イジリー記
 GPS−オートパイロット接続編


 なんでGPSとつながっていないんだろ?

オートパイロット付きの船(もちろん中古艇)を持って当初は進水の準備やエンジントラブルばかりに時間を費やし、
オートパイロットの機能どころではなかったのですが、エンジン交換でトラブルが一段落してから気が付いたので
すが、オートパイロットを航法モードにセットすると”シンゴウガキテイマセン”のメッセージ! 早速、制御装置の
裏側を見るが線は何種類か接続されているが、どうもGPSとは接続されていないので、メーカーに問合せのメール
を出すとすぐに(数時間で)返事がきました。

 -GPSと接続することで本格的なオートパイロットが実現出来る
 -接続ケープルは販売もしているが個人とは直接取引はしていないのでディラー等を通して欲しい
 -その他、受信部の回路など技術的なこと
 -取り説はコピーでよければ郵送する
など、担当の方が開発者にまで聞いて頂きすばらしい対応でした。
(マロールさん たいへんお世話になりました)


紹介いただいたケーブルを世話になっているボート屋さん経由で発注するが、届いたケーブルのコネクターが違う!
どうも営業所が最新型用のケーブルと間違ったようで(私のは相当古い!)再度発注、やっと合うケープルを入手出来ました。
でもその間に日本橋で合うコネクターを探し、接続ピン番号もメーカーに聞いてすでに自作品出来ていました。(笑)

オートパイロットのモード
 手動(MAN)  普通の手動油圧ハンドルでの操舵で動力ポンプは使わない
            私の船はなんとエンジンルームに手動油圧ハンドルが設置されているので実質使用できない。
 遠隔(REM)  リモコンハンドルでの操舵
            私の船は操縦席におもちゃのようなリモコンハンドルが設置されているので、通常はこのモード
            で操舵。もう一つのコードの長いダイヤルリモコンでスターンなどでも操舵も可能
 自動(AUTO)  設定した方位に自動的に舵を切ってくれる。 オートパイロットに接続されている大型磁気コンパス
            による方位のみの自動操舵
 航法(NAVI)  航法装置(GPS)からの信号で自動操舵、GPSで目的地をセットすると風、海流に流されても
            目的地に到達できる


 これで完了? 始まりでした! 

GPSプロッター魚探とオートバイロットを接続し航法モードにするとエラーもなく、ちゃんとNAVIと
表示されて、これで完了!と沖に出てテストしました。
GPSで目的地をセットしオートパイロットを航法モードにして、”これで目的地まで自動運転!”と
信じて疑わなかったのですが、 ”何か変?” 段々と目的地への方位とずれて来たときから半年
にわたるイジリー記が始まったのです。

インターネット時代でいろいろな情報が入手できますが、船舶機器で一般にはあまり馴染みのない
ことと、機器が古いこともありあまり情報が無い状態ではじめましたのでここにまとめを残しました。

NMEAとは? (GPS-オートパイロット等の通信の基礎知識)
船舶等の機器はNMEA(The National Marine Electronics Association)の規定に準拠
した信号により通信されています。

私の航海機器
GPSプロッター魚探   −−− YAMAHA(ロイヤル製) YFV−10GPU
オートパイロット      −−− マロール CB80
パソコンGPSプロッター −−− ハンディGPS(GARMIN GPS12)+Thinkpad560+Windows95+プロアトラス97

-オートパイロットはNMEA0183に設定 NMEA0180も内部のSWで切り替え可能
            NMEA0183のセンテンスAAM、VTG、BOD、XTEを使用している 
-YAMAHA GPSはNMEA0183のみ出力
            取り説には何種類のセンテンスを出力しているか一切記述なし
-ハンディGPSはNMEA0180、0182、0183、その他出力可能
            ただし、センテンス毎の周期、出力制御不可

NMEA0183 センテンスXTE
 この信号は目的地までの方位に対して自船の方位がずれているかを知らせるもので左右どちらに
 どのくらい舵を切ればよいかをしらせます。オートバイロットはこの信号をもとに舵を切って限りなく
 ズレがなくなるように刻々と制御すれば最後には目的地に到達することになります。
 
このセンテンスXTEさえ受信出来れば目的地に向って操舵するはず!


 GPSから必要なセンテンスがでていないのでは?
GPSの出力をパソコン(Windows95アクセサリーのハイパーターミナル)に接続して
GPSからの出力センテンスを確認
-必要なAAM、VTG、BOD、XTEは出力されているが他のセンテンスも多種類出力されている

 GPSコネクター 3ピン −−−− パソコン シリアルポート RS232 RD
            4    −−−−                      SG

(あとから見つけたのですが、GPSのメニューで出力信号も表示可能でわざわざパソコンを
 接続しなくても見えた! 取り説には何の説明もなかったのに...)


試しにハンディGPSからオートパイロットに出力させてやるとオートパイロットは完全に
パニックに陥るようで勝手にリセットがかかってしまう!
ハンディGPSは価格は安いものの機能はピカイチで出力周期も早く、出力するセンテンス
の種類も多いので古いオートパイロットがついていけないようだと考えられます

 古いオートバイロットなのでGPSの出力周期についていけないんや!

それではGPSからの出力周期を遅くしてやれば?
やっとGPSのメニューで出力周期の変更を見つけ2秒>10秒に変更−−>駄目!

 古いオートバイロットなので余分なセンテンスが理解できないんや!

周期で駄目ならセンテンスの種類を最小限必要なものだけにしてやれば?
これもGPSのメニューツリーを全部みてやっと発見!
出力種類がプロッター用(ディフォルト)とオートパイロット用の2種類から選択可能でした
これで解決か! オートパイロット用に変更−−>駄目!
(やはりAAM、VTG、BOD、XTE以外にも数種類出力されている)

NMEA信号と格闘し出してすでに4ヶ月経過..(釣りの合間にトライしているしね)
GPSもオートパイロットも外して持ち帰る訳にもいかないし、狭いトイレ(機器の配線は
ここからのみアクセス可能)での作業にもうんざり.....

電気的信号の違い
ここまで簡単に書きましたが、パソコンのRS232ポートとNMEA機器の電気的信号の
違い等でRS232からRS422への変換装置を用意したり、ハンディGPSの仕様に騙
されたりでなかなか思うように通信が出来ません。
   NMEA0183準拠の機器は受信回路にノイズやアースの違いで不用意に受信回路を
   通して異常電流が流れて機器が破損することを防ぐため
フォトカプラー(光学式結合)を
   使用しており、パソコンのRS232信号では通信が保証されません。
   ハンディGPSなど仕様がRS232となっているのに実際はインチキな信号を出していた
てっきりコンバーターなどで変換が必要と思っていたのに
結局何もしないでつないだらつながった!

 オートパイロットに必要なセンテンスのみ出力すれば動くはず!
の信念(?)の元に対応を考えました。もちろんお金のかからない方法でね(笑)

プロット用にノートパソコンを積んでいるので、これにGPSからの入力信号にフィルターをかけて
オートパイロットに必要なセンテンスのみ出力させてやれば?
案は良いものの実際どんなプログラムを何を書けばよいのやら...
イチから作る能力はないのでBASICやPerlなどでモディファイしたら済みそうなスクリプトを探す
がよくわからない...私はプログラムに弱いのです! (企画倒れってことですね)


 解決策が見えた?!

あきらめかけていた時、ひょんなことから衛星からの信号が受信不良のGPS
(ひらたく言えばジャンク品)フルノ GP−50を入手し、メニューをいじっている
となんとすべてのセンテンスを出力制御(出力周期設定秒単位で0に設定する
と出力しない)出来るでは!!

 これはいける!

早速、メーカーに問い合わせるとたぶんアンテナの不良でもちろん修理可能とのこと
また、販売している現行機ではそこまで細かく出力制御できないことや私の機器での
組み合わせ実績等も調べて頂けました。 宅急便で送ると到着した日に修理完了して
返送して頂けました。修理費も思っていたより安く一回のガソリン代ほどでした。
(フルノさんお世話になりました)

 成功!
2001 10/08 船体に穴をあけまくりやっとのことでGP−50とアンテナを設置
オートパイロットと接続し目的地をセットするとグイーングイーンと舵が切れる!
少し沖に出てテストすると、とんでもない方向からでもしっかり目的地に向いて舵を
切ってくれました。 
でも、往来の激しいところや狭い水路では使えないし、居眠りしていて怖い目にあった
なんて話も聞きますのでしっかり見張りしなければ!

 またまた 問題が!
GP50取り付けも終わりホッとしたのもつかの間で、今度はガリガリピィピィと無線にノイズ
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