九年母の木

抱卵のツバメの番睦まじく
蒸籠の湯気噴き上げて柏餅
慰霊祭愛の詩届けつつじ添う
水溜り天も地もあるかとの国
不揃いの柏餅にも母の味
山間に緞帳のように藤の花
生命の化石の里や若葉風
柏餅羽釜の火たきし祖母想う
過去帳の横に供ゆる柏餅
母の手の温もりありし柏餅
餅見えぬほど広き葉や柏餅
退職の恩師に送る新茶かな
百歳を生きて病室バラの花
柏餅作り終えたる掌の火照り
風吹けば小梅音して降りにけり
濃淡の山々清し老いの会
訪ねたしふんわり牡丹咲きし寺
かとの世もいちびり居るか群れ乱し
母の手の皺思い出す柏餅
薫風やうたた寝している厠にも

句会
句会

大沢句会

大沢句会
十月分
会員句

秋日和友と語らう喫茶かな
花愛でる友は何処か木船菊


秋茄子夫に供ふる深き紺
搾乳のけがれなき朝山滴る


六甲の一猟朶の白い秋の雲
父母の墓何を語ろう赤とんぼ
三恵子
三恵子


弘 枝
弘 枝


純 子
純 子