「どういうことなんだ!? 何が起こってる!」
「みなさんお静かに! 説明するからちょい待ってください!」
「天使様! あなたの力を持ってすればどのようなことでもできるのではなかったのですか!?」
「ウチは天使やありません。やから今回みたいな場合は……」
『いい加減に黙れ! これ以上時間を掛けさせるな!』
ナデシコが沈めるのに手こずっていた村人も、フィソラのひと睨みで静まった
「バジリスクが出ました! これから退治したいと思いますが、ウチの体質のせいで夜間は戦えません!」
そこまで言った所で村人からざわめきが起こり始める。
「大丈夫! 大丈夫やから! 静かに!
今はウチの仲間が戦ってくれてます。今からウチ等はその応援に向かいますけど、朝になる前なので勝てるか分かりません。
あなた方は逃げてください。湖の向こうまでは何があっても行かせない様にします!
それからゴーグルとか有ったら極力着けといてください。直接見たら固まり……じゃあ勘違いするやんな……石化します」
それを聞いた村人は我先に湖に向かっていった。メインストリートから逃したのはナデシコの独断だが、そうするほうがいいという確信があった。
バジリスクには触れられない。槍など間接的な物も駄目だ。毒が槍を通って伝わるという話がある。つまり勝つためには遠距離で仕留めなければならない。それなら絶対広いほうがいい。
『行くぞ! 早くアイリスを助け……に……。貴様……アイリスはどうした!』
フィソラがうなり始める。ナデシコもその視線の先を見て、絶句した。
「アイリスは! アイリスはどないしたんや!?」
獅子の背中に乗った老人が多くの魔獣に囲まれたまま路地から現れ、その後を少し遅れてバジリスクが付いて来た。
「そうじゃな……死んだのではないか?」
それを声を聞くなり、ナデシコとフィソラは老人に向かって殴りかかっていた。
次へ