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院長コラム

紫式部は下垂体腫瘍(脳腫瘍)だった!?

NHKの大河ドラマの主人公として紫式部が取り上げられ、その人物像に関心が高まっている。紫式部は、平安時代の文学の金字塔である『源氏物語』の作者として有名だ。ところが、不思議とも言えるが、彼女の正確な生没年は分かっていないのである。男性貴族の場合は記述があるのに、女性の場合は無視とも言える扱いなのだ。『源氏物語』と並ぶ名著『枕草子』の作者として有名な、清少納言も同じように生没年は分かっていない。当時の女性はそれほどに地位が低かったのである。

それはともかく、生没年さえ分からないのだから、ましてやその死因など分かるはずもない。ところが、紫式部の持病を示唆する記述があるのだ。それは、彼女自身が書いた『紫式部日記』なのである。

『紫式部日記』の1010年の部分に、

「いたうこれより老いほれて、はた目暗うて経よまず」

と書かれているのだ。近頃、急に老化して、目が悪くなりお経が読めなくなった、というのである。紫式部も老眼になったのだ、と軽く見過ごされてしまいそうな記述だが、専門家から見ると、そうではないのである。

生没年のはっきりしない紫式部だが、諸説を総合すると、37歳から45歳で亡くなったと推測される。亡くなった年は1014年が比較的有力なので、この記述は、その4年前のことである。33歳から41歳の時の記述と考えられるのだ。老いぼれてというには早すぎると言えるだろう。しかし、目に障害が出てきたので老眼と思い込んだのであろう。

しかし、問題は紫式部に老いを感じさせた視力障害である。単なる老眼ではなかったのだ。ここで注目すべきは、「はた目暗うて」という表現だ。「はた」とは端のことで、目の外側が見えにくかったのである。この外側が見えにくいという視野障害は特異的なもので、脳腫瘍の一種である下垂体腫瘍に特徴的な症状なのである。

下垂体は親指の先よりも小さなもので、脳の底部にある。体に不可欠な種々のホルモンを分泌する重要な臓器だ。ここにできた腫瘍が紫式部の視力障害の原因だと考えられる。下垂体腫瘍は二十代から四十代にかけて多く見られる脳腫瘍だ。

下垂体のすぐそばには目の神経である視神経が走っている。そのため下垂体腫瘍が大きくなると視神経が圧迫されて、目の外側の部分が見えにくくなるのだ。脳腫瘍と言えば頭痛だが、最初は外側の視野障害だけが症状の場合もある。もちろん、腫瘍が大きくなったり、下垂体卒中と言われる下垂体の出血が起こったりすると頭痛は必発である。

下垂体腫瘍は、脳腫瘍の中では良性腫瘍の部類に入り、普通は大きくなるのに時間を要する。しかし、成長速度が速く比較的短時間で大きくなるものであれば、若年者でも意識障害、呼吸停止を起こして死に至ることがある。視野障害以外の下垂体腫瘍の初期症状としては、やせ、無月経、四肢末端の肥大や下顎の突出をもたらす末端肥大症などがある。

「目は心の窓」と言うが、下垂体腫瘍による視野障害だけではなく、物が二重に見える複視や、一時的に目の前が暗くなる一過性黒内障などの目の症状が脳の異常により起こることがある。そういう意味では、「目は脳の窓」とも言えるだろう。

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