4階は、青い半透明な壁で個室にわかれていた。

一つ一つの部屋の面積は12畳ほど。その部屋が8室ある。

やはり今までで一番人が多い。みんな何も無い中で剣を振り回したり魔法を発動させたりしている。

あ、こっちには団体さんまで。

ギルバートが通路を歩き、ある部屋の前で止まった。ドアだけは不透明な木で、そのドアノブに予約済みの札。

「ここだな」

ギルバートがドアノブを握り、回す。その瞬間に内側の壁が変化し始めた。

景色はジャングルとなり、天井も青い空へと変貌する。地面も土そのもので触った感触もある。

そこでギルバートが目を閉じ集中し始めた。

考えるのはある人物。

今後また戦うであろうムカつく奴。

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」

笑い声がしたほうを向くと、あの老人が立っていた。

実体があるようだ。

周りを見るとたくさんの目が光っている。あの時と全て同じだ。

「結局守る事もできんかったのう?」

言葉がぐさりと突き刺さる。幻覚がギルバートの最も言われたくない言葉を言わせているのだ。

だが、ギルバートは薄笑いを浮かべて、

「次こそ完璧に護りきる」

誓いを口にし、剣を抜き、構えた。

勝算は無い。それでも何とかする。ギルバートが目指すのはその強さ。

老人がムチを上げ、振り下ろし、大量の獣が迫る。

「負けるか!」

目の前の1匹をなぎ払ったが、瞬時に取り囲まれた。

後ろを守るフィソラも、隙をカバーするナデシコもいないのだからそりゃそうである。

「まだまだ若輩者よ」

あっけなく踏み潰され、体中に痛みが走る。

急に幻覚が晴れた。現実だったなら大怪我を追ったということだ。

半透明な青い壁の中には尻餅をつくギルバートだけ。

「しゃあない。少しレベルを落とすか」

そう言うと、次に出たのは朽ちかけた屋敷。

集中すると巨大なゴーレムが現れた。

非常に硬いアイアンウッドという木でできたウッドゴーレム。以前4人と1匹がかりで倒した。

ナデシコと話していた5メートルのゴーレムである。

ただし攻撃は単調で、防御力重視。さっきよりは単純だ。そして何より、遠慮なく刃物を扱える!

「これを倒して!さっさと次だ!」

そう言って剣を上段に構え、ゴーレムに向けて走った。

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