ボイジャー・ミッション

探査機ボイジャー
 ボイジャー・ミッションは、マリナー・シリーズに続く外部太陽系および惑星間空間探査ミッションの第二弾である。100年に一度に訪れる木星、土星、天王星、海王星が好ましい配列に並ぶ好機に、これ等の惑星の近接探査が計画された。当初は1976年〜1977年に木星と土星に2回、冥王星に1回、1979年に木星、天皇星、海王星に2回づつ遭遇する予定であったが、予算不足のため計画が変更された。

 ボイジャーは惑星の重力で加速するスウィングバイを利用して、4つのガス状惑星の環境や衛星を探査した。ボイジャー1号は1977年9月5日に打上げられ、1979年3月5日木星に35万km、1980年11月12日土星に12万4000kmまで接近した。

 ボイジャー2号は1977年8月20日に打上げられ、1979年7月9日木星に7万4000km、1981年8月25日土星に1万100kmまで接近した。1号機と異なり電力源が豊富な2号機は、1986年1月24日天王星に1万700km、1989年8月24日には海王星に4万8000kmまで接近した。

 ボイジャー・ミッションでは、数々の新しい衛星の発見、土星のリング構造の解明、木星と天王星のリングの発見や海王星のリングの確認など多くの成果が得られた。主な発見は下記の通りである。

木星で3個、土星で3個、天王星で10個、海王星で6個、合計22個の新しい衛星の発見
木星の衛星のイオは、地球を除けば太陽系における唯一の活発な火山活動を持つ天体であること
木星の衛星トリトンには、大気と間欠泉のような地質活動が存在すること
木星、土星、天王星にオーロラが発生する領域が存在すること
木星にリングが存在すること
土星のBリングには車輪のスポークのような構造が、Fリングにはよじれた構造が存在すること
天皇星と海王星には、細かい粒子でできた2本の新しい完全なリングが存在すること
天王星と海王星に磁気圏が存在することと、その原因は著しく傾斜した自転軸によるもので、磁気圏の発生源は他の惑星とは異なっていること
海王星は非常に冷たく大気の乱れは存在しないものと考えられていたが、暗黒斑という大規模な嵐が存在すること

 巨大ガス状惑星系の観測後も、ボイジャー1号、2号は探査を続け、1989年にボイジャー星間ミッションと名前が変わり、データを収集しながら太陽系から恒星間空間ヘの旅を続けている。


ボイジャー1号と2号の飛行方向



ボイジャー1号、2号