もう五年、まだ五年、神戸からの報告

 癌の告知を受けて手術を受けたのは93年。術後五年生存率という言葉が頭を
 いつも占拠していましたが、五年ではなく、六年目の今年を過ぎてようやく
 気分が楽になりました。といっても、克服できたというようなものではなく
 ただ忘れることができるようになった、というだけで、ふとした拍子に恐怖
 と不安がよみがえります。

   神戸の仮設がゼロにという記事が99.12.21付けの朝刊に出ていました。ピーク
 時は五万七千人が暮らした神戸市の仮設。最後まで入居者がいた長田区の西代
 仮設から二世帯が復興住宅に引っ越して、ゼロになったそうです。仮設全体では
 明石と西宮に一世帯ずついて、それが最後の人たちだそうです。

   その隣にセクハラ知事、横山ノック、辞意を固めるという記事が出ています。

   年金問題、介護保険の問題、医療費の値上げなど、どこにも希望の文字は見
 えません。景気が上向き傾向などといくら言葉で聞いたところで、超低金利
 にあえぐ年金生活者には、なんの光も見えません。高齢者人口の増加と出生率
 の低下と統計上の数字をあげて、老人を悪者にする政策を推し進めるのはいい
 かげんにしなければいけません。なにごともなく老後の準備を進めている人で
 さえ、あえいでいるのに、震災のために、それまでのたくわえを投げださなけれ
 ばならなかった人たちの将来は、相変わらず暗たんたるものです。

   介護保険の家族慰労金、それからSK学会に上納されたと噂される稚拙な景気
 浮揚策としての商品券などなどの姑息なばらまきが、ますます未来を暗澹たる
 ものにしているということに気が付かないのでしょうか。

   10月に脳梗塞で倒れて身障者一級となって11年の父が亡くなりました。介護
 の一番手厚い保護を受けたとしても、家族が負わなければならない負担は相当な
 ものです。それをなにが家族による介護こそ理想の姿などとのんきに言えるのか
 不思議でなりません。
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