003 奥穂高岳 1999.08.28
001
1999.08.28早朝。
例によってokaと新穂高温泉にいる。
そして真っ暗な中、
露天風呂につかっている。
これから登る3000m級の山々に対する、
お清めなのか、
はたまた単なる眠気ざましなのか、
それともただのお風呂好きなのか・・・
まあとりあえずここで登山の支度をすることだけは確か。
それなりに着替えて公営の無料駐車場に向かう。
002
車を置き、
ザックに荷物をまとめ、
MTB?を降ろす。
ザックを担いでMTBにまたがり出発。
夜明け前の道路は真っ暗で何も見えない。
ライトの明りを頼りに、
新穂高温泉バスターミナルまで走る。
入山届を提出し、
案内板の前で写真を撮る頃には、
空も明るくなってきた。
4時53分出発。
観光地らしく旅館や土産もの屋が有るな、
(閉まってたけど)
と思うのも束の間、
いきなり林道。
しかも砂利道。
当然登り。
MTBをこぐ足も重い。
途中で土木工事をしていたので、
そこまでは砂利道もマイルドだったが、
その先はとんがった石がゴロゴロの、
ひどい道だった。
特にクロスバイクのokaは、
タイヤがノーマルなので、
パンクが気になった。
まあ何とか6時、
白出(しらだし)小屋着。
ここでMTBを置いておく。
okaのタイヤが心配だが、
こいつらきっと帰りはあっという間に下まで運んでくれるやろう。
003
さてここからが本格的に登山。
まず、
最初は「槍ヶ岳」登頂を目指す。
次の休憩ポイント「槍平小屋」を目指して、
林道をさらに進む。
すぐに沢に出る。
ここで林道は終わり。
okaに続いて沢を登る。
水はあまり流れていないが、
幅40〜50mはあるかなり広い沢だ。
大きな岩を跳び、
よじ登り、
飛び降りて上流を目指す。
<約1時間>
目印が無いのと、
後続が来ないのが気になる。
前でokaが地図を広げる。
地図と地形が違う様だ・・・
右手に「滝谷避難小屋」が見当たらない・・・
右は崖だ。
とりあえずもう一つ先の沢の出合に向かう事に。
しばらくすると「橋」!!
どうやら道はあるようだ。
先に進もう。
ロープで岩を登る。
次の沢出合・・・
小屋は無い。
どういうことやろ?
もう少し先に・・・
滝がある・・・行き止りだ。
地図を見る。
道が違うのは明らか。
でも何で?
戻るのが確実か・・・
コンパスで方位を見る。
東か・・・ん?
沢はもう一本ある・・・
「白出沢」・・・この沢、
一回道が横切っている?
さっきの橋?
そうか!
これ・・・穂高のルートや!!
橋まで戻れば穂高に行けるで!!!
okaと相談。
急遽計画と逆回りに進むことに。
危なかった。
白出小屋まで戻ったら予定は大狂いになるとこや。
004
橋まで戻る途中、
「お〜〜い」と頭上から声。
「そっちじゃないぞ〜〜。」
対岸の斜面の遥か上に男性が2人。
我らが間違ったルートを進んでいるので声をかけてくれたのだ。
しかし、
あの2人が立っている所、
どう見ても道なんか無いぞ・・・
橋から上に道は続いていたみたいだが、
気付かなかったのだ。
おいおい、
この先迷わず行けんのか?
さっきの2人と合流。
やはり穂高ルートだ。
槍にはこの沢を横切って、
対岸の奥にある道を行かなければならなかった。
さて、
ようやく本ルートを進めるのだが、
もはや道とは呼べないシロモノだ。
斜面を這うように登り、
さっきの滝(白出大滝)は眼下だ。
木々のなかを進み、
9時5分、
荷継小屋跡着。
白出沢の荷継小屋跡
地図には『水場』マークがあるが、
沢には水はなかった。
「槍平小屋」を目指していたので、
水はもう残り少ない。
水は大事に飲むことにした。
005
ルートには白いペンキで「○」印が書いてある。
曲がり角や一方通行には白い矢印。
しかし、
あちこちに黄色いペンキもある・・・
これは古いコースマークで、
実は去年この辺りを襲った地震のために、
黄色いペンキのマークの位置が大きく変わってしまったのだ。
そこで白いペンキで復旧してあるようだった。
黄色いペンキもそこそこは信用出来そうなので、
道を見失ったときに利用した。
さあ、
岩場の登りだ。
人もパラパラいて機嫌良く登っていたが、
いきなりガス(霧)が出てきて見通しが悪くなる。
上も下も見えにくい。
あとどれ位か見当もつかない。
100m登っては休憩。
水も残り少ない。
迷った分体力を使ってしまったのか・・・
そして雨、
高度もだいぶ上がってきたので少し寒い。
一気に気分がマイナスに向かう。
息も少し苦しい。
まだ初日やで・・・
100m登っては休憩の繰り返し。
100m過ぎないかと、
高度計ばかりを見る。
あぁここで何やってんねんやろ・・・
いつのまにか雨は止んでいた。
006
左の斜面から水の音。
水が流れてる!!
ペットボトルに詰め込む。
ザックのなかのカレーパンを食べる。
ちょっと元気が戻った。
さらに上を目指す。
依然ガスがひどい。
小屋の形の影が見えたかと思えば岩・・・
もう機械の様に歩く。
眼前に影・・・また岩やろ・・・
あっ山小屋や!!!
12時15分穂高岳山荘着。
チェックインして荷物を置く。
軽く食べて部屋へ行く。
2人とも山小屋は初めて。
12帖程の部屋に3・40人はいる。
1帖に1組の布団で2人分・・・
聞いてはいたがすごい。
14時まで天気待ち。
外は土砂降り。
・・・横になると熟睡していた。
007
14時目が覚める。
外は依然雨。
行程の関係から仕方無く出発。
悪天候のなか奥穂高山頂を目指す。
ザックは小屋に置いていて身軽だが、
雨のせいで視界がほとんどない。
進路も先が真っ白だ。
14時15分出発、
いきなり上に向かっている。
けっこう上から人が下りてくる。
・・・ハシゴだ。
上に人がいる。
「沢山いるけどいいですか?」
『どうぞどうぞ。』
ハシゴのわきで待つ・・・
・・・年配の人が目立つ・・・
中高年登山ブームやからなぁ・・・
・・・ん?・・・それにしても・・・
いったい何人おるんや・・・
寒うなってきたぞ!
いつまで待たせんねん!!
一人をつかまえ上の人に先に上がらせてもらうように頼む。
上がって見ればまだ何人も「ハシゴ待ち」をしていた。
008
そこから先は徐々に登り。
しかし見通しは依然悪く、
頂上と思ったらその先にさらに高いトンガリ。
何度も裏切られながら15時5分、
奥穂高岳(3190m日本3位)山頂着。
3000m級初登頂である。
どこもガスで真っ白の奥穂高岳山頂
本当なら360°パノラマなのだろうが、
本っ当に真っ白、
すべてはガスのなか。
他にいた2人の男性とお互いに写真を撮って下山。
雨もさることながら、
ガスと一緒に吹き上がる突風にも泣かされた。
15時50分山荘帰着。
ビール、
ビール、
腹も減った。
談話スペースで九州から来たおばちゃん2人と意気投合、
年間40座に登っていると聞き、
自分はまだまだ修行が足りんと思った。
17時夕食、
18時半位まで頑張ったが、
睡魔に負け部屋でダウン。
気が付けば消灯時間。
そのまま寝ようと思ったが、
変に目が冴え、
おまけにこの狭さと高地の空気の薄さに、
眠れなくなってしまった。
うとうとしていると、
外が明るい・・・月だ!!
明日は天気だ。
そして恐怖の「大キレット」。
どうなることやら・・・
■map...0828<登山ルートマップ>
■access(1999年現在)
□登山口へは...
一般的には、
槍・穂高へは「上高地」から入るようにガイドブックは示している。
しかしokaは逆の「新穂高温泉郷」からを選んだ。
実際車の便もよく人も少なかったので、
登山ブームの波に呑まれることなく登れた。
□大阪から車で・・・
名神高速一宮JCTから東海北陸道に乗り換え、
白鳥ICまで行き、
国道156号で荘川(現在高速は荘川まで延びている)、
国道158号を高山経由で平湯温泉まで、
国道471号をしばらく走り右に折れれば温泉郷に到着。
距離もあり道も一部悪いので、
一人で行くのはお勧め出来ない。
■next...
はたして「大キレット」で何が・・・
続きは#04 槍ヶ岳 編に続く
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