九年母の木

抱卵のツバメの番睦まじく
蒸籠の湯気噴き上げて柏餅
慰霊祭愛の詩届けつつじ添う
水溜り天も地もあるかとの国
不揃いの柏餅にも母の味
山間に緞帳のように藤の花
生命の化石の里や若葉風
柏餅羽釜の火たきし祖母想う
過去帳の横に供ゆる柏餅
母の手の温もりありし柏餅
餅見えぬほど広き葉や柏餅
退職の恩師に送る新茶かな
百歳を生きて病室バラの花
柏餅作り終えたる掌の火照り
風吹けば小梅音して降りにけり
濃淡の山々清し老いの会
訪ねたしふんわり牡丹咲きし寺
かとの世もいちびり居るか群れ乱し
母の手の皺思い出す柏餅
薫風やうたた寝している厠にも

第二百八十五回
大沢句会
    令和五年三月二日(木)
  兼題 「耕」 「当季雑詠」
   高田?先生句
畑を打つ若き日の母逞しき
菜園の五坪ほど耕せり
たがやすや腰のラジオを聴きながら
春耕やひとつの畑に一人づつ
耕して少し寄り道して帰る
 会員句

下駄箱に小さき靴や春近し
くすくすと肘突きあふて雛の客
このところ耕人増ゆる貸農園


永遠でないひと日を子らと野に遊ぶ
耕すやぐんぐん土の盛り上がる
スニーカーが駆ける少年春の風
滑り台園児が並ぶ春隣
ブランコで告ぐる進路や竹馬友
料峭や煤の香残る二月堂
耕せし土に降り込む今朝の雨
春耕の土塊ほろと崩れけり
梅が香や吾に老後の希望みゆ
  第二八六回大沢句会ご案内
大沢地域福祉センター会議室
令和五年四月六日(木)一時三〇分
三恵子
純 子
弘 枝


三恵子
三恵子
三恵子
純 子
純 子
純 子
弘 枝
弘 枝
弘 枝