そのi 選択

電話を取り、この期に及んでもまだ考えてしまう。
本当にこれでいいのだろうか。
そうすることこそが彼女のためになるだなんて、俺の独り善がりに過ぎないのではないかと、何度も何度も思った。でも、今のままでいいのだろうかとも、思ってしまうのだ。
ここ数日、そんなことばかり繰り返していた。そんな悩みももう終わりにする。このまま迷い続けていても、きっと上手くいくことなんてないから。そんな気持ちは口に出さなくても、きっと伝わってしまうから。
悩むくらいなら、もう……。
きっと後悔するだろう。やり直したいとも思うだろう。
それがこういう選択をした自分に対する罰なのかもしれない。
それでも、これが彼女のためならば。
そうして、受話器をそっと上げる。ダイヤルを一つ一つ丁寧に回す。

も、もしもし? ああ……。あの……、明日って時間あるか? うん、うん、四時くらいなら大丈夫なのか? いや、その、少し話したいことがあってな……。ああ、うん……。じゃあ、あのコーヒーショップ、場所は分かるか? そう。うん、そこ。じゃあ、明日の四時半に、あのコーヒーショップで。うん。じゃあ。

Whenever, we do not know what is right.

そのii→

タイトル
小説
トップ