ランスの冒険 第一話 〜光を求めて〜
第10章 捜索4日目 〜トーナメント開始〜
「さて、時間も無い事だし王に会いに行かないと」
随分とすっきりとしたランスが悠然と去っていった。残ったのはイタされてしまった半脱ぎ状態の新人メイドのみ。
「あぁ・・」
新人メイドの目は虚ろで何も写さず、呻きだけが聞こえていた。
・・・という事は無く、頬をピンクに染め「いい、あぁ、もっと」と凄く満足そうに余韻に浸っていた。
「くっくっくっ、まさか、初めてであそこまで乱れるとはあの娘、素質あるな。俺様の奴隷とは大違いだ」
ランスは満足そうな顔をしつつ、未だになかなか感じないシィルについて考え始める。
「まあ、体自体は気持ちいいからいいんだが、今のままじゃ何か物足りん。なんだろうなこれは?」
ランスはぶつぶつと考え事をしながら目的の王の間に向かった。
*
昨日訪れた王の間の王座にはやっぱりどっしりと腰を降ろした王と王妃が座っていた。
(ふむ、人が来ていない時もやっぱりここにずっと座っているのだろうか?)
ランスはふと疑問に思ったが別に知りたいとも思わなかったし時間もなかったので用件を切り出した。
「王よ、実はお願いがある」
「そちは確かランスとかいっておったな。良いぞ、今日は機嫌が良い。それにそちについては盗賊退治の件もある。できる範囲なら叶えても良いぞ。ただし、金は掛けれんが」
「朝のデザートはあなたの好きなメロン味のカキ氷でしたものね。ホント、単純な人」
何気に王妃の毒舌が王に炸裂した。一瞬、ムッとするがその怒りを王は押さえ込んだ。
「で、願いとはなんじゃ」
「王の持つトーナメントに無条件に参加できる特別参加券をくれ」
「何!あの特別参加券を欲しいじゃと!」
「そのとおりだ」
「むむ、しかし、アレは我が青春のメモリアル」
「たかが紙切れに何を大げさな」
またもや、王妃の毒舌が王に炸裂した。
「おまえよ、あれは我が若き時に姿を、名を偽ってトーナメントに参加して苦労して手に入れたのじゃぞ。あの時の優勝があったればこそお前を妻に迎えることができたと言うのに、それをたかが紙切れとは・・」
王は興奮し王妃に怒鳴っていた。
「あなた・・それはどういうことですか?」
王妃は底冷えするような声で静かに問うた。
「し、しまった。これは秘密じゃった。」
「で?」
「う、うむ。おまえを迎えるに当たっておまえの父より条件があったのだ」
王妃の凍りつくような視線に耐え切れなかったのか王は白状した。
「それがトーナメント優勝なのですか?」
「う、うむ。親の威光を借りず自力で優勝して見せよと。己の力で愛しい人を守れないような者に家の娘はやれんと言ってな」
「・・そんなに私が欲しかったのですか?」
「そ、そうだ(ポッ)」
「まあ(ポッ)」
目の前で繰り広げられる惚気にうんざりし始めたランスは軌道修正するべく声を掛けた。
「で、王よ。特別参加券が欲しい」
「ランスよ、事の経緯を聞いていたであろう。我が青春のメモリアルを要求するのだ。理由を申せ」
「率直に言うとトーナメントの王者たる戦士ユランを倒すためだ。俺様は忙しく今という機会を逃せば決着をつけれないのでな」
「なんと、最強と謳われるあのユランをか!」
「そうだ、彼女から挑戦を受けた」
「・・よかろう。だが、やるからには見事倒して見せよ」
「感謝する。ゴールデン・ウェンズディング・マーク2伯爵殿」
さすがに今回はピンチだったランスは珍しくリップサービスをした。
「おお、も、もう一度言ってくれ」
誰も言ってくれない名を言われた王は感動した。
「感謝する。ゴールデン・ウェンズディング・マーク2伯爵殿」
「うむ。感無量である。ブルータス、これをランスに渡すが良い」
そう言って王の懐より出した特別参加券をブルータス経由で渡された。ランスは特別参加券を手に入れた。
「では、俺様はこれで」
「また遊びに来るがよい」
(ふう、やっと手に入れたぞ。それよりも時間がやばいな)
時間までに色々寄り道をした事を棚に上げランスは目的地、トーナメント参加受付を目指し奪取した。
*
「・・本当に手に入れやがったな」
ここに最初に案内した安っぽい服を着たひげもじゃの若い男が半場あきれたように言った。律儀にも締切時間が来るまでランスを待っていたらしい。
「ああ、大したもんだ。ほれ、これで参加できるぞ。決勝トーナメントは午後からだからな遅れるなよ。まあ、お前さんは後の方だから少しはかまわんが」
「よかったな。しかし、今回は滅多に使われない特別参加券をが2枚使用されるとはな」
感慨深そうに受付の老人が言う。
「ああ、何か波乱がありそうでトーナメントフリークとしては楽しみだぜ」
安っぽい服を着たひげもじゃの若い男がニヤニヤしながら言う。
「そうだな、お前さんもさることながらもう一人もかなりできると俺は見たな」
「なあ、そのもう一人と言うのはどういう奴だ?」
おそらく変態ネズミが手に入れていた特別参加券を使用したのだろう人物について尋ねる。
「まあ、大した事を知っているわけじゃないから規約にも引っかからんし教えてもいいか。そいつの名はドム・アディ、多分剣士だろうな」
「ああ、ドムって奴は全身プレートアーマで身を固めていてどんな姿かは分からんがな。獲物はグレートソード(両手剣)だな」
「グレートソードか・・扱いにくい武器をあえて使う奴か、厄介だな」
グレートソードは欠点の多い武器である。大きさゆえに重くその扱いは片手で扱う剣に比べればデリケートに扱わなければ速度も負けてしまう。まあ、その分リーチがあるので不利を補えるのだが。何よりも両手でなければ扱えない事からどちらかの腕が負傷してしまった時点で扱えなくなる事である。だが、これが使いこなせるならば話は変わる。破壊力という点では抜群にありそこから繰り出す斬撃は生半可な防具は役に立たない。酷く大味な武器である為、使い手はそうはいない。武器が人を選ぶのである。逆に言えば、選ばれたものにしか扱い得ない武器ともいえる。
「お前さんはグレートソード使いと戦ったことはあるのかい?このトーナメントも長いがグレートソードを本当の意味で扱えた人間はそうはいないぞ」
「戦ったこともあるし、使う事もできる。この俺様に使えない武器は無い!」
ランスは二人にそう豪語した。実際、ランスは器用に色々な武器を使いこなす。冒険者家業にいては何があるやも知れず武器全般だけでなく普段は武器と認識されないようなものから武器を作るなど術を見につけていた。そのおかげで拾った命は少なくない。
「かー、楽しみになってきたぜ」
「うむ、最近はユランの一人勝ちの様をしていたからな、楽しみだ」
「お前らの話を聞くと張子の虎じゃなさそうだな(・・こいつ等の情報は多分正しいな)」
ランスは対策を考えるなきゃなるまいと思案した。
「ついでだ。爺さん、あんたがねじ込んだ奴ってのはどんな奴だ?」
「ああ、そいつか?名前しか知らんが確か、XXXXだったかな」
「聞いたことない名だな」
「俺も知らねえな」
その場にいる3人が首をひねった。
「まあ、とりあえず。当初の目的であるトーナメント参加も実現できたし、やる事もあるか。じゃあな」
参加の受付が終わったのだからランスは何時までも野郎といるのは気持ち悪いとここを立ち去る事にした。残った二人は今日のトーナメントについて話しており最後に聞こえてきたのは誰の勝ち札を買うかということだった。
*
「さて、まずはユラン対策だな」
そう言って、ランスはアイテム屋に向かうのだった。
「よう、パティちゃん」
「きゃーお客さん。何か買ってって!ってランスさん」
「おう」
「いらっしゃい。何か買っていってくれるの?」
「何かいつも買っていないような言い方だな」
少々パティの物言いに腹が立つランス。
「そんな事ないですよ、ランスさんは最近のお得意様ですから、えへへ」
パティはやばい雰囲気を感じ取ってごまかした。
「・・まあいい。なあ、ヒララレモンを知らないか?」
「少しだけなら、在庫あるわよ?」
「じゃ、そのヒララレモンをくれ」
「高価な物ですから200GOLDです。本当に買いますか?」
「なんか、いきなり丁寧になったな。もちろん、買うぞ」
ランスは急に態度を改めたパティに少々戸惑った。
「はい、まいどあり。やった、儲かっちゃった」
「しかし、高いな」
「そうですね。なんといっても特定地でしか取れないですし、そこから仕入れるのは凄い大変らしいです。オーナーがそう言ってました」
「オーナー?」
「ああ、ランスさんは会った事ないんですよね。無理もないです。仕入れで年がら年中世界を飛び回っているみたいですから」
「そうなのか?」
ランスはいったいどんな奴なんだ?と興味を持ったが所詮、野郎だろうからすぐに興味を失った。
「他にはないですか?」
「うーん、そうだな。じゃあ、世色癌を4個くれ」
ランスは世色癌(傷などの回復薬)を購入する事にした。
「はい、ありがとうございます。世色癌を4個で10GOLDです。強力なお薬で傷なんかたちまち治っちゃいますから大切に使ってくださいね」
「分かった」
ランスは10GOLD払い世色癌を4個手に入れた。
「む、パティちゃん、もう一つ世色癌をくれ」
「はい、世色癌を1個ですね。ありがとうございます。5GOLDです」
「一寸待て、さっき、4個で10GOLDって言ってなかったか?1個5GOLDは納得いかん。なら1個ではなく4個くれ」
「それですと26GOLDです」
「まてまてまてーい。最初に4個買った時は10GOLDだったろうが。なんで26GOLDになるんだ?」
あまりの事に憤慨するランス。
「物価高なので値上がりしたの」
そんな様子のランスに困り顔で応対するパティであった。
「・・ほんの数十秒前だろうが」
「だって、そういう理(システム)なんだもん」
パティはそれはどうしようもない事なのだと理由を説明した。
「・・・そうか。なんか、納得いかんがするしかないか」
「こればっかりは私にはどうにも・・」
「じゃあな」
「またのご来店お待ちしていまーす」
ランスはアイテム屋をでると、そろそろユキがアキ宛に手紙を書けたころだろうと城の地下牢に向かった。
*
もはや、同じ手を何度、行っても同じように眠ってしまう見張りの女の子に呆れつつもユキのいる地下牢に向かった。
「何時来ても相変わらずだなここは。よう、ユキちゃん、手紙は書けたか?」
「ええ、ランスさん。お願いします」
「ああ、まかせろ。ついでに返事を貰ってきてやる」
ユキから手紙を受取りながらランスは言った。
「ありがとうございます」
「いいさ、後でたっぷりとお礼は貰う」
ランスはニヤリと笑った。
「えっ」
真っ赤になって俯くユキ。
「何を考えたのかな、ユキちゃん?」
「えーと、その」
「くっくっく、そうか期待されてたのなら仕方ないな」
そう言ってランスはユキを組み伏せた。
「きゃ、ん」
「では期待に答えて、GOだ」
そのままキスをされ、なし崩し的にランスに突入されてしまったユキであった。
*
「うむ、景気付けに一発いや、この場合は三発か、がははは」
事を終わらせたランスがぐったりとして果てて眠っているユキに毛布を掛けてやり機嫌よく牢屋を立ち去り、トーナメント会場であるコロシアムに向かった。
コロシアムからは時折、歓声の声が漏れ聞こえて来る所を見るとそれなりに盛り上がっているらしい。
ト−ナメント受付まで来ると受付の老人が相変わらずいた。その側には魔法ビジョンのポータブルタイプの物が置かれている。
「おお、ちゃんと間に合ったな」
そういいながらランスが来たのでその参加手続きをし始めた。
「当然だ。で、トーナメントの方はどうなんだ?」
「まあ、順当だな。今の所、一つを除いて波乱は起きていないな」
「ふーん、で、その一つってのは?」
「お前さんの予想通り、ドムという剣士の試合だな。相手をほとんど瞬殺したぞ」
「ほーう」
「お前さんの出番は今やっている奴の次の次だ。それまで、あっちの通路を通って突き当たりにある控え室に待機しているんだな。出番が来れば呼びに来る」
そう言って控え室に続く通路の入り口を指差す。
「そうか」
「よし、これを持って控え室に行くといい。そこにまた係りがいるからそいつにこれを渡してくれ」
そう言って、ランスに用紙を渡した。
「わかった」
「じゃ、がんばれよ」
「ふん、俺様が出れば優勝は決まったも同然だ」
「まあ、期待しているよ」
ランスは受付の老人と別れて控え室に向かった。
*
「ここか?」
ランスは控え室に入るとそこにはトーナメント参加者が何人かいた。全員が入ってきたランスを値踏みするように睨み付けてきた。むかっと来たランスだがここで騒ぎを起こせば今までの苦労も水の泡になるとここは引いておくことにした。極めて不本意では有ったが。最も、おとなしくしているランスではなかった。その場にいる奴等をぐるりと見渡し、ふふんと鼻を鳴らし小ばかにしたような笑みを返してやった。もともと、試合が間近でギスギスとした雰囲気であったがランスの登場で余計に悪くなった。そんな中、この控え室を預かる係りの者がランスに近づいてきた。
「君も参加者だね。受付で貰った用紙をくれたまえ」
ランスは係りの者に言われた用紙を渡した。
「名前はランス・・・ほお、君があの噂の」
「噂?」
係りの者の様子に少々興味を引かれたランスが尋ねた。
「まあ、最近ここあたりを荒らしまわっていた盗賊団を壊滅させたとかね」
その言葉に部屋にいた参加者たちが一寸した驚きに包まれる。
「へえ、あのムララやライハルトを殺ったんだ」
「特別参加だけのことはあるわけだ」
「へん、ライハルトなんざ俺でも楽に倒せるぜ」
「見かけどおりではないようだな」
「面白い、相手に不足はない」
などと口々からはかれた。
「さて、ランス君にこのトーナメントの注意事項を述べる。良く聞いて下さい」
(ムッ、気に入らんな。普通なら殺っちゃう所だがそれをすると今までの苦労が水の泡になっちまう。我慢、我慢)
「ああ」
「まず、武器はお持ちのものを使っていただいてかまいません」
「当然だな」
「このトーナメントでは基本的には相手を痛めつけるだけで殺してはいけませんので注意してください。殺した場合は反則負けとなることもあります」
「なあ、いったい何人倒したら優勝なんだ?」
質問しながら手持ちの武器を確かめて戦闘の準備を整えた。
「貴方方が増えたんで6名だ」
「そうか(結構でかい大会だな)」
「君の出番は今やっている奴の次だ。もう少しで出番が来るだろう。それまで、しばらくここで待機していてくれたまえ」
そういって、係りの者は去っていった。
*
ワァーーー!
歓声が一斉にコロシアムの舞台に出てきたランスに振りそそって来た。いよいよ、ランスの出番であった。
「ふん、くだらん」
ランスは自分が見世物になっていることが気に入らなかった。あのユランという女の為に参加する事にしたがこういう気分になると割に合わないという思いが湧き上がってきていた。
ワァーーー!
ムカムカしていた所にまた歓声が沸いた。ランスと戦う対戦者がコロシアムに出てきたようだった。そちらの方を見るとそこには顔の右側が鉄の仮面に覆われ、目の位置にカメラのような物がついている。そして半裸でありながら両肩には金属質の装甲が埋め込まれていた。そして両手の甲よりシャキンという音と共に小剣サイズの剣が生えてきた。
(なっ、なんだ?あの男は・・あれがうわさに聞いた事のあるサイボーグというヤツか?)
ランスはサイボーグというものを知識としては知っていたが実際に見るのは初めてであった。
”お待たせしました。次なる試合は一回戦のセミファイナルとなります。対戦は体全体の内60%が機械化されているという珍しい戦士フブリ・松下!そして、対する相手は謎の異国の戦士ランス!”
ワァーーー!
再びコロシアムが歓声に包まれた。
(やはり、サイボーグか。眉唾物だと思っていたんだが・・・)
ランスがこう思うのも当然である。この世界は基本的に魔法が発達しており、科学というものが確立しているかも怪しいのである。せいぜいがお粗末な義手や義足といったのがせいぜいだと思われる。少なくとも人間社会では・・・。例外があるとすれば、過去の遺産か魔人関係か・・。
サイボーグ戦士たるフブリ・松下は目の前の戦士の動きに集中する。機械化された右目から得られた情報を分析する内臓コンピュータから結果が送られてくる。対戦相手は人間としてはかなり高水準の能力を有している事が分かった。しかし、半場機械化されたフブリ・松下にはそれを上回る運動能力が与えられていた。
(この俺に敵う人間なぞいない)
そうフブリ・松下は確信していた。その確信は次の瞬間には砕かれる事になる。
審判が対峙するランス達に開始の合図を送る。その瞬間に両者は動いた。フブリ・松下は先制すべくランスへの間合いを一気に詰め剣を凪いだ。ランスはその動きを読みその下を掻い潜り、すれ違いざまに胴を凪いだ。殆ど一瞬の攻防であった。この一撃がこの勝負を決めたといっていいだろう。
フブリ・松下は信じられないという表情で片膝をついた。
「バ、バカな」
今まで己に内蔵されていたコンピュータがはじき出す情報に誤りはなかった。しかし、目の前にいる戦士ランスはその情報を凌駕する動きを見せていた。コンピュータが分析するデータは全て標準値から求められたものである。フブリ・松下が今まで相手してきたのは二流といっていい者達であった。そう言ったものたちは標準値からはそれほど逸脱する事もないので大きい誤差はない。しかし、一流の者達は違う。そん所そこらのものとは基準も違うのである。
「はん、たいした事ないぜ」
「いや、まだだ」
フブリ・松下は、先ほど一撃を受けたときに算出したデータと初期のデータからの誤差から内臓コンピュータに修正を指示する。この勝負は既に勝ち目がないのはフブリ・松下にも解っていた。だが、フブリ・松下はここで止めるわけにはいかない。元々、彼の目的は大会優勝ではない。戦闘データの収集が最大の目的で今目の前にいる者は今までの中でも飛び切りの腕利きだというのがわかる。なればこそ、彼から少しでも多くの情報を収集する事はフブリ・松下の目的にかなうことなのだ。それは後に生み出されるであろう自分の後継に繁栄されるのだから。これがどこかでの普通の戦闘であれば今までのデータを保持すべく逃走する所だが幸い、この大会では殺す事は一応禁じられているが故にフブリ・松下はある程度安心して戦える。決着がつくまでにメモリさえ無事であれば良いからだ。
「諦めが悪いやつだな」
しかし、ランスは内心では舌を巻いていた。先ほどの攻防は紙一重といってもいいタイミングで行われたからだ。
(あ、危なかった。伊達にサイボーグってヤツじゃないか。今まで戦ったやつの中でもトップ10には入るな。だが、先ほどの一撃で勝負が決まったのも奴にも解るはずだ。まだ、何かがあるというのか?)
ランスはランスでフブリ・松下があきらめていない事に警戒心を高めていた。
「悪いがとっととくたばれ!(なら、それをさせる前に攻めて、攻めまくって倒すのみ!)」
「そういう訳にはいかんのだ!(より多くの情報を!)」
ランスの一撃一撃が少しずつフブリ・松下の体力を削っていく。フブリ・松下はダメージを最小限に止めるよう動きランスより多くの情報を引き出すよう努めていた。反撃も考えていたがそれを許さないランスの猛攻であった。やがて、フブリ・松下に限界が訪れた。
「勝者!ランス!!」
ワァーーー!
コロシアムがランスの勝利を称える歓声に包まれた。しかしながら、ランスは釈然としなかった。フブリ・松下は担架で運ばれていく。そのフブリ・松下の表情を見て更にそれは深まった。
フブリ・松下は十分に情報を得る事ができた。戦いに負けて勝負に勝ったのである。ランス相手のそれは大金星といえよう。
<続く>
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(中書き&おまけ)
ふう、やっと全体の3分の2ぐらいきました。ここ最近はペースが落ちてきていてどうしましょう。
トーナメント編が終わればいよいよラストへ向けて一直線となります。少しずつ?原作(ゲーム)とは違う内容になっていますがその辺はあまり突っ込まないでください。
作中の描写にはあまり出てこない(未熟者ですんで)街の地図なんぞを用意してみました。
(タウンマップ)
酒場−−
|
宿屋−−−武器屋
| 妃円 アイ
商店街 屋敷 テム屋
| | |
バリス−−−中央公園−−−中央公園−−−−<城門>
学園 (西) (東)
| |
| LEV |−情報屋
<出入り口>−− EL屋−|
|
墓場
(城内)
王の間
パ |
ン−− |
倉 | 王女の間 客 | 倉
庫 = | 室−|−庫
| | |
倉−−−倉 隠し通路 |
庫 | 庫 |
−−−−−−−−−−−−−地下牢
|
|
カジノ−−−−−コロシアム
|
<城 門>