MFフォーカス機構をつける



改造前にここを読んで!

まずは分解
前回の成功(?)に味をしめ、このカメラにもフォーカス機構を取り付ける事にしました。(というか、購入前から考えてました)
レンズカバーを取り外して、そのまま前回と同様手回しのノブを取り付ける方法が一番簡単ですが、折角の薄型フォルムと付属しているケースを使用したいという願望から違う方法でアプローチしてみました。
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分解には、まず赤丸で示した部分のネジを外します。手前のほうに5mmほどの長いネジが2本。
横側には3mmほどの短いネジが1本。
これを外して、電池蓋の横の部分を引き起しながら、電池ボックスを上下に開くと上のケースが外れます。
ケースは電源ボタンの辺りでツメで止まっています。

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中身はこんな感じ。
マイクが上蓋と繋がっているので、無理に引っ張らない様に。
コンテンサマイクははめ込まれているため、リードせんを持って垂直に引き出すと抜けてきます。
あと、フラッシュ用の高圧コンデンサがあるので分解時には感電に注意してください。
放電機構が無いので、電源をきってもコンデンサには電気が溜まっていますので。
(このためか、フラッシュ撮影したあと、電源をきっても次の撮影ではすぐにフラッシュのチャージが終了してしまいます。)

接写との切り替えのための機構があり、レンズを少し回転させるとレンズ台の台座に乗ってレンズが僅かに前に突き出す事でフォーカスの切り換えをしています。
また、マイクロスイッチが基盤上にあり、接写になるとフラッシュの発光が禁止される仕組みです。


ノーマルのネジピッチでは面倒だ。
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前回のMFフォーカスで学んだ事は、まずピント合わせのときに回す回数が多いという事。
接写〜∞まで7〜8回も回さないといけないので、けっこう面倒です。
このネジも細かなピッチのネジなのでそのまま使うとなると面倒です。
また、ネジと台座の固定には、ネジ止め剤ではなくボンドを流し込んで固定してあります。
ネジを動かそうとすると、確実ネジ山が潰れてしまいます。
作業前には、ガムテープ等を小さく切って、レンズに貼っておくとキズからレンズを守る事ができます。
そこで、少ない回転で前後に動く様にネジの荒いものと交換します。
用意したのがこれ。

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ホームセンターで2個300円程で売っていたものです。
正体は、樹脂製のグロメット。
電工部品の所に売ってます。端子箱等から電線を引き出すとき、そのままでは端子箱の縁で電線の被服が剥がれてショートするのを防ぐための樹脂パーツです。

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コイツの雄ネジのツバを切り落とし、このネジをつかいます。
長さはレンズユニットのネジの長さと同じにします。
切り落とした断面はヤスリで仕上げて平面にします。
この時、直角にしないとレンズを取り付けたときに傾いてしまい大変な事になりますよ。

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切り落としたネジに、強引に回してボンドを外したレンズを取り付けます。
レンズのネジのサイズは12.11mmありました。一方グロメットの内径は11.48mm
僅かに大きいので、レンズユニットのネジをカッターで少しづつ削り落として、シックリはまるぐらいに調整します。

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しっくりはまればok。
ゆるい様であれば、接着剤をすこし塗って組み付けるとokでしょう。
ネジはレンズユニットのネジの長さとより長ければ少し削るほうがよかったです。

台座の加工
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次に台座を加工します。
台座には色々と固定するための部分がついていますが、それらをすべて取り払い平面になるようにします。
ニッパー等で切り落とし、デザインナイフで丁寧に平面になるよう切り落とします。
このとき、CCDには傷やホコリが入らないようにガムテープで保護しておきましょう。

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ここに、グロメットのメスネジをエポキシ系のボンドで張り付けます。
メスネジも張り付けるほうをヤスリで磨き、表面の型番等の凹凸を削り落としておきます。
これは接着剤の足つけと、レンズの取り付け角度を正しく出すために必要です。
張り付けたら、固まるまで小休憩。
ボンドにもよりますが(今回使用したのは4時間硬化型)、今後の作業を考えて丸1日ぐらいあけました。

ボンドの選択と保存方法
ボンドや両面テープは普通店頭に並べられてますが、家では引き出しや工具箱にいれておかず、冷蔵庫に保管しましょう。
冷蔵庫で箱等にいれて、保存すると長持ちします。
今回使用したボンドですが、瞬間接着剤ゼリー状、エポキシボンド、両面テープです。
これらをすべて私は、冷蔵庫で保管しています。
そして冷蔵庫からだしたら、暫くおき、常温になってから使用します。
冬場であれば、すこし温めてあげると扱い易くなります。
注意しないといけないのは、瞬間接着剤で、シアノアクリレート系のものは空気中の水分で接着しますので、冷蔵庫からだして結露させてしまうと蓋が開かなくなってしまいます。
そのためビニール袋などにいれて密封して冷蔵庫にいれ、常温になまるでは袋から出さないようにすると良いでしょう。
また、最近は小分けして売っているものもあるので、そちらのほうが長期使用には向いています。
部品の作成
次に部品の作成にうつります。
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フォーカス機能のツマミ部を保持する部品です。
材質はホームセンターで簡単にし入手できる3mm厚の発泡塩化ビニル樹脂板です。価格が手頃で柔らかく加工し易いのが特徴です。
接着には専用の接着剤が必要です。
ここに内径3mmのアルミパイプをハメコミ、軸受けとします。
他の部品や空きスペースの関係で、こんなイビツな形の保持材となりました。
M3で長さ20mmほどのネジを用意し、これをツマミとします。
他にワンシャが2枚、ナット3個用意します。
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装着
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こんな形での組み込みとなります。
固定場所は、グロメットの雌ねじの縁(緑の○部)。ここを瞬間接着剤で接着します。
右側の赤の囲みの部分は、1mmほどの隙間を作っておきます。上蓋がここにはまるので、きっちりつけて固定してしまうと蓋が閉まりません。

どうやってツマミを回すか?
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ラジオとか分解した事がありませんか?
ラジオはチューニングツマミを回すと、糸によりバリコンと指針を動かす事で、表示と周波数変更を行っています。
これと同じ方法でレンズを回します。

回りをよくする為、あらかじめレンズのネジには少量のシリコングリスを塗布しておきます。
レンズの上には、厚み0.5mmの塩化ビニル樹脂板で回す為の台座を作り、これを瞬間接着剤で固定します。
どこからか入手した引きバネと、普通のミシン糸でツマミを回すとレンズが回る様にします。

試行錯誤の末
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こういう形で落ち着きました。
バネの位置は、バネをひっかけた部分と糸が干渉して絡まるので、このような位置に移動しました。
@の部分は、2mmの竹ひごを半分にきり、接着しています。
これは糸が下端ギリギリまで回したときに、ネジの下部に巻き込まれて絡まるのを防ぐ為です。
Aの部品は、配線類を固定するフックです。
フックの部分がバネ替わりとなり、上蓋につっかい棒の役割をさせるたとで、バネの力で台座が持ち上がってネジの根元に絡まるのを防ぐ為のものです。
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ダブルルナットの部分には玩具の自動車のタイヤの裏表ひっくり返してプーリーにしかぶせてあります。
ゴム製なので、滑り止めの役目もしています。

完成
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上蓋にはツマミを出すための穴と、カバーガスラを固定している樹脂板を外し、付属のカバーガラスを接着剤で固定します。
レンズが前後に動くので、そのままだと干渉してレンズの可動範囲が狭まるのを防ぐためです。
どうしてもバネの厚み分は余裕が欲しいので。
ネジ穴は、裏より細穴のドリルで貫通させて位置を特定し、表側から最終的なサイズにのドリルで穴明けをすると位置があいます。
その後ヤスリで仕上げます。(多少の位置ズレもヤスリで。)

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出来ばえはこんな感じ。
最後の一個のネジを取り付けてボンドで固定、さらに丁度良いキャップを接着すると完成です。
このままではさすがに硬くて手が痛くなります。
さぁ、撮影してみよう。

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