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新しい月
月は約29.5日の周期で満ち欠けを繰り返しています。
煌々と輝く満月も時と共にその姿を変えながら、太陽に吸い込まれるようにしてその輝きを失います。
しかし再び月は満ち始め満月を迎えます。
こうした月の姿から輪廻転生とした思想を月に対して抱かせて行きました。
月は多くの国々で不死や転生としての伝説などを生み出しています。


月の光
月は太陽からの光を反射して輝いています。
実際には受けている光のうち7%しか反射していません。
月の表面に見られる岩石の多くが褐色の玄武岩であることや、成分の多くを占めるチタンなどにより、とても暗い星です。
一方地球は大気中に生成する雲によってその反射率を大きく稼いでいます。
このため月面で見る満月状の地球は、地球で見る月の80倍も明るいと言います。
もしも月に大気があり雲が広がっていたとしたら、月は35〜60%もの反射率をもち、地球の夜空はずっと明るく星は見えなくなっていたことでしょう。


月の恵み
月は私達に何を与えてくれているでしょう?
心の拠であったり、癒しの対象としてだけでなく、月は大きな恵みを与えていると言われています。
月の影響が最も顕著に現れる海の世界では、潮汐によって地球的な海流を作るきっかけになったと言われています。
私達の命の源とも言える海が淀むことなく、多くの生き物を育んでいるのも、大きな月の恵みの一つと言うことが出来るでしょう。


毎日違う月
月を見続けていると1日として同じ月を見ることがないと言うことに気が付きます。
月の色合いや欠け具合はもちろんのこと、秤動によってその向きを微妙に変えることから、同じ位相でも趣が違ってきます。
また朔望周期とは違う遠近を繰り返す月は、見かけの大きさも常に変化しています。
月はその軌道をとっても二度と同じ道筋を辿らないとも言われています。
最も身近な天体である月の姿を日を追いながらゆっくりと観察をしてみて下さい。


満ち欠けの速度
月は一定の速度で公転しているわけではありません。
遠地点では遅く近地点では早く公転しています。
公転速度とは別に月が球体であるがために上弦や下弦の時には明暗線の移動が早くなります。
近地点で迎えた上弦の月などは特に早く数時間で満ち欠けが変わってゆきます。
また、同じ満月でも遠地点の時の方がより長く満月を楽しめます。


月をかじる犬:月食の神話
不老不死の杵にまつわるビルマの神話です。
かつて国王と王女は不老不死の杵を持ち永遠の生を楽しんでいまいした。
これを見た月は嫉妬し、王のすきを見て杵を盗んでしまいます。
そのため王と王女は地下に埋没してしまいました。
王に従っていた犬は、杵のお陰で永遠の命を得ていましたが、主人のありさまを見て、月を追いかけ捕まえて飲み込もうとしました。
しかし月は大きすぎて飲み込むことが出来ず、犬は月をはき出してしまいます。
この様子が時々月食として見ることが出来るのだと伝えられています。


月夜に背中をあぶる
月夜に、月の光で背中をあぶっても少しも役に立たないように、物事の方法を誤っていること、回りくどくて効果のないことの例え。
このことわざが使われた時代にはムーンヒーリングなどの効果についてはあまり考えられていなかったのでしょう。


クレーターの成因
月面には無数のクレーターが存在しています。
起伏のある陸と比較的平坦な海を比べると、圧倒的に陸の方に数多くクレーターが存在しています。
陸の岩石を調査したところ、隕石の衝突によって作られた岩石が多く見られました。
岩石の年齢は、46億年から38億年でした。
これらのことから、月が誕生した46億年前から数億年の間に集中して隕石の落下があり、それによって多くのクレーターが作られたと考えられています。


隕石の衝突頻度
月が誕生して46億年になりますが、その間に平均的に隕石の落下があったわけではありませんでした。
月の岩石の調査から、月誕生直後から、月誕生直後から数億年の間、今から40億年前までに集中して隕石の落下があったことが分かりました。
これは月だけではなく、他の惑星にも地球に置いても同様だといえます。
惑星の誕生は、言い換えれば岩石などの衝突と合体の歴史ですので、自然なことと言えるのでしょう。
地球の場合には、マントル対流による地殻運動と風雨による浸食作用によって、かつての古い地形は消えてしまっています。


近点月
月は楕円軌道を公転し、刻々と地球からの距離が変化しています。
最も近いときの距離は約36万キロ、最も遠いときは約40万キロにもなります。
月が軌道上の近地点から遠地点を巡り、再び近地点へと戻ってくるまでの期間を近点月と言います。
その周期は約27.55日で、月の満ち欠けの周期である朔望周期とは約2日ほど違います。
同じ満月でも地球との距離によって、見かけの大きさも違ってくることになります。


秤動
月は東西と南北の方向に首を振る秤動という現象を起こしています。
このため地球からは月面全体の半分以上の約59%を見ることが出来ています。
秤動の要因には4つの要素があります。
月が楕円軌道を巡っていることによる公転速度の遅速により月の自転速度との差が生じ、東西方向に首を振ることになります。
また、月の自転軸は公転面に対して傾いているため、軌道上では南北方向に首を振ります。
月が比較的近いところにあるため、月が昇って来たときや沈むときなどには視差により首を振って見えます。


潮汐力
月からの引力が地球の海水に働くと、海水は月の方向に引き寄せられると同時に、反対側の海水も押しやられるように盛り上がります。
月に向く面(月が南中している場所)とその反対側の海が満ち潮になり、90度離れた場所は引き潮になります。
地球は、6時間後には90度自転するので、ほぼ6時間毎に満ち引きを繰り返します。
現実には、海水の移動に時間が掛かったり、地形的な要因も加わり、満潮になるのは、月の南中時刻から数時間遅れることになります。


古墳の月[キトラ古墳]
1998年3月、奈良県明日香村のキトラ古墳の再調査で、白虎、青龍、星宿図などとともに、天井の西際に描かれた月像を確認しました。
月像は霞から姿を覗かせたような状態で、対応するように、東には日像がありました。


古墳の月[高松塚古墳]
キトラ古墳の近くに、色鮮やかな女人像で有名になった高松塚古墳があります。
ここの内部西壁にも月像が描かれています。
平行に引いた30本ほどの線上に、銀箔が変色してネズミ色になった月輪が描かれ、やはり東壁には、金箔を使った日像があります。


月に叢雲花に風
夜空で輝いている月に雲がかかるように、咲きほこる桜の花に風が吹くことの意。
世の中の良いことには、何かと差し障りが多いことを例えて言います。
「好事魔多し」「花に嵐」などともいう。


十五夜
旧暦8月十五日(新暦では9月中旬から下旬)季語は秋です。
十五夜は、お月見・名月・仲秋の名月などと呼ばれ、古来から観月の好時節(絶好期)とされ、月下に酒宴を張り・詩歌を詠じ・すすきを飾り、月見団子・里芋・枝豆・栗などを盛って、神酒を備え月を眺めて楽しんだと言われています。
「仲秋」は旧暦八月十五日のことを指しますが、本来は旧暦の八月を言い、七・八・九月を秋とし、それぞれを初秋・仲秋・晩秋と呼んだことに由来しています。
特に仲秋十五日の満月の日を、八月節・仲秋節と言いました。


十六夜(いざよい)
十六夜(いざよい)は「いさよう」「いざよう」からきた言葉です。
「いざよう」とは、ためらう・遅れるの意味から、満月より月の出が遅く月がためらっていると見立てて名がついたとされています。
特に旧暦8月16日の月をいいます。


立待ち月・十七夜月
立ち待ち月とは満月の月が出る時間から突っ立て待って居るうちに月が出てしまうからとか、または、立ちながら待っていても疲れないうちに出て来るなどの意味があるようです。
季語では特に旧暦8月17日の月をいいます。


居待ち月・十八夜月
居待ちとは、座って待つことで十七日月よりさらに月の出が遅いため立って待っていたのでは疲れてしまうからという意味です。


臥し待ち月・寝待月・十九日月
臥し待ち(ふしまち)・寝待ちとは、19日頃には満月の月の出から4時間程遅くなることから、もはや月は寝て待つということになる意味です。


更待ち月・二十日月
夜も更けてからようやく出る月と言う意味で、季語では特に旧暦8月20日の月をいいます。