フィソラのもとにたどり着くと、崖だった。
崖といってもそんなに急じゃない。頑張れば機具無しで降りられそうだし、自然にできた坂を下ると開けたところもある。
休みと食事は上で取るとして、下は話すのにぴったりだ。
密林だけに雨が心配だが、スコールという激しい通り雨の場合が多い。短い時間だし、フィソラがいるので問題ないだろう。
とりあえず寝袋を出して、その上にナデシコを寝かせた。
「とりあえずご飯にしましょ。作るから待ってて!」
アイリスが花のような可愛い笑顔で。そう、笑顔で!そう言う
ようやく、その顔を見る事ができた……ってそれどころじゃない!
「いや今はいい。とりあえず、さっきの川で水浴びでもしてきたらどうだ?」
今ここにい居られると、都合が悪い。
アイリスは、少し驚いた様子で俺を見る。少し考えて、
「確かに汗かいちゃったし、先にすっきりしたいけど……。
いいの?おなか減ってない?」
そんなことより、食事の支度をアイリスにさせてたまるか!
ナデシコの尋問と夕食の支度、水浴びの間に済まさなければ、どちらも地獄への片道切符。
そんなのごめんだ。俺が作る!
「全然。それにナデシコも寝てるし、飯は後のほうがいいとおもうぜ」
「それもそうね。うん、大丈夫よね……」
荷物を降ろして一度背伸びをし、時々振り返りながら川に歩いていった。
俺とナデシコを二人きりにするのがそんなに心配なのだろうか。ほとんどアイリスの勘違いなのに……。
フィソラはアイリスを守るために付いて行くため都合がいい。
アイリスが森の中に入り見えなくなる。さあ、聞かせてもらおうか。
「起きろよ!どうしてこんなことしたんだ?」
ナデシコが目を開けた。足を振り上げ、反動で起き上がる。
寝起きだったら、わざわざそんなことしない。
「とりあえずばれないよう、この下に下りて話さないか?」
「ウチにとっても、その方が都合がええな」
おとなしく立ち上がり、坂を下りる。それに付いて行った。
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