高脂血症患者さんのための食生活

健康な食生活は、食品をバランスよくとることによって成り立ちます。
「コレステロール値が高い」と言われたら、以下のような点に注意して、食事をするように心がけましょう。

*コレステロール値を下げる食生活とは
1.エネルギー量(カロリー)は控えめに。
標準体重1kgあたり25〜30kcalが適切です。
2.脂肪の摂取を抑えます(エネルギー量の20〜25%)。とくにコレステロール値を上げる動物性の脂肪(魚油は含まない)は控えます。
3.コレステロールの多い食品は避けます(1日300mgを目安に)。
参考/卵黄1個のコレステロール含有量は約230mg
4.たんぱく質は、体に不可欠な栄養素ですので、適量をとるようにします。
5.食物線維は、腸内でコレステロールの吸収を妨げますので、積極的にとるようにします。
6.夜遅くに食事をしない。

* 脂肪酸のバランスが大切です
脂肪酸は脂肪の主成分で、大きく3種類に分けられます。コレステロール値を下げるためには、これらをバランスよくとることも大切です。
飽和脂肪酸:動物性脂肪(魚以外)に多く含まれ、コレステロール値を上げる作用があります。
一価不飽和脂肪酸:最近注目されているオリーブ油やごま油に多く含まれ、コレステロールを下げる作用がある。
多価不飽和脂肪酸:魚や植物油に多く含まれ、コレステロールを下げる作用があります。
理想的な脂肪酸のバランスは、
飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸=3:4:3 です。

*料理のポイント
魚料理のポイント
魚は積極的にとりましょう。とくに青魚はEPA・DHAなど、コレステロールを低下させる多価不飽和脂肪酸をたっぷり含んでいます。白身魚は良質たんぱく質を含むので材料的にはおすすめですが、淡白な味で物足りないという方には、少量の油脂をプラスすると、コクが出ておいしくいただけます。
<コツ1> 蒸し煮 青魚はワインを入れてさっとゆでると、臭みがとれます。この汁を使えばEPA・DHAも逃がさず食べられます。
<コツ2> 炒める 白身魚は少量のバターでソテーしてレモンで味付けすると、コクと酸味でおいしくいただけます。

動物性脂肪の料理のポイント
肉や卵・乳製品などの動物性の脂肪は、コレステロールを高くする飽和脂肪酸を多く含むので、とりすぎに気をつけましょう。鶏肉なら手羽をやめて皮なしのもも肉を、豚肉や牛肉ならバラ肉・肩ロースをやめてもも肉を選ぶことをおすす めしますが、皮付きの鶏肉やロースでも、脂を上手に落とす調理法を覚えると、ヘルシーに食べることができます。
<コツ1> 蒸す 皮付きの鶏もも肉は、蒸して脂を落とします。
肉100gにつき65kcalカット。脂肪30%カット。
<コツ2> ゆでる ロースは、まずゆでて浮いた脂をお玉ですくい取ります。
牛ロース100gにつき98kcalカット。脂肪32%カット。
<コツ3> しゃぶしゃぶ 牛バラ肉100gにつき89kcalカット。脂肪23%カット。
<コツ4> 網焼き 牛肩ロース100gにつき33kcalカット。脂肪9%カット。
<コツ5> フライパンで炒め、紙で脂をふきとる。18kcalカット。脂肪7%カット。
植物性脂肪の料理のポイント
脂身の少ない肉や豆腐は、動物性脂肪を控えられる1品ですが、味も淡白になりがちです。そんなとき、悪玉コレステロールを下げる一価不飽和脂肪酸を多く含むオリーブ油やごま油を使ってみましょう。植物油を少量プラスするだけでうまみも加わり、低カロリーでもボリューム感のあるメニューに早変わりします。
<コツ1> 炒める 野菜やいかは少量の植物油で炒めてから、酢とオリーブ油に漬け込むと、ボリューム感が出ます。
<コツ2> 焼く テフロン加工のフライパンを使えば、小さじ1の植物油でもカツレツができます。

* 外食のコツ
<選び方によってコレステロール値は変わります>
コレステロール値が高いと動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞を引き起こす危険性が高まります。コレステロール値に加えて、中性脂肪値も高い場合、この危険性はさらに高まります。このような「高脂血症」は、食生活を見直すことで改善できます。ポイントは、エネルギー量(カロリー)を控えめにし、コレステロール値を上げる動物性脂肪(魚は除く)の摂取を控え、コレステロールの多い食品をなるべく避けることです。そのかわり、コレステロールの吸収を防ぐ食物線維はたっぷりとります。「コレステロール値が高い」と言われたら、"日頃のメニューの選び方"を見なおしてみましょう。

<外食はここが問題です>
外食はボリューム感を出して満腹感が得られるように作られたメニューが多いため、どうしても栄養素がかたよりがちです。外食には次のような問題点があることに注意しましょう。
1. エネルギーが高い
1. 脂肪過多になりやすい
1. コレステロールの多い食材が多い
1. 糖質に偏った食事になりやすい
1. 野菜が不足しやすい
1. 塩分が多い

[和食]糖質に偏りがちな和食は、1品を補って調整する
和食は低脂肪でヘルシーという印象がありますが、メニューによっては糖質に偏った、栄養バランスの悪いものもあります。和定食では、主菜に刺身・煮魚・焼き魚を選び、副菜として野菜の小鉢をつけるとバランスが整います。主食をそばなど糖質中心のものにしたときは、豆腐・野菜・海草などの小鉢を補うとバランスがよくなります。
糖質のとりすぎは、中性脂肪値を高くするので、丼物などごはんの多いメニューは食べる量にも気をつけましょう。
(例)*刺身定食(刺身、味噌汁、ごはん、漬物)→プラスするもの ほうれん草のおひたし
*もりそば → プラスするもの トマトジュースとフルーツヨーグルト

[洋食]魚か低脂肪肉で、ノンフライ料理を
洋食は、ロース肉、ひき肉、チーズなど、コレステロールの原料となる動物性脂肪の食材が使われていることが多く、全般に高カロリーで高脂肪です。魚でノンフライ料理がおすすめですが、肉を選ぶのであれば、低脂肪でコレステロールの少ない部位の肉を選びましょう。ソテーや煮込み料理がお奨めです。ホワイトソースなどの濃厚なソースは控えましょう。
(例) チキン(もも肉皮なし)のトマト煮込み
牛ヒレステーキ
鮭のムニエル
ポークソテー(ヒレ肉)

[中華]野菜、魚をメインに油控えめメニューを選ぶ
中華料理は、食材も調理方法もさまざまです。肉・卵・レバーの料理は、コレステロールを多く含むので、なるべく避け、野菜や魚料理を中心に選びます。また、揚げ物や炒め物にラードが使われることも多く、動物性脂肪の摂取が多くなりがちです。野菜や魚がメインで、油控えめなメニューとしては、下のようなものがおすすめです。お皿に油が見えたら、選り分けて食べるとよいでしょう>
(例)エビチリソース
チンゲン菜と干しエビのクリーム煮
八宝菜
白身魚の野菜あんかけ

[弁当]揚げ物を避けることが大きなポイント
お弁当は、全般的に高カロリーで味付けが濃く、栄養バランスが悪くなりがちです。おかずのバランスがよさそうな幕の内弁当でも、フライや天ぷらなどの揚げ物が多いため、高脂血症の人が全部食べるとお勧めできないものになります。お弁当は、油を使っていない調理法のおかずを選びます。焼き魚や煮魚と野菜の煮物がついている和食系弁当や寿司、サンドイッチなどがおすすめです。
(例) 鮭弁当
野菜チーズハムサンドイッチ
にぎり寿司弁当
さば味噌煮弁当

[アルコール]お酒を飲んだら、ご飯を控えめに
アルコールは糖質でできています。飲みすぎると、カロリーの摂取が多くなり、中性脂肪値が高くなってしまいます。
お酒を飲む日は、下の量を目安にし、その分主食やおかずの量を控えましょう。おつまみは高コレステロール、高カロリー、高塩分のものを控え、野菜や魚のメニューを選ぶとよいでしょう。
*適量のアルコールの目安:この範囲なら、ご飯1杯分くらいのエネルギー量(160kcal)に相当します。主食を減らして、調整するようにしましょう
日本酒 1合
ビール 中ビン1本
焼酎 1/2合
ウイスキー シングル2杯
梅酒 グラス半杯
ジンフィズ グラス1杯
* 食べ過ぎに気をつけたいおつまみ
ソーセージ、ししゃも、カキフライ、鶏から揚げ、つけもの、ミックスナッツ、牛タン塩焼き、ジャーマンポテトチーズ焼き、明太子、もつ煮込み、ピザ、サラミ、う巻き卵、クリームチーズ、塩辛、レバー焼き
* おすすめおつまみ:低脂肪、高ビタミン、高たんぱくの一品です。副菜として、また酒の肴としてもおすすめの一品です。とくに、食物線維を多く含む海草や野菜は、コレステロール値を下げるのに役立ちますので、積極的にとりましょう。
マグロの山かけ、アジの刺身、肉じゃが、鶏ささみの梅肉あえ、枝豆、アサリの酒蒸し、小松菜のおひたし、揚げだし豆腐、ふろふき大根、ひじきの煮物、モズク酢、なめこおろし