参考ページ:星座と神話さん


水星の伝説
狩人の守護神ヘルメス
水星は英語名「マーキュリー」で知られていますが、これはギリシア神話のヘルメスのことです。ヘルメスは大神ゼウスの末っ子で、双肩で天空を支えている巨神アトラスの長女マイアが母です。ヘルメスは早熟で狡知に長けていたことでも、よく知られています。何しろ生まれたその日のうちに外に飛び出して、兄アポロンの牛を、何頭も盗んだと言うことです。しかも牛は尻尾をひっぱて後ろ向きに歩かせて、自分の足には草で編んだ草履をつけ、足跡を混乱させて、後を追ってこられないようにしたと言うことです。 また、途中で老人に見つかると、これを巧みに買収して牛を探しにやってきたアポロンの前では、何食わぬ顔でゆり籠に横になり、寝ていたというのです。
 しかし、何もかもお見通しのゼウスは、牛をアポロンに帰すように命令しました。牛の隠し場所にアポロンを案内する途中のことです。ヘルメスは急に竪琴を奏で始めました。竪琴は彼が亀の甲羅に牛の腸を張って考案したものでした。その音色にすっかり魅せられてしまったアポロンは、牛と竪琴を交換しようと持ちかけました。彼は、ヘルメスの機転の利いた頭脳と音楽の才能を認めたのです。 これを機に二人は親しくなり、アポロンはこの竪琴を、生涯手放すことはありませんでした。


太陽の伝説
大空を駆った太陽神ヘリオス
ギリシャ神話における太陽の神はヘリオスの名前で知られています。ヘリオスは毎日四頭立ての火の車を駆って現れました。曙の神エオスに先導されて、東の宮殿から、天空に駆け上がって、大空を横切ると、西の宮殿にはいるのが、毎日の日課でした。そして夜のうちに、大河オケアノスに浮かぶ巨大な黄金の船に火の車も馬も乗せて、東の宮殿へと帰ってきたのです。
 ある日のこと、彼は愛する息子パエトンの願いを聞き入れて、火の車を貸すことにしました。しかしパエトンは、火の車を自在に操るには、余りにも未熟だったので、火の車は高く舞い上がったかと思えば、地上すれすれまで落下してきたりしました。火の車が高く舞い上がると、地上は猛烈な寒波に凍り付き、火の車が落ちてきたところは、大地も動物も植物も黒こげに焼けてしまいました。
 この様子を見ていた大神ゼウスは、とても怒りました。そしてゼウスは、稲妻を放ってパエトンを撃ち落としてしまったのです。  パエトンが落ちた川の畔には、やがてポプラの木が育ちました。これは、パエトンの死を悲しんだ姉たちの、涙によるものだと言われています。


月の伝説
月の模様になったうさぎ(インドの伝説)
昔から日本では月にはうさぎが住んでいて、お餅をついていると伝えられていますが、そのルーツをたどるとインドの伝説が元になっているようです。
インドではこのような伝説が伝わっています。
 昔ウサギとキツネとサルの三匹がとても仲良く暮らしていました。ある時三匹は、自分たちが何故獣の姿をしているのかを、真剣に話し合いました。
「きっと前世の行いが、悪かったからだろう」
「それならばこれからは、人の役に立つような行いを、しようじゃないか」
まもなくそのチャンスが訪れました。三匹の前に、ひとりのみすぼらしい老人が現れたのです。彼らはさっそく老人の世話をすることにしました。サルは木に登り
木の実を集めてきました。キツネは野山を走り回って、果物を集めてきました。
しかし、ウサギには何もすることがありませんでした。そこで彼は自分自身を食べてもらおうと、燃えさかる炎の中に身を投じてしまいました。これを見た老人はびっくりしてしまいました。実は老人は神様の仮の姿だったのです。
「お前たちの優しい気持ちは良くわかった。来世ではきっと人間にしよう。
それにしてもウサギには可愛そうなことをした。月の中にウサギの姿を永遠に残してやろう。」
月の黒い模様は、ウサギが喜んではねている姿なのである。
狩猟の神アルテミス
月の女神アルテミスは、芸術の神アポロンの双子の姉です。アルテミスは処女の女神としても知られていて、他に狩猟と弓の技をつかさどりました。
いつも弓矢を持ちニンフに囲まれて、野山を駆けめぐりました。野生の動物や子供、弱者達の守護神でもあったのです。
しかし少女のような純粋さゆえか、異常なまでに潔癖で、しばし冷酷な一面もみせました。彼女が池や川で水浴をしているところを覗いた男達は、ひどい報復を受け、その罰として女に変身させられた者もいるほどです。
その中でも悲惨な処罰を受けたのが、優れた狩人であったアクタイオンでした。彼は狩りの途中で、偶然にアルテミスの水浴中の裸身を見てしまいました。アルテミスはこの偶然を許そうとはしませんでした。アクタイオンはアポロンの孫であり、人間の世界で言えば、アルテミスは大伯母に当たります。
それにも関わらず、アクタイオンを鹿に変えてしまいました。彼の50匹の猟犬は、その鹿が主人であることも知らないままに飛びかかり、主人を貪り食ってしまったのです。


地球の伝説
大地の女神ガイヤ
ギリシャ神話の詩人シオドスの記した「神統記」によれば、カオス「混沌」から最初に誕生したのが大地の女神ガイヤです。またその時に冥界タルタロス、夜の女神ニュクス、暗黒の神エレボス緒に誕生しました。
まもなくガイヤは、男の助けを借りることなく天空の神ウラノスを産み落としました。 その後、ガイヤはウラノスと交わることにより、地上に豊かな山々や、色鮮やかに咲き誇る花々、さらには数え切れないほどの生命を誕生させました。外地を潤す川や湖さらに大海原は、ウラノスが降らせた雨によって、出来ました。美しく生命のあふれる神秘の惑星地球は、このようにして作られたのです。
 大神ゼウスの誕生にも、ガイヤは深く関わっています。天界に暴君として君臨したクロノスが、自分の子供を次々と飲み込んだのを知ったガイヤは、末子ゼウスを守るために、ゼウスの母レアと力を合わせて、大きな石を赤ん坊の変わりに飲み込ませたのです。やがてクレタ島の洞窟で育てられたゼウスは、父を倒しギリシャ神話の神々の王として君臨することになりました。