彼はある意味でわしの願いをかなえてくれた……。珍しいドラゴンを呼んだのじゃ。
じゃが、それが最悪の結果を呼んでしまった……。
「来て!僕のパートナー!」
レグルスが叫ぶと、アイリスと同じように光が満ちる。光が消えた時、彼は黒竜を腕に抱いていた。
鱗と目の色をのぞけば、ほとんど白竜と同じほどじゃ……。
エンシェントドラゴンと対になるドラゴン……ヴァイスドラゴン。
最も強いドラゴンが2匹……それも対になる2匹のドラゴンじゃった。眠っている。
再び周りが騒ぎ出す。
「何ということだ……村が滅びるぞ!」「嘘でしょ!?彼まで!……もうあの人嫌い!近づきたくもないわ!」
「こんな小さな子にヴァイスドラゴンなんて任せられるか!暴走したらどうするんだ!」
「俺もともとあいつ嫌いだったんだ。親父!あいつ追い出してくれないか?」
「言われなくてもそうすべきなんだ!もちろんさっきの女の子もだ!」
「僕とアイリスちゃんのドラゴンの何が悪いんです!」
レグルスがその場にいる全員に聞こえる声で、……怒鳴った。
おとなしい性格の彼にも耐えられなかったのじゃろう……。周りは黙ったが、もはや遅かった。
「これで全員じゃな。各々、自らのドラゴンに名前を与えよ!それで契約が成立する」
「ファイ」
太った男の子が宣言した。他の子も次々に名前を与えてゆく。そして、
「この子はフィソラよ!」
「僕のドラゴンはヴリトラです」
アイリス、レグルスも名前を告げた。
そのとき、
「おまえらは、必要ない!村を追われる者に契約はいらないだろう!」
「今のは誰じゃ!今後そのような事を言った者は、わしが直接手を下す!覚えておれ!」
我慢ならなかった。見るとアイリスは泣き、レグルスは、下を向き黙っておった。
……哀れなものじゃ……。この村には、子供を守る者はおらんのか……。
『それは私の役目です』
頭に声が響いた。念話……ドラゴン使いとドラゴンのみが使う会話じゃ。
見ると、エンシェントドラゴンいや、フィソラというべきじゃろうな。
フィソラがわしの顔を見つめていた。わしはフィソラを信じ、彼女を村から離して暮らさせる事にしたのじゃ……
村人の近くで暮らすには、危険すぎるからの。
それからわしは決まりどおり、子供達に召喚のアイテムを作り、与えた。
アイリスには指輪を、レグルスには本を……。
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