★水虫の正しいケア
水虫は白癬菌というカビの一種が皮膚の一番外側の角質層に住みつくことによって起こる病気です。かつて、水虫を治すことは不可能とまで言われていましたが、現在では優れた治療薬ができ、正しく治療すれば完全に治すことができるようになりました。
とはいえ、治療は一定の期間続けることが必要で、たとえ治っても再感染することも多く、いまだに治りにくいというイメージが付きまとうのも事実です。
水虫治療の原則は、@いちがいに水虫と決め付けないで、症状に応じて薬を選び、正しく使用すること、A足を清潔に保ち、常に乾燥させておくこと、Bかかりやすい人は再感染の防止につとめること、の3つです。いずれも簡単に実行できることばかりです。完全に治せるかどうかは、あなたのやる気次第です。

* 薬の正しい使い方
@適量を必要回数だけ塗る
薬は、患部より広めに薄く塗りこみ、塗布回数も医師に指示された回数だけつければ十分です。
一度に多量に塗ったり、塗布回数をやたら多くしても意味がなく、かえってかぶれの原因になることがあるので、注意しましょう。
A風呂上りに塗るのが効果的
風呂上りや足を洗った後は、皮膚の角質層がふやけており、薬がしみ込みやすく効果的です。
B症状がなくなってから、さらに1か月塗る
薬を使い始めると、ほどなく症状がおさまり、一見治った様に見えます。しかし、角質層の奥にいる白癬菌がすべて死んだわけではないので、ここで治療をやめると必ず再発します。
足のうらの角質層が新陳代謝で完全に新しくなるのに、約3ヶ月かかるといわれています。症状がなくなってからも、さらに1か月以上は薬を塗りつづけ、完全に白癬菌を追い払うことが必要です。
C薬が強くしみたり、痛みやはれがつよいときは、すぐ医師に相談する
薬が強くしみたり、痛みやはれ、分泌物が多い場合は、かぶれや細菌感染を起こしている可能性があります。こういうときは、まずかぶれや細菌感染を治してから、水虫の治療に取りかからなければなりません。いずれにせよ、自分で判断せず、すぐに医師に相談してください。

* 清潔、乾燥―足のケアと靴、靴下
@ 足は毎日石鹸で洗う
足は石鹸で洗うのが原則。足指の股まで、毎日ていねいに洗いましょう。
A 足の乾燥を心がける
白癬菌はカビですから、高温多湿を好みます。ぬれたり汗をかいたら、よく乾かすことが大切です。
B 靴を乾燥させる
水虫は靴をはく時間の長い人がかかりやすい病気です。靴は通気性のよいものを選び、はいている時間をなるべく短くするように心がけましょう。靴を2足用意し、交互にはいて乾燥させるのも効果的です。
C 木綿の靴下を毎日とりかえる
靴下は、通気性のよい木綿製のものをはき、毎日取り替えましょう。また、洗濯した靴下は裏返しにして、直射日光で乾かしましょう。

* 再感染の防止
@ 畳、じゅうたん、マットはよく掃除する
水虫が長年治らないという人のなかには、実は治癒と再感染を繰り返している場合がかなりあります。
白癬菌は、水虫の足からはがれおちた鱗屑(皮膚の屑)のなかで、数か月間も生き続けることができます。はがれた鱗屑を掃除しないでおくことは、いわば白癬菌を弁当つきで飼っているのと同じことなのです。せっかく治っても、自分の落とした白癬菌を踏んで、再感染してしまいます。そればかりか、家族にうつす危険性もあります。
畳やじゅうたんの、マットなどはよく掃除し、乾燥させておきましょう。

* 知っておきたい水虫豆知識
@ 白癬菌で起こる他の病気
白癬菌は足以外の皮膚にも感染します。股にできればインキン(頑癬)、体にできればタムシ、と症状や呼び名が変わりますが、いずれも同じ白癬菌によるもので、ほとんどの場合、足の水虫から感染します。最近は、女性の水虫の増加とともに、女性のタムシやインキンも増えています。
また、白癬菌は爪や髪の毛にもすみつくことがあり、こうなると、外用剤だけでは治療がむずかしくなります。必ず、医師に相談し、正しい指導を受けましょう。
A 水虫に似た病気
足のうらや足指の病気は、水虫だけとはかぎりません。汗疱やかぶれ、カンジダ性趾間びらん症など、水虫と同じような症状を呈するものもあります。自分勝手に水虫ときめつけてはいけません。
また、手のひらに水虫ができることはまれで、子供の足に水虫ができることもまずありません。こういった場合は、ほとんどが他の病気です。
B 危険な民間療法
水虫には古くからさまざまな民間療法が伝えられています。米ぬか油や馬の油、酢につけたり、熱砂の上を歩くなど、枚挙にいとまがありません。しかし、これらはまったく効果がないばかりか、下手をすると、かぶれたりして危険なことさえあります。絶対にやめてください。