第十四話(S) 推測と結果の的中

育人君と一緒にああして学校へ来たがそれで良かったのだろうか。
結局、あれから一度も喋っていない。
たしかに、仁志君と美樹ちゃんが付き合ってるってことには確信を持てたけども。
それよりも私がああ言ったことは相当堪えているらしい。
授業中もいつもに比べて沈み気味。
朝も仁志君ともそんなに喋っていなかったし。
いつもなら色んなことを話して笑い声もあった。
なんか悪いことをしちゃったかな……。
私もそのことを気にして、どうも明るくいようなんて思えなかった。
ましてや、そういう風に振舞うこともできなかった。
昼休み、またもやお弁当を開けたところで美樹ちゃんに呼ばれる。
「皐月ちゃんいい?」
「育人、今いいか?」
二人を一緒に呼ぶ……ということは遊園地のことだろうか。
「遊園地の事なんだけど……」
「うん……」
図星……か。
「あれ、いつもに比べて元気がなくない?何かあった?」
と、美樹ちゃんが心配して訊いてくる。
「えっ、別に何もないけど……」
流石に一緒に来てそんな話したから……なんて言えない。
「そう?それならいいけどさ。それで、近くの冨田(とみだ)パークにしようと思うんだけどどう?」
これも図星らしい。
美樹ちゃんと一緒にショッピングに行ったときに駅で見たポスターに大きく紹介されていた。
そのポスターの中で一番目を引いたのは、大きな観覧車。
乗るところは黄色いボディが殆どだが、一つだけピンク色のボディがあった。
特に悪い面もあるというわけではなく、近いところなので私は構わないけれど。
「別にいいけど……」
「僕も……」
「育人もどうしたんだ?二人とも暗くないか?」
と、今度は仁志君が心配して訊いてくる。
「別にそんなことないけどさ……」
「そうか?」
「うん……」
それからしばらく誰も喋らなかった。
遊園地に行くのは四人。
それで仁志君と美樹ちゃんは育人君が言うには付き合っているということだった。
ということは二人は当然一緒に行動するだろう。
なら私は育人君と……ということになる。
仁志君と美樹ちゃんはそういう意味で遊園地に誘ったのだろうか。
でもそれは考え過ぎかもしれない。
でも、あと一週間あるとはいえ、育人君とこのままでは朝は勿論遊園地に行ったときも辛いものが
あるだろう。
そう思ってしばらく続いていた沈黙を断つ。
「あのさぁ、育人君」
「え、僕?」
「朝はごめんね、あんな話しちゃって」
「え、別に気にしてないけど?」
と言うけど、どう見ても気にしているようにしか見えない。
でもその返事のほうが妥当だろう。
「ほんと?」
「えっ、うん」
「ならよかった」
と、ほっとする。
「ん〜何があったんだ?」
「さぁ……知らないけど」
と、仁志君と美樹ちゃんが不思議そうにしている。
「育人、何かあったのか?」
「えっ、別に何もないよ」
「そうか?」
「そうそう」
こうして育人君との間の重苦しい空気もなんとか消えたのだった。

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