ラバーズ







     
お陰で俺はお袋と警察へ出向く羽目になって
事情を聞かれてる。

困ったよな〜俺泥棒なんてホントは見てないわけだしウソなんて
つくわけにいかないし。


「進藤君 相手の顔覚えてる?年格好は?」

だが俺の隣にいる変なやつは俺にあれこれ
話しかけてくる。


『男の方でしたよ。顔は面長で・・・歳は40過ぎぐらいでした。
それから私は変なやつでなく藤原佐為と言う名があるのですが・・・。』


全くよくしゃべるやつだと思う。
こいつの言う事信用していいんのかと思いながら俺はその
通りに話し・・・
「暗くてよくわからなかったけど、」

といういい訳をぼそっと言ってみる。

「実はね〜進藤君 葉瀬の付近で今日のお昼ごろから
空き巣が3件もあってね。
しかも不審な人を見た情報は今の所 君だけなんだ。
是非協力を頼むよ。」


隣にいる藤原のなんとかはニコニコしている。
ひょっとしたらこいつ本当に見たのかもしれないと思い
俺はとりあえず泥棒の容姿を聞いたとおり伝えた。

数時間後 俺とお袋はようやく返してもらえて、
ようやく1人になった部屋でこいつと
向き合った。


「で・・お前は一体誰なんだよ。」

「私ですか。先程も言ったように藤原佐為と・・・。」

「それはさっき聞いたって!!」

「まあヒカルゆっくり話をしましょう。あなたが最近拾ったノートが
あるはずですが。」

拾ったっていうのか勝手にノートの方が俺の鞄に入ってたん
だけど・・・。


「私はあのノート(ラブノート)の持ち主です。」

「あのノートの持ち主?じゃあやっぱり・・・
あんなこと書いて俺まずかったんだ。」


「いいえ。そんな事はありませんよ。ノートは拾ったあなたの物です。
ただ私自身もノートの一部のような存在であなたから離れるわけには
いかないのですが・・」

「ええ!!それってお前とは付かず離れず
これから生活するってことかよ〜。」

「必要とあらば姿を消しますし現れますよ。
大丈夫です。こう見えても私は恋を成就
させる精ですから・・・」


胡散臭さがあったが取りあえずこいつの言うことを信用した。
なんといっても俺にしか見えないようだし。


「でもさ お前そのなり何とかならねえの?」

「以前地上に降りてきたのは1000年前の事でやはりまずい
でしょうか。」


そういうとぱっと佐為の服装がぱっと早代わりして・・・

「くくく・・・お前それ似合わねえ〜〜」

佐為は俺と同じようにだっぽりしたトレーナーにジーンズを履いてた。
しかしこれがまったく似合わないのだ。


「ああ〜もう可笑しい。俺にしか見えないんだったらさっきの服で
いいよ。」


佐為はぷ〜と頬を膨らせながら元の姿に戻った。

「ところでヒカル今日はノートに何をかくんですか?」


面白がってるとしか思えない佐為に俺はため息を付いた。


「何も書かないつもりだぜ。俺」

「1000年前にこのノートの持ち主だった方はあなたと
同じ名前でしたけれどそれは〜たくさんの姫君と睦言を
楽しんでおりましたよ。それにこうじて摂政にもつかれましたし・・・」


「はあああ〜俺はそいつと比べられるわけ?言っとくけど
俺はさ塔矢だけだしその無理やりのような事はしたくないんだ。」

「ヒカルは塔矢くんと結ばれたくないんですか?」

「結ばれるってなんだよ?」

いやな予感・・・。

「肌を合わせるとかですね〜。」

「そ そんな事俺・・・」


考えただけで顔から火が出てきそうだった。
だからって考えた事がないわけじゃない。
俺だって正常な16歳の男だし。
でもそんな事 塔矢に申し訳なくてずっと考えないようにし
ていたのに・・。

返事が返せない俺に佐為はいともおかしそうに続ける。


「それでは想い人の塔矢くんの方から求められたら
どうします?」


想像を遥かに超えることを突然言われて
俺は顔から火がでそうなほどうろたえた。


「そ そ そんな事をだ 塔矢のやつがするわけない
だろ!!」

「ヒカルはどうしてそのように思うのです。」

「だってそりゃあいつはその・・」


まじめで優等生できっとそんな事とは無縁なんだと
言おうとしたが、俺はそれ以上は自信がなくなってしどろ
もどろになって・・・

なんだよ。こいつ恋愛成就の精とか言ったけど本当は
疫病神で俺を困らせたいだけじゃねえの・・・?


俺は大きくため息を吐き出した。



「ヒカル 塔矢くんだってヒカルと同じ歳の男の子なんですよ。
もちろんヒカルが望まないなら もしそういうことがあったら
私が助けに入りますけれど・・・」

「誰が何を助けるんだよ。」

「もちろん私が ヒカルが塔矢くんに貞操を奪われそうになったら・・・」

「バ バカ!!そん時は自分で何とかするよ。」


俺は電気をけして湧き上がったやましい思いを振り払う
ように布団にとびこんだのだった。






                                   

     
   



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