ベネーラ9号と10号

打ち上げ時期  9号:1975年6月8日
10号:1975年6月14日
軌道上の重量 2015.00kg

ベネーラ9号と10号は、同タイプの探査機である。1975年10月20日、ベネーラ9号のランダー(着陸機)は、オービター(軌道周回機)から切り離され、2日後の10月22日、金星の濃厚な灼熱の雲のベールをかい潜って金星の地表に着陸した。ベネーラ9号には液体循環装置が装備されていて、機体の熱の分散と大気に突入する前の機体の予冷が可能になり、着陸後地表で53分の観測することができた。降下中のランダーは、半球型の保護殻、3つのパラシュート、円板の形をした減速用の空気制動装置と圧縮空気の入った金属製のドーナツ型の着陸用クッションを逐次展開して、金星の地表に軟着陸した。

 1975年10月22日に、先ずベネーラ9号が、10月25日、ベネーラ10号が金星の地表に着陸した。2機の着陸地点はわずか2200km離れただけであった。ベネーラ9号と10号は、軟着陸してから1時間5分間、金星の地表で生き長らえて観測を行なった。


ベネーラ9号の撮った金星の地表


 この観測で特記すべきことは、撮影した画像の中に、溶岩の浸食かその他の浸食作用を受けてできたと思われる大きなパンケーキ型の岩石の画像が得られたことと、地表の風速は秒速3.5mであることがわかったことであった。


ベネーラ10号の撮った金星の地表、画像の下にランダーの一部が見える


 ベネーラ10号の観測でおおよそわかったことは、1)厚さ30〜40kmの雲が30〜35km上空に存在すること、2)大気の成分は、塩化水素、フッ素、臭素、沃素であること、3)地表の気圧は地球の90倍もあること、4)地表の温度は、摂氏485度であること、5)光の明るさは、地球の中緯度地域の曇った夏の日の程度であること、6)テレビ画像によると、空気中に塵は見られないことと、地表に30〜40cm大の浸食を受けていない様々な岩石が存在することであった


ベネーラ・シリーズ