アキヒカ三銃士








     

「ヒカルは、今どこに住んでいるの?」
「俺? 昨日は和谷のところに厄介になったけれど。
これから下宿を探さなきゃいけないんだ。」

「この家の隣がアパートなの。 屋根裏が空いてるわ。 
良かったら伯父さんに話すけれど。」
ここは、あかりの伯父さんの家で、伯父さんは、アパートを持っているのだそうです。

あかりは普段、王妃のところにいるので、あまりしょっちゅうは
ここへは戻らないらしいでしたが。
ヒカルは喜んで、そのアパートを紹介してもらうことにしました。

「ところで、俺、国のことを全然知らないだ。 教えてくれないか。」
あかりは声を落として話し始めました。
「王妃様は、塔矢の人なの。つまり国王は塔矢派の人を選んだの。
それはね。 ただヨウキ様を愛されて、望まれたことなの。 でも…。」

「でも?」
「何故か判らないけれど、王様は急に変わられたの。 
ヨウキ様は、主宰の座間に見張られ、王様とは心が通わずに、今、とても苦しい立場に追い込まれているの。」

「王妃様の親はどうしているんだ?」
「もちろん、心配しているけれど。
下手に動けば、かえって、ヨウキ様にマイナスになるし。
塔矢派を支持してくれる人の中でも、森下っていう人が一番理解がある方なの。」

「俺たち。 さっき、真柴って奴に追われてさ。」
「真柴? 多分、私、その人、知ってるわ。 
座間の部下の御器曽の下で塔矢派つぶしを手伝わされているの。
私、たまたま会ったことがあって。」

「ただのチンピラだな。」
「ヨウキ様は、それから、T国の楊海公という方と親しくて。 
それはお父様の塔矢様が、親しくしていたせいなの。
別に疑われるようなことはないのよ。
でも座間はあることないこと、王様に吹き込むの。 それに…」

あかりは黙りました。
「何だよ。 全部教えてくれよ。」
「塔矢派には、とても優秀なステージパフォーマーがいたの。 
その人はね。 ヨウキ様が好きだったの。 多分…。
でもヨウキ様が王様と結婚してから、塔矢派から離れたの。」

「そいつは、今どうしてるんだ。」
「座間とくっついてるという噂もあれば、新しく一人で何かやっているという噂もあるわ。
でもヨウキ様には恨みを持っているから、きっと、よくないことが起きるかも。」

そこまで話した時、あかりは時計を見て立ち上がりました。
「私、またヨウキ様のところへ戻らなければならないの。」
和谷と伊角と奈瀬は帰り、あかりは伯父さんに話をして、ヒカルにアパートを世話してもらいました。

「やっと二人きりになれましたね。」
サイが言いました。
「でも、複雑ですね。 メインステージは今はどんなことになっているのでしょう。」
ヒカルは急に何もかも、環境が変わって、疲れていました。
ベッドにごろんと横になりながら、言いました。
「今日はもう遅いから、明日でも覗いてみようぜ。」





8話はさびる様担当
サイとヒカルが二人きりに・・・こりゃまずいなどと思うのは
私だけでしょうか?(苦笑)なんとか阻止しなければと言う事で
次回あの方が登場します。


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