〜ロンシャン競馬場前日〜








 5月19日の午後3時ごろ電車でパリの北駅に着きました。明日はロンシャン競馬場の開催日です。宿に着いて荷物を置いてからから真っ先にしたことは、競馬新聞を手に入れることでした。明日のロンシャン競馬の為に競馬新聞を手に入れ、入念にレース予想をしなくてはなりません。日本のキヨスクには必ず競馬新聞がおいてあります。それはフランスでも同じだと思ったので駅のキヨスクに行きました。ちなみにフランスでもキヨスクは「キヨスク」と発音します。
 パリの北駅のキヨスクは結構大きく書物などがたくさん置いてありました。競馬新聞らしきものを探すと、ありました!馬の写真が載ってある競馬新聞らしきものが3,4紙ありました。日本では京都競馬版、中山競馬版など競馬開催地ごとに新聞が売られているのでこのフランスでもその可能性はあると思いました。新聞の見出しを見てもフランス語なのでどこの開催地の新聞か分からないので、キヨスクに置いてある競馬新聞を全て購入しました。
 続いて、ロンシャン競馬場の載っている地図を探しました。
 これがなかなか見つからなくて、思い切って、定員に聞くことに・・・。


「ボンジュール、マダム。ロンシャン競馬場の載っている地図をください。」


「パルドン?ムッシュ。
 
 ロンシャン?ロンシャン?
 
 う〜んロンシャンてなんですか?」

 
 どうやらこの女定員にはロンシャンが通じないようである。


 あの世界最高峰のレースが行われるロンシャン競馬場だぞ、通じないわけが無い。


「ロンシャンて競馬場のことだよ、マダム」
私は馬の手綱をしごくマネをした。


「アーウイ、ムッシュ!ロンシャーンね!」
<馬の手綱をしごくマネ>で一発でロンシャンと分かってもらえた。(ふふ・・さすが俺のボディーランゲッジ)


女定員は、書籍の棚から地図をひっぱりだしてロンシャン競馬場を探し始めた。


なかなか探しきれない女定員。


すると女定員は、


「このお客さんがロンシャン競馬場の載っている地図が欲しいだって。みんな探してやっておくれ。」
そう言って、他の定員にもロンシャン競馬場の載っている地図を探すように指示したのである。


レジでは他の客が大勢列を作って勘定をまっているのに
その指示のおかげでキヨスクの全定員がロンシャン競馬場探しを始めてしまった・・・。


店員たちはみなみな「ロンシャーン」と口ずさみながら地図を開いてロンシャンを探しているようだが、一向に見つからない。
私はレジを待っているのにほったらかしにされた他の客たちが怒りはじめないかと気が気でなかったが、店員たちは意に介さないようである。
それどころか、客たちに


「お客さんみなさん、ロンシャン競馬場ってどこにあるか知ってますか?」
と聞いたもんだからびっくりした。


客たちは
「いや〜知らないなあ。
 じゃあ俺たちも探すの手伝うわ」


とレジを待っている客も地図を手にしてロンシャン競馬場を探し始めたのである。
この光景はすごく面白かった。なんせキヨスクにいる全員がロンシャン競馬場を探し始めたのでる。
このフランスでは皆そうなのであろうか?一人の客の探し物を見ず知らずの人が一緒なって探してくれるのであろうか?
こうしてパリ駅のキヨスクがロンシャン競馬場探し一色に染められたのだった。
みんな親切だよ!フランスばんさい!


待ってる客までが一緒になって探してくれるなんて日本では考えられませんね。
すごく親切なフランス人・これが私のフランス人に対して最初に持った印象でした。


そして、お騒がせな私でした。
大体、一般庶民にロンシャン競馬場の場所を聞いても分かるはずがないのです。
たとえば、日本の京都競馬場は淀というところにあるのですが、それを京都駅のキヨスクの店員に場所がどこか聞いても分かりっこありません。
レジを待っている客に聞いても分かりっこありません。競馬場とは、競馬をやってる者にしかわからないものなのでした。


ようやく、ロンシャン競馬場の載った地図が見つかってキヨスクを後にしました。


競馬新聞、地図と揃うものは揃いました。入念にレース予想をして、いよいよ明日、憧れのロンシャン競馬場に乗り込むのでした。






 


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