ル ナ 16 号
打ち上げ時期 1970年9月12日
軌道上の重量 5600kg

 ルナ16号は月に着陸してサンプルを地球に持ち返った最初の探査機で、旧ソ連初のサンプル・リターン・ミッションとなった。これは米国が1969年に打ち上げた宇宙船アポロ11号および12号に続く、第3番目のサンプル・リターンミッションとなった。

 自動無線局でもあったルナ16号は、地球軌道に打ち上げられた後。9月22日に中間軌道修正を行い、9月17日に一周111kmの月の円軌道に入った。その後、エンジンに点火して近地点15.1kmの楕円軌道に移行した。9月20日、主制動エンジンが作動し始めて月面への降下を始めた。上空20kmで制動エンジンが停止し、探査機は秒速2.4kmでフリーフォール(自由落下)により、予定通りウエッブ・クレーターの約199km西に位置する「豊穣の海」に着陸した。この降下は太陽が没してから約60時間後に行われた、初の暗闇の中での月面着陸であった。

 ルナ16号は下降機と(地球に戻る)上昇機が組み合わされた円筒形の機体で、下降機には燃料タンク、着陸レーダーおよびエンジンが取り付けされており、機体からは4本の着陸脚がせり出している。この他テレビカメラ、放射線と気温のモニター、交信機、サンプル採取用のドリルが装着されていた。下降機は上昇機の打ち上げ台にも使われた。上昇機は下降機の上に装着された頭部が丸い小型の円筒形のカプセルで、その中には採集されたサンプルを保存する密封容器が収納されていた。



 9月21日、ドリルは月面の35cmの深さまで貫入してレゴリス(月面を覆っているささしたきめ細かい土のような物質)を採取した。しかし、それ以降は硬い岩石か大きな岩石の破片に阻まれた。25時間26分の採取活動で、合計101gのサンプルが採取された。9月24日、上昇機は中間軌道修正を行わず直接地球の弾道軌道に入り、パラシュートを展開してカザフスタンの南東80kmの地点に着地した。下降機は月面に残り、月の気温および放射線のデータを送信してきた。

 1972年2月14日および8月9日打ち上げられたルナ20号と最後の24号もサンプル・リターン・ミッションで、ルナ16号と併せて合計200gのサンプルが採集された。



ルナ・シリーズ