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技術資料室
B01  照度計算と照明設計 y-326
光束法による照度計算 

平均照度を求める計算式として 
(設計照度)E=
   F×N×U×M / A(Ix)があります。

      
F  ランプの光束
N  ランプの本数

U  照明率
M  保守率 

ランプ光束(F)は、メーカーカタログからの
数値を見ればわかります。


照明率(U)は、照明を設置する部屋の大
きさにより変動します。


保守率(M)は、ランプの汚れ具合を数値
に表わしたものです。



照明率の算出 
照明率を計算するためには、室指数を
理解する必要があります。
 

室指数K=X × Y / ( X+ Y )×H

X 部屋の間口の広さ
Y 部屋の奥行きの広さ
H 部屋の天井の高さ(作業面の高さの時あり) 

間口が6m 奥行きが10m 天井の高さが
2.4mの場合の室指数は


室指数 K
=6m×10m
/ (6m+10m)×2.4m
=1.56 となります
反射率の設定 
室指数算出後、照明器具を設置する
部屋の反射率を把握します。
反射率はその部屋の天井、壁、床が
どれだけ光を反射するかを示す数値
です。
白色の部屋であれば照明効率が高く

黒い部屋では効率を低く設定補正し
ます


特に仕上げ材を指定しない事務所な
どでは
(天井70%)(壁50%)(床10%)


で計算するのが原則とされてます。

反射率70%とする天井・壁仕上げ材
   白いふすま  白いタイル  
   白いペンキ塗り  白いクロス張り

反射率50%とする天井・壁仕上げ材
   障子  白木(木材)  
   淡色の漆喰  淡色のペンキ塗り


反射率30%とする天井・壁仕上げ材
   繊維板素地  
   ペンキ塗り(白。暗色を除く)  
   炎色のクロス張り


反射率10%とする天井・壁仕上げ材
   ガラス  色付きカーテン  
   土壁・レンガ  暗色ペンキ塗り


照明率の設定 
反射率を設定後、取り付ける照明器具
ごとに定められている照明率を決めます


照明率はメーカーにより全ての照明器
具において固有値が決められているの
で部屋指数と反射率を元に照明器具の
仕様書に記載されている数値を採用。

保守率の設定 
保守率とは、ランプの光束維持比や汚
れにより時間とともに光束が減少して
いく
 事を、数値で示したものです新品
のランプを設置した時は、保守率1.0と
なりこの時現れる照度を初期照度と呼
びます。


保守率は、照明器具の設置環境に応
じた照明の効率です。


照明器具の保守率は、照明器具により
固有の数値が定められていますが
概ね
5~10%の照度を補正することになります


例えば、水銀灯であれば保守率70%程
度を示し、初期照度と寿命付近の
光束
差が比較的狭くなっていますがマルチ
ハロゲンランプでは保守率0.5
程度で
ある為、初期照度は高いものの、寿命
付近では光束が半分近くまで減少
しま
す。

初期照度と設計照度の差が大きすぎ
ると、初期照度では明るすぎ


末期では暗すぎるということになり、ラ
ンプ選定には慎重な選定が望まれる。


保守率 参考
   良 0.75   中 0.65   否 0.55

照明工事 参考例題 

間口6m 奥行き5m 天井高さ2.4mの
事務所に蛍光灯にて照明を施す事
となった、器具を何台設置すればよ
いか。
  (照度は500Ixを確保する事)

(照度決定には参考までに、
 事務所 照度基準表を参照の事)
 

ランプ本数の算出計算         
   
設計照度が決まったら、ランプの本数の
算出です。 

照度計算 E
= F×N×U×M / A 
の計算式から式を変形して

ランプ本数 N
=E×A / F×U×M 
で計算します。

設計照度 E 500㏓
(一般事務室で客先と打ち合わせの事)

ランプ光束 F 3500㏐ 
(照明器具メーカーカタログより)

面積 A30 ㎡
(間口6m×奥行き5m)

照明率 U 0.4 
(照明器具メーカーカタログより)

保守率 M 0.7
(やや良)

ランプ本数 N
=500×30 / 3500×0.4×0.7
=15.3本となります。

設計で算出した本数は、30㎡の事務所に
1灯用蛍光灯16台を設置することになる。

しかし
台数が多すぎてコストが高くなりますし
デザイン的にも良くありません。

そこで
2灯用蛍光灯を8台設置し必要本数15.3
本に対し16本の本数を確保することを
決定しました。        
 

照度計算の事例 
例えば

上記の事例に 
面積30㎡  ランプ本数16本
ランプ光束3500㏐  照明率0.4
保守率0.7  として計算すると

計算照度
=F3500㏐×N16本×U0.4×M0.7 / 30㎡
=523㏓となります。

これは平均照度となります。
この照度は保守率を0.7として算出している
ため点灯初期は高い照度になりますこれを
初期照度と言います。

初期照度
=F3500㏐×N16本×U0.4×M1/30㎡
=746㏓ 
 
初期照度は746㏓となり、設計照度より高く
なるのが一般的です。
(初期照度は徐々に低下し3か月~半年
で平均照度に近づきます)

初期の照度は必要とする照度を大きく上回り
電力の無駄となります。

この無駄を省くため、器具の配置台数を再
考慮し適切な照度となるよう省エネルギー
に配慮します。         
       
照明器具の配置(参考) 


実際は、机の配置等により照明器具配置を考
慮して下さい。

部屋全体の照度のムラをなくす為、器具配置
間隔は壁より1対2対2対1対と配置するのが望
ましい。

しかし、天井材の目地がハッキリ分かるものや
天井下地(器具取付ビス位置)により上記配置
基準寸法付近に配置を考慮する事。