「え!ウチ、ギルバートさんの布団に!?」
ナデシコが、顔を真っ赤にして驚く。
「どうしてギルバートの布団に入ってたの?」
アイリスがにこやかに聞くが、作り物くさい……。怒りがにじみ出ている。
新人を怖がらせたくないのだろう。怒りの対象は完全に俺だけみたいだし……。
「分からないんです」
「よく思い出してくれ!」
ここで思い出してくれないとますます俺が怪しまれる。
アイリスの視線が痛い……。
「昨日遅くに着いてから支配人さんに部屋聞いて、カギ開けてもろたんですけど……」
「アイリスの部屋じゃなく、俺の部屋を聞いたからそっちに案内された。とかじゃないのか?」
いやいや、そんなことある訳無いじゃないか。何、馬鹿言ってるんだ。
何とか冗談だったように誤魔化して……。
「それや!……あかん、やってしもた……」
そんな事のせいで……アイリスに……。
「じゃあ、ギルバートが強引に部屋に入れたんじゃなくて……」
「当たり前だ!」
そこまで信用が無いか!?いきなり女性を部屋に誘うような男に見えるのか!?
俺が怒鳴ったせいか、ナデシコがうつむく。
「迷惑かけてごめんなさい。遅れてきたお詫びもまだやのに、最初からこんな問題起こしてしもて……」
『アイリス、ナデシコは昨日夜遅くに到着し、まず謝っていた。
十分反省しているようだし、もういいのではないか?』
「私はいいけど……。怒ってたのはギルバートに対してだし。
私が早とちりしただけみたいだから……」
アイリスが俺を見る。ナデシコも。
アイリスはなんかいつもより暗いし、ナデシコなんて泣きそうな顔になっている。
もともと俺はあまり気にしていない。
もちろん、朝となりに女の子が寝ていたら驚く。
驚きこそしても、怒りはしない。むしろ……喜。
「俺は気にしてないけど……」
それしか言う事が無い。
「ありがとうございます!ギルバートさん!」
「うわ!」
ナデシコが俺に飛びつく。いきなりだったので、バランスがとれずそのまま倒れこんだ。
起き上がると、
「なにヘラヘラしてるのよ……」
アイリスが静かに、また怒っていた。
「………」
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