全てを守ろうとした。
 だが、何一つ守れなかった。
 誰かが死ぬのは見たくなかった。

 ギルバートは、この後殺されるだろう。
 ナデシコは、一瞬で砕けるだろう。
 フィソラは、石化を解かれてバラバラにされるだろう。

 それだけは………。止めて……お願いだから……。私はどうなってもいいから……。

 アイリスのそんな思いを知って尚、老人は殺しをやめない。ただ自分が楽しむために。

 守りたい……
 全てを守りたい!愛しい者を全て……!
 そんな思いが、アイリスの胸に尽きることなく湧き上がる。
 その思いは願いであり………原点だった。
 これを始めて口にしたのは、フィソラと出逢った時だった。
 だから気づいたら、呼んでいた。



 「フィソラー!」

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