第5回目 H16.8.14  能登川から長浜

「今度の土曜日に歩くわ。」と家内に話すと、「暑いのに止めといたら。SOSを送って来ても迎えいには行かへんで。」との言葉。 「エエヨー、電車沿いに歩くし、大丈夫や。そない、迷惑かけられへんし。」と男の意地。 前夜、着る服を用意し、目覚ましも5時にセットし就寝。

当初の予定 起床 午前5時 野洲駅6時02分発 能登川着6時17分 歩行開始630

目標駅 木之本駅迄 約44km (フルマラソンに近い距離が歩けるか試してみる) 

当日、目が覚めると窓からさす光が明る過ぎる。慌てて目覚ましを見ると午前7。「エッー、どうした。」、「目覚まし鳴ったのか?」と確認すると、鳴らすスイッチが中途半端なところで止まっていた。「しまった、出遅れた。 今からでは遅い、今日は止めようか。」と、一瞬頭をよぎるが、「歩くと言ったし。」用意した服を見て、行けるとこまで歩こうと、決意を新たにして出発の準備に取りかかった。

野洲駅8時05分発能登川着8時21分歩行開始830分(予定より時間遅れ。)平地はほんとに楽、足さえ出せば進める。1時間歩いても汗が吹き出てこない。さすがに、犬上川を越えた当り(2時間が経過)から市街地に入り、行き交う車の排気ガス、路面からの照り返しもきつくなり、だんだん、足が重たくなって来る。その上、スーパーや、電気店等の量販店が並び、「少し、涼んで行ったら!涼んで行ったら!」と、ささやく声が聞こえるようになる。しかし、2時間遅れのスタート。早く歩かねばとの思いで、何とか彦根城のお堀近くに辿り着く(歩き始めて3時間)。 昼食には早いので、もう少し歩けるところまでがんばろうとの思いで松原水泳場の湖岸沿いに進路をとった。ちょうど、昼時、浜辺のあちら、こちらからバーベキュウーの匂いが立ち込め、空腹感に襲われる。木陰を見つけ持参のおやつを食べようとしたが、「何、この人、けったいな人間が来た。」と、言うような鋭い視線が突き刺さるように飛んで来る。 頭に手ぬぐいを載せ、その上から麦わら帽子、トレーニングズボンに長袖の薄いジャンパー、背中にリック。 その上、一人でウロウロ。 「やっぱり、けったいかなぁーハヨ、他所に行ったら良いのに。」と、言うような視線が気になり、再び歩行開始。松原水泳場を抜けた当りのファミレスに飛び込んだ。カレーを一口、二口食べた時、妻から「何処にいてる。何処まで行くの、無理しなや。」と、メールが届く。 口では迎いに行かないと言い放しているが、気にかけてくれている妻の思いやりに自然と顔がほころびてくる。木之本駅までは無理と思ったが、「木之本駅までの予定やけど、しんどかったら長浜から帰る。」と、男の意地で返信した。1315分 再びスタート。 湖岸沿いで遠くに長浜の街が霞んで見えている。 本日で一番景色の良い区間であったが、行き交う車の排気ガス、路面からの照り返し、その上、時間的に日陰がまったく無い。湖面を渡ってくる風もさすがに生ぬるく、だんだん気持ちが悪くなってくる。足を上げて歩いているのに何か引きずる感じ。とにかく道の駅まで歩こう。 すれ違うサイクリングの方が「がんばれ!」と言わんばかりに手を振ってくれるのが本当に嬉しい。 通りすぎた自転車を振り返り、「やっぱり文明の利器を使わなエライなぁー。」と、思う俊丸であった。休憩地の道の駅で靴を確認すると、「エッー。何、これー。」 何と左側の靴底がペランペランとゆれている。靴の底ゴムがめくれているでありませんか。 紐でくくり直し、道の駅を出発(1445 やはり、この区間は景観が良いので、サイクリングを楽しむ方々と何台もすれ違うが、みなさん、会釈や手を振ってくれる。 さすがにこの時期に歩いている方とすれ違ったのは1組だけであった。長浜市内に入り、目に飛び込んできた道路案内板(木之本まで23km)を見てガックリ!! まだ、そんなにあるのか。 少し、表示数字が多すぎと違うかな? 私が地図で測っていた数字は16〜17km。しかし、いずれにしても午後4時近く、2時間遅れのスタートで靴の調子も悪く、やはり、「今日は木之本までは無理。あきらめよ。」 止める時の判断は素早く、一路長浜駅を目指す。ちょうど長浜駅に午後4時前に到着。

フルマラソンの距離も歩けず、6時間(実歩行)をかけても約28km。トホホー、情けない。

6時間をかけて歩いた区間を冷房の効いた新快速で、出発地の能登川駅までわずか34分。人間一人の力なんて本当にしれています。、「蛇口をひねれば水が出る。」、「コックをひねれば汚物は流れ去る。」、「スイッチを押せば灯りがつく。」、「歩いていても電話をかけられる。」いくら、代価を支払うと言ってもほんと、「計り知れない人々の働きで便利さを享受している。何事にも感謝の気持ちを忘れずに。」と、一人納得し、車窓の景色を見ながら缶ビールをぐぃっと飲みほす俊丸であった。