「なかなかいい筋してるわね!次は!

あら?」

「ギル様!」

ギルバートに気づいたナデシコが彼までまっすぐに走り……

「もう会えへんか、おわ!?」

「へ!?」

ギルバートを巻き込んで盛大にこけた。

ナデシコが四つん這いになっているので、傍から見るとギルバートが押し倒されたかのようだ。

「痛て!……げ!」

ギルバートが顔を上げると、周りの男性団員から邪眼を向けられていた。

「は、放せ!拙者はあの者に天誅をー!」

中には刃物を抜き、仲間に取り押さえられた奴もいる。

言い寄る男は星の数。ギルバートが思ったとおりだ。

「不治の病やて聞いて心配しとってんで、会いに行ったら面会謝絶やし!」

「お前は俺の怪我の事知ってるだろ!?

なんでその噂を信じてるんだ?」

ナデシコがギルバートに乗ったまま、少し考えて……。

「そういやそうやな」

「気づけ!」

「ナデシコちゃん!」

リーリアがナデシコの首元を掴み、起き上がらせる。

「さあ、さっさと修行するわよ!やりだしたらとことんやるんだから他の事は一切禁止!」

「んなアホな!」

「アホじゃない!はいこっち来る!」

「ギル様〜〜!」

リーリアは打って変わって、ナデシコの修行に付きっ切り。

覚えが良いので、面白くてたまらないようだ。

「まあ頑張れ!」とギルバートが笑顔で、引きずられていくナデシコに手を振る。

「休みもないんやで!会いに行けへんねんで!ウチに会えんで、寂しいとかは!?」

「無いから、頑張れ!」

「殺生な!」

望んでいたとはいえ、リーリアの修行はギルバートから見ても厳しかった。

休みを欲しがるのも、無理は無い。

引きずられていくナデシコを見て満足そうなギルバートが、修行しないよりはこっちの方が良いなんて呑気に考えていると、すぐ横を溶岩が突っ切った。

銀髪がちりちりと燃える。

「……え゛………」突然攻撃されて、彼が妙な声を上げた。一瞬呆然となる。

手加減は?俺、仲間……だよな?と彼は思ったが、一部の人間はそう思っていないのだろう。

昔からイチャイチャするカップルには石を投げたくなるのは定石。ちょっと熱くて、大怪我の可能性はあるが……。

一応、溶岩は岩石の一種である。

いっせいに呪文が聞こえ始め、逃げるように次の階段を駆け上がった。

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