母の残してくれた作品

                   扇面の黒留袖

 

母を看取って今年の春 13回忌を
息子たちが勤めてくれた。
やっとその気持ちになり、
引き出しから1枚1枚広げながら整理をする。
その中から黒留袖にミシン刺繍を施した
着物を見つける。
丁寧に刺された刺繍。
いろどりも鮮やかなままの美しい扇面。
何時のころ作られたものだろうか。
着物の生地も真っ黒な上質のちりめん。
触っているうち、
綿でも裂くようにほろほろとほどけていく。
シルクの刺繍は色も鮮やかなのに、
縫い目だけはすっかり弱って、
抵抗なく解けていく。
このままにするにはあまりにもったいなく、
私のツーピースにすることにした。
工夫された仕立て、ほとんどはさみを入れず
長いまま裾も綿を少しかませて、つまんで仕立ててある。おかげで長いスカートを
取ることが出来た。
袖の紋が入っているところは、
やはり袖に使う。

 

 

1 上前の身頃

2 上前のおくみ裾

3 下前

4 後身頃

   絆  「BGM By Music By Gallery Oto」  (音様のオリジナル曲)