終章:後日のビーストガーズ


ギルバートが、扉を開ける。

広いホールに見渡す限りさまざまなトレーニング機具が置いてあるが、今日用が有る施設はその中に無かった。

「何階だったっけ……」

ギルバートがトレーニングルームの階段を見る。

「あれ?ギルバートさん。体はもう大丈夫なんですか?」

アルタイルがいた。爽やかにタオルで汗をぬぐいながらギルバートに話しかける。

「大丈夫だ。心配してくれてありがとうな。

それより、リーリアはちゃんとしてるのか?」

退院したその日にリーリアのところに行き、ナデシコの修行をきちんとする代わりにナデシコへの入れ知恵を水に流す約束をした。

これで破ろうものなら……

「ええ。今も上にいるはずですよ」

アルタイルが言っているのは、2階の施設のことだ。

確か、対魔法障壁の張り巡らされた部屋

そうか、魔法の修行はきちんとやってるんだな。と安心したギルバートがふっと笑う。

「あなたのおかげで助かりました。

私が言ってもリーリアは聞きませんし、どうしようもありませんでした。

これでようやくナデシコは魔法を使えるようになります。

なんとお礼を言えばよいのか……」

「気にするなって!

俺が好きで話をつけたんだしな!

ところで、シュミレーションルームって何階だっけ?」

ギルバートの用が有るのはその部屋。

幻覚魔法を応用した部屋で、戦闘訓練を行う。

リアルなのでかなり重宝されているがトレーニングルームで1番人気が高く、稀とはいえ使えなくなる事が有る。

今日は事前に予約しといたので大丈夫だ。

「4階です。

もしかして今から行くのですか?あれは鍛えた結果を見るものだと思うのですが……」

「実戦から学ぶってのもありだ」

「なるほど、あなたらしいやり方ですね」

次へ