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月夜のカニ
カニは月夜の晩に、その光を恐れて餌をとらないという言い伝えがあります。
そのため月夜のカニは痩せていて美味しく無いとも言われて来ました。
そうしたことから、中身の無い人物や内容の薄っぺらな物事を指す言葉としても使われています。
近年になってカニの行動には月明かりが関係しているという実験結果もでていますが、満月前後に産卵するカニが多いことなどから、月夜には卵を抱えたカニが多いとも言われています。


春分と秋分
春分と秋分の日はなぜ祝日となったのか?というご質問を多く戴きます。
日本の祝日の起源は明治からで、明治三年に政府が制定した祝日の中に、さらに宮中で従来から歴代の天皇の命日をお祭りしていた日を全て盛り込むことになりました。
旧暦から新暦へと変わった直後で勿論コンピュータなど無かった時代ですので、それは毎年大変な作業になったようです。
結局、春秋のお彼岸にまとめてお祭りすることとし、明治11年に春分の日を「春季皇霊祭」、秋分の日を「秋季皇霊祭」とした新たな祝日として現在に引き継がれています。


ラマダン
太陰暦を元にしたイスラム暦の第九番目にあたる月で、最も神聖な断食月とされています。
太陽暦の11月中旬から下旬頃の新月から始まり、断食をすることで一年間に犯した罪を償うとされています。
断食するのは夜明けから日没までの間だけですが、食事は主にサフールと言う軽食だけをとります。
また、人々と交流を深め、人道的な奉仕活動を積極的に行なうことから、賑やかなお祭りのような雰囲気となります。
ラマダンに続く第十月のシャッワールに行なう六日間の断食を行うことで、その一年間断食を続けたとみなされます。


しし座流星群[1]
 毎年この時期なると、やや過大に報道されてしまうことの多いのが、しし座流星群です。<BR>出現予想数の指標であるZHR値をそのまま報道することによって、毎時数千から数万の流星雨が出現すると期待され、近年では流星群そのものに対する関心が薄らぎつつあります。
 母彗星の回帰毎に大出現が予想されるのは事実ですが、報道のあり方は改めて戴きたいところです。
 さて、肝心な今年の出現予想ですが、17日の23時頃と19日の3時頃に分かれています。
 昨年の出現時刻を的中した英国のアッシャ博士の予想が注目を浴びています。


しし座流星群[2]
しし座流星群出現予想時刻と出現数は次の通りです。
英国アッシャ博士の予想では19日3時頃とされ、6等級以上の流星出現数は1時間あたり360個程度となります。
しかし、一般には3等級以上の明るさの流星しか見ることが出来ないとすると、出現数は10分の1程度に減少し1時間あたり数十個となってしまいます。
山間部や高原などでは流星雨となっても、明るい都会では数個しか確認できないことになります。
ピーク時には明るい火球の出現が多くなることもありますし、何よりも夜空を見上げなければ、流星は見えないのは確かです。


潮汐
月の引力が海水に対して大きな作用を及ぼしていることが知られています。
海水面の上昇は大洋ではわずかでも、大陸に近づくにつれてその大きさを増して行きます。
海底や湾の形状などによって、その差はありますが、特に瀬戸内海や有明海などではそれらが最も顕著に現れています。
ところが潮汐力によって引き上げられているのは海水だけではなく陸地もまた僅かながら高さを増しています。
実際の海水面の上昇は陸地が上昇する分だけさらに大きかったことになります。
大型加速器などで地盤の変形が月によることが確認されています。


月が満ちるとき
月が満ちるときにすると良いことがあると言います。
物事を段階的に押し進める行きたいことをするのがよいとされています。
新月に目標を立てて満月に向けて実現して行くと良いのかも知れません。
ヨーロッパでは新月に挙式をあげるしきたりもあります。
また、この時期に地表に実を付ける植物の種をまくと良いともされています。


ブルームーン
一般に青く見える月を呼びます。
月が青く見える要因としては、火山などにより大気中に放出される物質によって色合いが変化して見えることがあると言われています。
極めて希な現象であることから、1ヶ月に2回の満月を含む月もブルームーンと呼ばれるようになりました。


月を想うとき
月を愛する多くの方々から戴くお便りやご投稿などを通して、いつも思うことがあります。
共に暮らす国や街が違っても、同じ月を見上げる私達は決して孤独ではないと言うことです。
遠く離れた故郷や愛する人を想うとき、私達は月に面影を重ねているのかも知れません。
それはまるで淀むことなく流れて行く、時という川に掛かる橋のようです。
多くの人の心と心を繋ぐ架け橋として、そしてまた心の拠として、夜空の月は輝き続けるのでしょう。
いつまでも私達が夜空の月を愛し続けられる平和な時が続いてくれることを願っています。


新しい月
私達が子供の頃に抱いていた21世紀のあこがれが現実のものとなって3年が過ぎようとしています。
町並みがクリスマスに彩られるなか人類の数千年もの歴史を振り返ったとき、果たして正しい進化の過程を辿ってきたと言えるのでしょうか?
悲しいことに民族紛争・武力衝突・テロや虐殺が今この瞬間にも世界のあちこちで繰り広げられています。
21世紀が私達人類にとって夢の世紀であってほしいと願うのは誰もの想いでしょう。
夕闇に見える細い月は晦日に向かって輝きを増しています。
ブルームーンの満月に真の平和を願いたいものです。


月の色
月の色合いについて多くのご質問を戴きます。
InfoMoonでも何度か取り上げてきましたが、赤い月に対する不吉なイメージというのは古の時代から誰もが抱いてきたものです。
しかし月が赤く見えるのは朝日や夕日が赤く見えることと同じ現象で特別なものではありません。
高度が低いと月の光は大気の中をより長く通って私達の目に届くことになりますので、青い光の成分が失われてしまうことによります。
月が見やすい満月の頃では夏場は高度が低く、湿度の高い日本では一層赤みを増して見えることとなります。


太陰暦生活[1]
太陽の対語として付けられた太陰とは月を指す言葉です。
夜空を巡る月を基にした太陰暦は、日本でも明治の初めまで使用されていました。
現在でもアジアやイスラムの国々では実際に使用されている暦法です。
IT革命の進む現代において月を基にした暦が再び注目を浴びています。
政治的意味合いから春分の日が暦からずれる事を無くすために作られた太陽暦から、再び太陰暦を用いるメリットとは何でしょう?
今日から数日に渡りこの古くて新しい太陰暦をご紹介しながら、ご一緒に月を意識した生活についても考えて行きたいと思います。


太陰暦生活[2]
暦とは一体何のために使われているのでしょう
私達の生活の中で暦がどのように存在であるかを考えた時、思い浮かぶ物は人それぞれかも知れません。
誕生日や結婚記念日と答える方もいるでしょうし、お給料日や公共料金の支払いであるかも知れません。
確かに今日は平成13年の327日目等という呼び方では実生活において大変不便なことでしょう。
生活の基本的な尺度として1日24時間の単位の複数倍の月という単位を私達人類が作り出したのは、過ぎ行く日々や来るべき日までの期間を明確に捉えるために最も有効な手段であったことは確です。


太陰暦生活[3]
朝になると日が昇り、昼が終わると日が沈み夜を迎えるという周期は、人間のみならずこの地球上に生存する全ての生物が何らかの形で意識しています。
また、太陽高度の変化による季節の移り変わりによって1年という単位も同様に多くの生物が意識しています。
ここで問題となるのが昨日の話題である月という単位です。
1日の複数倍で何らかの単位を考えた時に、月の満ち欠けを用いたのは必然的であったと言えます。
1ヶ月が月という言葉になっている訳ですが、地球という星で暮らす者にとって極めて自然な方法である事は間違いないでしょう


太陰暦生活[4]
私達には一定のリズムを刻む体内時計というものが存在していることが知られています。
近年になってその周期が、月が昇り来るサイクルである24.8時間と同じであることが分かってきました。
ところが実生活では24時間のサイクルで行動しなくてはならず、朝の太陽を浴びることで光覚醒という手法で体内時計をリセットしていると言われています。
このように強制的に実社会のリズムに合わせなければならい暮らし中で、暦が月の満ち欠けに沿ったものであれば、私達はより自然に暮らして行けるのではないかと思う人も少なくありません。


星食観測のすすめ「1」
月は天空を約27.3日で1周しています。
その運行の際に星を隠す現象を星食といいます。
隠される星は恒星だけではなく太陽系の惑星もしばしば月に隠されることがあります。
主な星食は年に50回ほどあり、アマチュア天文家にも精度の高い観測が可能なため、海上保安庁に籍を置いている星食国際中央局でも広く一般の方の観測結果を求めています。


星食観測のすすめ「2」
星食を高精度で観測することによって得られるものは、直接的には月の縁の地形です。
月の縁は角度にして約2秒ほどの凹凸がありますが、星食観測によって1994年にこれまでにない高精度で観測を行ったアメリカの月探査機クレメンタインによる測定を越える精度で月の地形を測定することができます。


星食観測のすすめ「3」
過去の日食の観測に精密な月の縁の地形データを用いることで、太陽の直径の変化をより精密に求めることができるようになります。
また、光学天体の位置基準とされているヒッパルコス星表の誤差を求めることにも繋がっています。
星食観測は天文学の基礎を担う重要な要素であり、アマチュア天文家が参加できるものとしては、重要性と手軽さを兼ね備えているとも言えます。


星食観測のすすめ「4」
星食観測において最も重要なことは、観測地点の正確な経緯度などの位置情報と星食の時刻を正確に観測することです。
近年ではGPS(汎地球測位システム)なども手軽に使えることから、観測地の位置情報は苦労せず得られるようになってきています。
特に従来意図的にGPSの制度を落とようにSA信号というものが混入されていましたが、2000年5月からその規制が解除され誤差数十メートルの精度を得ることが可能になってきています。
標高に関してはGPSでも得ることが可能ですが、経緯度から地形図上で求めることが奨められています。


星食観測のすすめ「5」
星食観測では国土地理院発行の2万5千分の1地形図を使用するのが推奨されていますが、日本地図に使用されている経緯度は明治時代の測定を元にした日本測地系を使用しているため、地球重心を中心とし地球楕円体に合わせた世界測地系からは大きな違いがあります。
東京付近では450mもずれていることがわかっていますし、また東京を基準とした場合には札幌が西に9m、福岡は南に4mほどずれています。
明治時代の測定誤差と以降の地殻変動などによるもので、2002年4月からは世界測地系を用いた経緯度が使用されることになっています。


星食観測のすすめ「6」
星食観測においてのもう1つの要素である時刻の測定についてもGPS時計などを用いることで手軽に高精度なものを得ることができます。
携帯電話による時報は遅延が大きく、電波時計なども毎正時の時刻修正直後で0.2秒ほどの誤差があるために使用できません。
最も手軽に正確な星食観測を行うにはビデオにGPS時報とともに星食の様子を撮影することです。
ビデオは毎秒30フレームで撮影されるため0.033秒ほどの精度を持つことになります。
高精度が求められる基礎的な観測において日本のアマチュア天文家は高い評価を得ています。