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GS美神 リターン?
Report File.0003 「大逆転シナリオ その3 再計画編2」
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*注意)このお話はオリキャラが主体で既存のキャラは名称でしかでて来ません。
それがお嫌な方は読まないことをお勧めします。
「それってどういうことだ!」
「そうなんだな。わざわざ失敗する確立をあげるなんて」
アンカー兄弟がそれぞれイルの驚きの発言に真意を問いただした。
「カァ、なるほどなそう言う事カァ。確カァに横島忠夫に対してはそれが有効だな」
カークがイルの発言の意味を捉え感心する。
「ふふ、流石カークだな。気付いたか」
「ちぇっ、どういうことだ?俺には全然わからんぞ!」
「俺もだ」
「それは仕方ない。君達には馴染みのない手法だからな」
そう言ってイルはアンカー兄弟を宥めた。
「カァ、その通り。お前達、食人鬼族は普通知らないだろうカァらな」
「私達、魔族は一般の人間達には悪魔と呼ばれる存在だ。悪魔といえば何を連想する?」
「願いの代償・・・魂の契約だ」
アンカー兄が少し考えて答えた。
「そのとおり。これはその魂の契約をする際の一つの手法なのだ」
「それじゃあ、確かに俺たち食人鬼族には関係ないか」
アンカー兄弟達、食人鬼族はあくまで人間を食す(もちろん肉体だけでなく魂ごと)のであって、魂の契約をする事はないのだ。
「で、その魂の契約とこの計画がどう関係するんだ?」
「魂の契約というのは知っている通り、契約して願いを叶える代わりに死後その魂を契約した悪魔に譲渡するというものだが、中には契約してもその悪魔に意図せずして魂を譲渡せずに済む者達がいる」
「なるほどそれが悪運をもっている者というわけだな」
「そうだ。そういう奴等の魂は聖者の魂に並んで強い力を持っている。そして聖者の魂よりも数はあれどそれよりも手に入り難いのが悪運を持つ者の魂だ」
「カァ、それに聖者の魂を獲ろうとする場合は神族がしゃしゃり出て来るし、何より聖者自身が我等を除ける霊力を持っていることが多いカァらな」
何かを思い出し忌々しい表情をしてカークは言った。
「魔族としては障害が多く面倒くさいことになる聖者の魂より、手に入り難いが悪運を何とかすれば手に入る魂の攻略法を研究し始めたわけだ。長年の研究の末、編み出されたのが五分の法だ。悪運は異様に成功率が低い時や、まったく無いといった絶望的な状況の時多く発揮される。成功率が高い場合は運によって左右される。横島忠夫は残念ながら運はどっちかって言うと良い方だろう。よって、悪運が発揮されず運にもあまり左右されないのが成功率50%の状況で行う五分の法、別名悪運封じだ」
イルは自信を持って言った。
「だが、横島忠夫を見ているとどうも不運の持ち主としか思えないが」
「それは錯覚しがちだが不運じゃない不幸なのだ。一寸ややこしいがな」
「まあ、いいや。どっちにしろこの計画は博打ってんだからな」
「当たるも八卦当たらぬも八卦なんだな」
どっちにしろ状況的には失敗しても変わらないとアンカー兄弟は納得することにした。
「とりあえず考慮すべき者達は氷室キヌを筆頭に美神令子、美神美智恵、美神ひのめ、犬塚シロ、妖狐のタマモの美神除霊事務所関係の面々、次に伊達雪之丞、ピエトロ・ド・ブラドー、タイガー寅吉、学校妖怪の愛子等友人関係、唐巣和宏、六道冥子、小笠原エミ、ドクター・カオス、西条輝彦、魔鈴めぐみ、 鬼道政樹等の仕事上の面々、そして要警戒の神族の小竜姫、魔族のパピリオ、ワルキューレ、ジークだ」
「ヒャクメは良いのか?」
アンカー兄が横島忠夫と親しい神族であるヒャクメが抜けていることを指摘する。
「アレは現在、神界の方でアシュタロス事変の事後の情報整理中だから問題ない」
「カァ、奴等には念入りに嘘を取り混ぜた情報を掴ァましてやったカァら今頃、ヒィヒィ言ってるだろう」
「フン、いい気味だ」
イルはカークの言葉に笑みを浮かべる。
「そういえばイルはヒャクメとは因縁があったんだな」
「あまり、それには触れないでくれ」
「すまん」
アンカー兄はその件について触れたことに素直に謝った。
「しかし、結構居るんだな」
「そう、20名近くいるじゃないカァ」
「正確には21名だ」
「しかし、この顔ぶれはすごいな。殆どがゴーストスイーパーとして一流所じゃないか。しかも、全ゴーストスイーパーの中で上から数えた方が早いほどの」
「そいつ等を計画的に誘導するのは骨が折れるんじゃないか?」
「それでもやる。その為に奴等の人となりを調べそれに基づいた計画を立てた。今から発表するから、意見や修正案があるなら遠慮なく言ってくれ」
イルはこれからの計画に相当な自信を持っているらしく他の魔族たちにその自信あふれる顔で言った。
「「「おう」」」
アンカー兄弟等もその顔を見て安心して聞くことにした。
「まずは、難易度の低い者達から行く。基本的には彼等にはゴーストスイーパーとして仕事を依頼する形にする。ただし、彼等の性格や能力を検討しててこずる様なケースを用意してだ。まずは、唐巣和宏だ」
バン!と壁に貼ってある唐巣和宏の写真を叩きイルは説明を始めた。
「唐巣和宏については、はっきり言ってお人よし以外の何者でもない。何といっても、自分が食うことに困っていても依頼人が貧乏であれば金を取らないほどだ」
「今時、珍しいんだな」
「カァ、聖者になれるカァもしれんな」
「それに、腕も確かだ。彼は自分の力だけではなく外部にある力をある程度取り込み使うことができる」
彼等の唐巣和宏に対する認識を述べる。
「唐巣和宏についてはその弟子ピエトロ・ド・ブラドーと行動をする事が多いが同時に2件どちらもが早急にしなければならず、かといってそれ程、難易度はない依頼を用意すれば分断できるだろう」
「で、唐巣和宏に対してはどういう状況を作り出すんだ?」
「彼には呪われた地に赴いて貰い其処で下級魔族に相手をしてもらう」
「なるほど、それは上手い手だな」
アンカー兄が頷く。
「どういう事だい?兄貴」
アンカー弟は少し疑問に思い質問した。
「つまりだ、下級魔族ってのはまあ、通常、人間でも倒せるレベルの連中だがそれでも簡単に倒せるものから一流でなければ相手にならない連中までいる。唐巣和宏にぶつけるのはその中でも一流を相手にできるものだ。そして、最大の目的でもあるが唐巣和宏に自身のもつ最大の力、外部の力を借りさせて除霊させるのが目的だ」
「??すると、どうなるんだい。兄貴」
「其処は呪われた地なんだ。唐巣和宏の使う除霊法は神属性だ。その方法で除霊をすれば下級魔族を倒せるかもしれないが魔属性の力を取り込むことになる。最悪というか、俺達にすれば上手くだな。上手くすれば唐巣和宏は堕落し我等魔族の手先にできる。そうでなかった場合でも暫くは浄化の為に行動不能に陥るだろう」
「なるほど、上手い考えなんだな」
うんうんとやっと納得したアンカー弟が感心して頷いた。
「で、もう片方はピエトロ・ド・ブラドーにだが、彼はヴァンパイア・ハーフだ。基本的に魔属性をもちながらもその心根が神属性という変り種だ。その除霊方法は師と同じく神属性の方法だがヴァンパイアとしての魔属性をも使う器用な奴だ」
「いわば、神魔混合属性って奴だな。」
「カァ、いままで奴のような者はいなカァった」
「変り種ではあるんだな」
彼等はピエトロ・ド・ブラドーに対する認識を述べてイルの言葉の続きを待つ。
「ピエトロ・ド・ブラドーはその特殊な立場を突いた状況を作る」
「具体的にはどうするんだ?どいつもそうだが、普通の悪霊じゃ早々に相手にはならんぞ?」
「彼には守るべき者を持たせます。神に敬虔深くかつ横島忠夫に似た者がいいだろう。そして、集団で彼を襲います。ピエトロ・ド・ブラドーは自分の出自から来る能力を一般人の前で使用する事を躊躇するでしょうがそれでも彼が自分の能力の全てを出さざるをえない状況に追い込みます。」
「躊躇すれば守るべき者を失うし、使えば守るべき者から恐れられる様にする訳か」
「神に敬虔深い者はたいてい盲信するものだ。ピエトロ・ド・ブラドーという存在を知れば必ず拒絶するのが普通だ。でなければ唐巣和宏は教会から追放されることはなかっただろうからな。まあ彼は今まで700年も生きてきて何度かそういう目に遭ってきているだろうからそう簡単に精神的なダメージを与えることはできないだろう。普通なら。だが、横島忠夫に拒絶されたならどうであろうか?」
「カァ、ピエトロ・ド・ブラドーは現在、学生をやっているが横島忠夫の存在があってこそ周りカァら受け入れられていると思っている節がある」
「だから、横島忠夫に似た者なんだな」
「そう最近は横島忠夫により、共存共栄の希望を見出していただけに横島忠夫に似たものから拒絶されればそれだけでかなりのダメージを与えれるだろう。上手くいけば人に対する不信の種を植える事ができる。もしそうなったならその種を育て我々の側に導くことも可能となるだろう」
イルもこの計画の目的を告げた。
「まあ、成功すれば儲けものといった所か。除霊させることで最低限の目的は達成できているからな」
「ああ、これは今の計画が失敗した時の次なる行動への布石だ」
イルは仲間に一応、先のことも見て計画を立てていることを告げた。
「ところでこれらの計画を実行する人材もとい魔材はあるのか?」
「それにそう簡単には横島忠夫に似た信者は見つからないと思うんだな」
アンカー兄弟が問題点を指摘する。
「それについては同志メドーサが面白いデータを我々に残して逝ってくれた。それを使えばどちらもクリアできる。それについては最後に言うよ」
イルはニヤリと笑った。
「メドーサか」
「いい女だったんだな」
「カァ、戦士としても尊敬できた」
口々に彼等はかつての同志メドーサについて語り黙祷した。
<続く>
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注)GS美神 極楽大作戦は漫画家の椎名高志先生の作品です。