降りてきた女性はこれまたパジャマを着ていたが、所属が分かるように腕章をつけていた。

待ち望んだ、医療班と書かれた白い腕章だ!

「怪我人はこちらの方ですね!?」と慌てた様子でフィソラの上のアイリスに走り寄る。

アイリスを一目見て医療のプロが絶句し、顔を強張らせた。

アイリスの状態は……余程酷いのだろう。

「魔力の使いすぎなんだろうが、どの程度なのか全く分からない!

運ぶから案内してくれ!」

早口でそう言ってギルバートがアイリスを背負ったが、その途端に体中が痛み始めた。

だがそんな素振りは見せない。ここで痛む素振りを見せたら、ギルバートも同時に見てもらうことになる。

だが、それは駄目だ。医療班にはアイリスだけに集中してもらい、万全の状態にしたい。そう思ってじっと耐える。

「すぐに治療を始めます!

ナデシコさん、魔力はまだ出せますか?」

「もうなんぼかしか……」ナデシコが苦しげな表情でそう言った

「そうですか……。なら誰か連れてきてください。

1人だけ、それもできるだけ魔力を持った人をお願いします!」

「師匠!」

そう言ってナデシコが走る。一瞬看護士の顔が曇った。背景に「ゲッ!」と入れたい。

「ナデシコ!そっちは左だ!右!右!」

ナデシコが急に止まり、そのまま右に走る。

途中で羽を出したのか、あっという間に見えなくなった。

「案内します!」

「ああ、頼む!」

正面の階段を駆け上がった。

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