パイオニア・
ビーナス1号

打ち上げ時期 1978年5月20日
軌道上の重量 517.00kg

パイオニア・ビーナス1号(オービター)は、アトラス5030Dセントール50ロケットに搭載されて打ち上げられた。

パイオニア・ビーナス1号の本体は、直径2.5m、高さ1.2mのフラットな円筒で、 周りは太陽電池で取り囲まれている。 本体の上部からは長さ4.7mのブームが伸びており、その先端には金星の磁場の特性を測定する磁力計が取り付けられている。本体の中に収納される科学機器には、金星の雲の分布を観測する大気結像偏光計、 地表の形状および特徴を測定するレーダー・マッパー、金星大気から放射される赤外線を測定する赤外線干渉計、金星の上層大気の組成を測定する中立質量分析計、太陽風のプラズマを分析する太陽プラズマ検光計、電離層のイオン種族の特徴を分析するイオン質量分析計、電離層の熱特性を調査する電子温度探査計、ガンマ線のバーストを記録するガンマ線バースト探知器などがある。


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1号が撮った金星の雲の紫外線画像


地球との交信は直径1.09mの非回転のデイッシュ・アンテナが行なう。

打ち上げから198日目の1978年12月4日、パイオニア・ビーナス1号は金星を周回する楕円軌道に入り、12月18日からレーダー・マッパーで地形の測定を開始した。1981年3月19日までに、金星を834回周回して地表(北緯73度〜南緯63度 )の92%を観測した。 1991年5月には、レーダー・マッパーが再度作動し、前回の観測できなかった南の地域を探査した。このように、パイオニア・ビーナス1号は、金星全域を本格的に探査した最初の探査機となった。

1992年5月から始まった最終ミッションで、パイオニア・ビーナス1号は金星の大気に降下して大気の組成を観測した。 1992年10月8日、燃料が尽きたため14年に及ぶ活動を停止した。パイオニア・ビーナス1号は、金星の観測の目的に応じて近金点と遠金点を7回変更したが、 この軌道高度と傾斜角度の変換技術は、1995年から始められた木星探査のガリレオ・ ミッションに生かされた。

パイオニア・ビーナス1号の観測で、金星の代表的な高地地形である、 広大なイシュタール大陸とアフロディテ大陸が発見された。両大陸とも金星の基準面より3kmも高い。イシュタール大陸は、金星の西経290度から東経885度に位置し、この中には高さ1万100mのマックスウエル山がある。
アフロディーテ大陸は東経55度から205度の赤道帯に位置している。この大陸はダイアナ大峡谷により東西に分断されている。


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アフロディーテ大陸。 中央に見えるのは、標高8000mのマートモンズ



パイオニア・ビーナス・ミッション