NO 9

          1月20日(木曜日)
今年最初の書き込みである。今年はどんな年になるのであろうか。1989年を頂点として景気の低落傾向に歯止めがかからない。今年はそれに終止符が打てるのだろうか。現状を見ると世界に類を見ない巨額の財政赤字があるにも拘らず、相変わらず円高傾向は納まらない。わが国は財政不安のある欧州のギリシアやアイルランド、ポルトガル、スペインに比べてもGDPに対する財政赤字の割合がずっと高い。それにも拘らず円高が収まらないのは経済が好調であった頃の家計の蓄積があればこそである。政府部門は1000兆円に迫る大赤字。企業部門も経済停滞が続いて心もとない。個人の1400兆円を越す金融資産もこれから益々進む少子高齢化で今後は取り崩しが進むだろう。それに加えて政治の混乱が著しい。デフレ不況が進む中政府は、円高対策は愚か経済政策でも見るべき対策を立てず右往左往しているだけである。米国はもとよりフランス、ドイツ、韓国など各国首脳による経済外交は盛んで国を挙げて経済の後押しを行っている。わが国政府首脳によって外交による見るべき経済成果を挙げたという話は聞いたことがない。それどころか政策の混乱により経済の足を引っ張っているのが実情のようである。このような状況を考慮すると今年も大幅な経済回復は望めないのではなかろうか。
  北村 薫     街の灯
  楡 周平     骨の記憶 
  井上 靖     楼蘭 流転

           2月16日(水曜日)
今年になって中々筆が進まない。読書も今長編を読んでいるので読了するまでに時間がかかる。何事によらず年をとると根気が続かなくなる。視力も衰えたし、同一姿勢で長時間作業を続けることが困難になる。椅子に座って読書をしていてもある程度時間が経過すると膝が痛くなるし、目も疲れてくる。若い頃は何でもなかったことが今は努力しても出来ない。何とも情けないことになってしまった。

           3月13日(日曜日)
 高村 薫      レディー・ジョーカー
迷宮入りとなっている“グリコ・森永事件”をモデルにした長編小説。私がこれまで読んだ推理小説の中でも屈指の名作。今まで読んだ高村薫の作品では直木賞受賞作の「マークスの山」、「照り柿」に続いて三作目の作品。最近の高村薫は推理小説から離れて私には少し近寄りがたいが、この小説は高村作品の集大成として、単なる推理小説の枠を超えた名作であると私は信じる。

3月11日午後2時46分、東北・三陸沖を震源とするマグニチュード8.8の巨大地震が発生した。これを起因とする大津波も起き、死者行方不明者、負傷者多数。甚大な人的被害に加え、最悪の原発事故も発生して将にわが国は非常事態。時の経過とともに被害はまだ拡大の方向にある。わが国の経済情勢を考えると復興、再建への道のりは険しく遠いものになるだろう。官民問わず一丸となる覚悟が必要。




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