当院では花粉症に対して、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、点眼薬、点鼻薬を処方しております。
早目の対策が症状悪化を防ぎますので、毎年花粉症でお困りの方はご相談ください。
1.花粉症とは
花粉で起こるアレルギー。スギ花粉など、ある特定の花粉が目に入ったり、鼻から吸い込まれたりすることによって起こるアレルギー症状のこと。
2.花粉症の症状
おもに目と鼻に。毎年、決まった季節にあらわれます。
目の症状(アレルギー性結膜炎の症状)
最も多く見られる症状は目のかゆみです。この他にも充血、涙が出る、目やにが出る、目がゴロゴロするといった症状があらわれます。
鼻の症状(アレルギー性鼻炎の症状)
鼻がかゆくなって、くしゃみが発作的に出ます。そして、鼻水や鼻づまりが起こります。くしゃみがひどい時には何回も立て続けに出ます。水のような鼻水がかんでもかんでも流れ出てきます。鼻づまりは発作の後にいったん治まり、8時間くらいしてから再び強くなります。
のどの症状
のどがいがらっぽくなり、気持ちが悪く何か物がある感じがしたり、咳が続く、声が変わるなどの症状が起こります。
3.花粉の飛散時期は?
花粉の飛散時期は、原因となる植物の開花期によって異なります。スギであれば、一般に2月の上旬から4月にかけて、カモガヤなどのイネ科の植物は主に初夏の頃、ブタクサなどは夏の終わりから秋にかけて開花し、花粉を飛ばします。こうした原因植物の花粉の飛散時期を知っておくことは、早めの予防対策を講じる上で大いに役立ちます。
4.花粉症の対策は?
花粉との接触を断つことが基本です。
晴れて風のある日は外出を控える。
花粉は晴れた風のある日(特に雨上がりの翌日)によく飛びます。このような日の外出はできるだけ控えるようにして下さい。外出しなければならないときは、マスクやメガネを着用しましょう。通常のガーゼマスクに水で湿らせたガーゼを中にはさんで使用すると、花粉の90%以上をブロックすることができます。また、外出は朝の早いうちの方がよいでしょう。スギの花粉は、午後からの乾燥した風とともにやってくるからです。
室内への花粉の侵入を防ぐ。
掃除の時以外は、室内への花粉の侵入を防ぐためにキッチリと窓を閉めておく必要があります。フトンや洗濯物を取り込む際には、花粉を十分に払い落として下さい。また、外出からの帰宅後は、ドアの前で髪や衣服についた花粉を落とすように心掛けて下さい。花粉は顔にもくっついていますので、家の中に入ったら顔を洗うことも必要です。また、うがいをして、のどに入った花粉をきれいに洗い流しましょう。
部屋の中はいつも清潔にする。
部屋の中は常に整理整頓し、まめに掃除して下さい。特にじゅうたんやベッドの下は念入りに行いましょう。電気掃除機を使う時は、窓を開けて噴出口を室外に向け、室内にホコリが舞わないようにします。掃除機をかけた後にぬれぞうきんで残った花粉を拭き取る方法も効果的です。また、部屋を加湿し室内が乾燥しないようにしましょう。湿度は60%以上であれば十分だと思われます。
雑草が原因なら除草を。
カモガヤやブタクサなどの花粉症の原因となる雑草が身近に生えていたら、できる限り取り除いて下さい。
適切な治療を受ける。
先生からのお薬の指示や生活指導は必ず守って下さい。お薬は花粉症の程度や患者さんの体質などを考慮して使われていますので、自分勝手に投与量を変えたり、中止してはいけません。
食生活に注意。
ファーストフードや加工食品の摂りすぎに注意し、バランスのとれた食生活に改善しましょう。
ストレスを避け、十分な睡眠を。
過労や精神的なストレスはアレルギー症状のあらわれるきっかけになったり、症状をさらに悪化させます。不規則な生活を避け、十分な睡眠をとるように努めて下さい。また、お酒やタバコもできるだけ控えめにして下さい。
風邪をひかないようにする。
風邪をひくと鼻の粘膜が一層弱くなり、症状が悪化しやすいので、注意が必要です。
5.花粉症の治療薬は?
<まず、症状を押さえます>
花粉症の人は、花粉が飛散する時期に入ると2週間くらい前から抗アレルギー薬を点眼すると、アレルギー症状が軽減することもあります。また、花粉の飛散する1〜2週間前から抗アレルギー薬を服用し始めると、鼻の粘膜反応を抑えることができます。これは、抗アレルギー薬は使用し始めてから効果が現れるまで1〜2週間かかるからです。花粉症の症状が出たら、悪化しないように対症療法をきちんと行います。対症療法に用いる薬としては抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬と副腎皮質ステロイド剤があります。これらを医師の指示に従って点眼、点鼻または内服します。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬
ヒスタミンは血管や神経に作用してアレルギー症状を引き起こします。抗アレルギー薬は、アレルギー反応のいろいろなプロセスに作用してヒスタミンが出てくるのを抑えます。また、すでに出てしまったヒスタミンに対しても、ヒスタミンが血管や神経に刺激を与えるのを妨害してアレルギー症状が出るのを抑えます。
副腎皮質ステロイド剤
薬の効果という点だけを考えると、ステロイドは非常に強力な症状の改善効果を示します。花粉症だけでなくアトピー性皮膚炎、気管支喘息、さらにリウマチなどにも使われている薬です。ところが効果の反面、副作用も強いので、自己判断で長期間服用したり突然中止したりせず、医師の指示を守って正しく服用することが大切です。また、局所ステロイド剤(点鼻薬など)は全身に対する副作用も少なく、安全といわれています。
<薬の副作用>
一番問題になるのは眠気です。特に抗ヒスタミン作用をもつ薬は眠気を催すことがあるので、自動車の運転や危険な機械の操作には十分注意が必要です。眠気の副作用は個人差が大きく、3〜7日以内に薬に慣れてなくなってくるのが通常です。個人により薬に対する相性があるので、医師に相談してください。また、最近では、眠気の少ない薬も出ています。内服のステロイド剤では、胃潰瘍や糖尿病、肝障害などがあります。
また、妊娠中や授乳中では子供への影響も考慮が必要です。妊娠の可能性がある場合も特に薬剤の使用については注意を要します。