俺は今、白いベッドに寝ている。
魔法薬を飲みながらゆっくり直すしかないらしい。
急激な細胞分裂に体が追いつかず悲鳴を上げている。
つまり『治癒力の暴走』それが一番分かりやすいだろうか。
もっとも、そうでもしないと死んでいたんだから仕方ないんだろうけど……
それにしても……くそー!暇だ!動きたいー!上手く誤魔化せそうだったのにっ!!
「………こんなときに悪いんだけど何があったのか聞かせて貰うよ。
ここから出た後だとさすがに遅いからね」
事情聴取を兼ねて見舞いに来たワイスンだ。
かなり安全だと思われていたパトロール。
2年前にAで入った俺。守りには定評のあるアイリス。
しかも今年Aのナデシコが入った夢のドリームチームで、状態はこの通りの病院暮らし。
そしてアイリスは、一日たった今でも目を覚まさない。
使った魔力量が人間の限界を超えており、かなり危ない状態だったらしい。
そもそもそれだけの魔力を搾り出せたこと自体が、すごいことなんだそうだ。
しかも1日送れて深夜に組織へ帰還したもんだから、目立つのなんのって……。
噂が噂を呼び、一部では俺が不治の病という噂まで流れているらしい。
信じたくないが、面倒な事に上が興味を持ってしまった。
報告書だけでなく根掘り葉掘り詳しく……勘弁してくれよ。
「散々だったね……」
俺の顔を見て考えを悟ったらしいワイスンが、ちょっと哀れみのこもった視線を向けてきた。
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