あれから五年ですか、神戸からの報告



 金額は未定であるが、まもなく火災保険がおりることになってほっとして
 いる。どうにか修復工事もはじめられそうだ。しかし、震災の時にはこの
 火災保険が頼りにならなかったのだ。

   単なる偶然だが、五年前の震災の前の晩、翌日になんの予定があったのか
 忘れたが、トマトのシチューを作り、パンを焼いた。そしてそれが震災が
 起こったあとの食事に大変役に立った。ちびちびと食いつないで、三日く
 らいはそれだけで過ごしたのではなかったか。そして電気が回復したあと
 パン焼き器で食パンを作り、それも粉がなくなるまで作っては食べした。
 パンならば米のように研ぐのに水を必要としないし、食器を汚さずにすむ
 のだ。

   さて偶然というのは、昨年の末に火災があった日も、家内が父親の命日で
 墓参りに出かけるのに、朝から夕食のためにトマトのシチューを作ってお
 いたのだ。火災が起きて、消防が引き上げた後、シチューを食ったのだが
 家族の全員が五年前の震災の日の食事を覚えていた。

   癌ならば五年生存率という言い方をするが、震災もやはり五年をひとくぎ
 りにしようという気配が、そこかしこにある。仮設住宅の無理やりの解消
 もそのひとつであろう。もっとも神戸以外の地域では、五年を待たずにと
 っくに震災に区切りをつけてしまっているのだろうけれど。

   佐々淳行が書いた「平時の指揮官 有事の指揮官」という本は、要するに
 震災の時の村山総理のばかさかげんに驚いて書いた本のようだが、その中
 に、自衛隊の初期対応が表にして書いてあった。

   0546 兵庫県南部において地震発生
 0600 防衛庁へ秘書官より連絡 災害派遣に万全を期すよう長官から指示
 0610 陸自・中部方面総監部は第1種非常勤務態勢を確保
 0630 陸自・中部方面総監部は第3種非常勤務態勢に移行
 0714 陸自・中部方面八尾航空隊による状況把握
 0758 陸自・第36普通科連隊(伊丹)48名による災害派遣実施
 0811 陸自・徳島教育航空隊による状況把握
 0820 陸自・第36普通科連隊(伊丹)206名による災害派遣実施
 (略)-----------
 1000 兵庫県知事から姫路駐屯地へ災害派遣要請
 1100 防衛庁兵庫県南部地震対策本部設置


   国が頼りにならないから、山口組の配給に並んだ連中が多くいたのも事実
 ダイエーの中内と村山総理のどちらを頼もしく思ったかなどなど、思い出
 すと腹の立つことばかり。それにしてもあの恐ろしい揺れから四時間も過
 ぎなければ、自衛隊に派遣要請をできなかった知事というのも、困り者。
 0758 48名の災害派遣というのもどういうことなのだろう。御存知のよ
 うに伊丹は阪急の駅が落下するなど、相当な被害が出ていたのだ。

   しかしまあ、これも終わってしまってから言えることかもしれない。

   しかし、終わってしまってからも、まだ言い尽くしていないことはたく
 さんあるのではないか。というわけで、まだまだしぶとくこの報告は続い
 ていくのであります。

   これ、先日のasahi.comの記事。わいせつ図画販売目的所持で逮捕された、
 Y容疑者は調べに対し「阪神大震災復興の建設ラッシュが一段落し、神戸市
 内にある勤め先の商品の需要が落ち込んだ。その影響で2年前、リストラに
 遭って失業した。生活費に困ったので、よく売れるわいせつビデオを売るよ
 うになった」などと供述しているという。これもまた震災関連の事件ああの
 かな。
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