりの白山だそうで、てっきり部下の方かと思っていたもう一人の人は何と、義理の息子さんでした。
義理の親子でテント泊なんて、自身にはちょっと考えられませんでしたね〜。
息子さんは初めての登山らしかったですが、これからはご家族や三世代での登山もぜひ。
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弥陀ヶ原を行く日帰り登山者 |
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万才谷上部の紅葉と御嶽遠望 |
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エコーラインより南竜ヶ馬場俯瞰 |
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真っ赤に色づいた木と別山 |
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槍〜穂高連峰遠望 |
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キャンプ場より展望歩道ルート方面を見る |
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南竜に着きテント撤収していると、いかにも今日テント泊らしき一人の男性。年の頃なら、こちらと同じくらいか。
岐阜の方らしく、それゆえ普段は平瀬道で登られるそうですが、今回は初めて市ノ瀬からだそうで、しばらくはカメラ談義にも花が咲き、あれやこれや話をさせてもらいました。
あんなに賑やかだった昨日とは打って変わり、今日のテント場は寂しそうです。
でも、天気は今日も明日も良さそうなので、いい写真をたくさん撮ってくださいね。
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南竜ヶ馬場キャンプ場にて、岐阜・Oさん(右)と |
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南竜はとってもいいところでした。
名残惜しいですが小さな展望台を過ぎると南竜の風景とは、ここでお別れ。
砂防新道を下るようになると展望はなくなるので足元をしっかり見据え、転倒しないよう下る。
登りで感じたように下りでも甚之助小屋から中飯場までは、やはり想像以上に距離があった。
中飯場からは傾斜も緩くなるので森林浴気分でのんびり歩行。
う回路を回り込み別当谷に出ると登山口の吊り橋が見えた。
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中飯場で空を見上げた |
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別当出合にて |
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橋を渡ると、いきなりここで下山。
これでいいような、ちょっとあっさりしすぎなような・・・。
一昨日の夜から度々遭っていた京都の大学生たちと、何とここで今山行中、都合5回目の再会。
「なかなか厳しかったです。」
は彼の弁。
この経験を活かし、子供たちを楽しいキャンプや登山に連れて行ってあげてください。
同じバスに揺られ市ノ瀬で下車したら、いよいよ最後の別れとなった。
一日目こそ午前中からの雨に停滞せざるを得なかったが、その分、二日目には絶好の上天気に恵まれ、お盆のリベンジを果たすどころか、それ以上の実のある紅葉の白山山行だった。
一期一会もあったし、また来よう。雪のある時に・・・。
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